高齢者のアルコール依存は、近年増加傾向にあると指摘されています。厚生労働省の「健康日本21(第二次)」によると、日本では飲酒による健康リスクが高まる高齢者が増えており、特に男性にその傾向が強いと報告されています。
1.シニア世代のアルコール依存が増える理由
シニア層のアルコール依存が増えている背景には、以下のような要因が考えられます。
1.退職後の孤独感
仕事を辞めたことで、社会とのつながりが減少し、寂しさを紛らわせるために飲酒量が増えるケースがあります。
2.ストレスの発散
健康問題や家族関係の変化、経済的な不安など、シニア特有のストレスをアルコールで解消しようとすることがあります。
3.習慣化された飲酒
若い頃からの習慣で、毎日晩酌することが当たり前になっていると、年齢とともに依存へと進行する可能性があります。
4.アルコールの影響が強くなる
加齢により代謝機能が低下し、若い頃と同じ量を飲んでも体への負担が大きくなるため、依存症のリスクが高まります。
2.アルコール依存が高齢者の健康に及ぼす影響
アルコール依存は、シニア世代の健康に深刻な影響を与える可能性があります。以下のようなリスクがあるため、注意が必要です。
1. 認知症リスクの上昇
アルコールの過剰摂取は脳の萎縮を促進し、認知症の発症リスクを高めることが知られています。特に長年の飲酒習慣がある人は、アルツハイマー型認知症やアルコール性認知症のリスクが高まります。
2. 生活習慣病の悪化
アルコールは高血圧や糖尿病、脂質異常症の原因になり得ます。特に、高齢者は代謝機能が低下しているため、少量の飲酒でも血糖値や血圧に悪影響を及ぼすことがあります。
3. 骨折や転倒のリスク増加
アルコールは筋力やバランス感覚を低下させるため、高齢者が転倒しやすくなります。骨がもろくなることで、骨折のリスクも高まり、寝たきりの原因になることもあります。
4. うつ病との関係
アルコールは気分を一時的に高揚させる効果がありますが、長期的にはうつ病を悪化させる可能性があります。特に、退職後の孤独感や喪失感があるシニアは、アルコール依存とうつ病が併発しやすいといわれています。
3.アルコール依存を防ぐための予防策と生活習慣の改善
アルコール依存を防ぐためには、日頃の生活習慣を見直し、飲酒を適度にコントロールすることが大切です。
1. 飲酒のルールを決める
・「週に○日休肝日を設ける」
・「1回の飲酒量をビールなら350ml、日本酒なら1合までにする」
など、明確なルールを決めることで飲酒量をコントロールしやすくなります。
2. 趣味やコミュニティを持つ
退職後の孤独感を減らすために、新しい趣味や地域の活動に参加するのも有効です。例えば、ウォーキングや園芸、ボランティアなど、アルコール以外の楽しみを見つけることで飲酒の頻度を減らせます。
3. 夕食時の飲酒を工夫する
食事と一緒にお酒を飲む場合、ノンアルコール飲料を活用したり、水をこまめに飲むことで、自然に飲酒量を減らすことができます。
4. 健康診断を定期的に受ける
健康診断を受けることで、肝臓の数値や血圧などを確認でき、自分の体調に合わせて飲酒習慣を調整しやすくなります。
4.もし依存症になったら?シニアが取るべき対処法と相談先
「自分はアルコール依存かもしれない…」と感じたら、早めに対策を講じることが重要です。
1. 家族や信頼できる人に相談する
一人で抱え込まずに、家族や友人に正直に話すことで、依存から抜け出すきっかけになります。
2. 専門の相談機関を利用する
日本にはアルコール依存症の相談窓口があります。
これらの機関では、無料相談やカウンセリングを受けられるため、一度問い合わせてみるのもおすすめです。
3. 禁酒外来を受診する
病院の禁酒外来や専門医療機関では、専門の医師が適切な治療法を提案してくれます。特に、アルコール依存の進行を感じた場合は、医師の指導のもとで治療を進めることが大切です。
まとめ:健康的にお酒を楽しむために
シニア世代のアルコール依存は、健康にさまざまな影響を及ぼします。しかし、飲酒量を適切にコントロールし、健康的な生活習慣を意識することで、無理なくお酒と付き合うことが可能です。
もし飲酒の習慣を見直したいと感じたら、家族や専門機関に相談し、健康的な生活を目指してみてください。
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