人手不足解消に!物流業界が高齢者採用で得られる5つのメリット

【企業向け】シニア採用

1. 物流業界で深刻化する人手不足とその背景

近年、物流業界では深刻な人手不足が続いています。その背景には、ネット通販市場の拡大による業務量の増加、少子高齢化による労働人口の減少、加えて若年層の物流業界離れなどが挙げられます。特に、厚生労働省が発表した「2023年労働経済動向調査」によると、運輸業・郵便業の「人手不足感」は全業種の中でも最も高い水準で推移しています。

人手不足を補うために、これまで外国人労働者の採用やAI・自動化設備の導入など様々な対策が講じられてきました。しかし、どれも即効性には限界があり、現場では「経験豊富な人材」「安定的に働ける人材」を求める声が高まっています。

そこで注目されているのが「高齢者(シニア人材)の積極採用」です。物流業界の現場では、体力だけでなく、経験・責任感・コミュニケーション力などが重視されるため、60代以上の人材は大きな戦力になります。


2. 高齢者採用が物流業界にもたらす5つのメリット

2-1. 豊富な経験と高い業務スキルを活かせる

高齢者の多くは、これまで様々な職場で経験を積んできた人たちです。現場の流れを素早く理解し、臨機応変に対応できる力は若手にはない強みです。

たとえば、倉庫作業や配送業務においても「商品管理」「安全確認」「接客対応」など細かな気配りや丁寧な作業が求められる場面は多くあります。こうした場面で、高齢者ならではの責任感や正確さが発揮され、業務効率と品質向上に大きく貢献します。

実際に、大手物流会社の「佐川急便」では2022年時点で60歳以上の従業員が全体の約14%を占めており、「作業の丁寧さ」「ミスの少なさ」を評価されています。


2-2. 定着率が高く、安定した戦力になる

高齢者の採用は「長く働いてくれる可能性が高い」というメリットもあります。若年層に比べ転職やキャリアアップを目的とした離職が少なく、安定的な人材確保につながります。

特に、60代以降で働くシニア人材は「生活のため」「健康維持のため」「社会参加のため」といった理由で働くケースが多く、職場へのロイヤリティが高い傾向があります。

離職率が低いことで、採用コストや教育コストの削減につながり、現場の安定運営にも貢献します。


2-3. 勤務シフトの柔軟な対応が可能

高齢者は「フルタイムではなく短時間勤務」「週に数回だけ働きたい」など、柔軟な働き方を希望するケースが多く、物流業界のシフト調整と相性が良いのも特徴です。

物流現場では、早朝・夜間・土日祝日など多様な時間帯で人手が必要とされるため、特定の時間帯や曜日のみ働けるシニア人材は、スポット的な労働力として非常に重宝されます。

また、働く側にとっても「無理なく続けられる働き方」が可能となり、結果的に長期的な雇用につながります。


2-4. 多様性のある職場づくりに貢献

高齢者の採用は、職場の多様性(ダイバーシティ)推進にも大きく寄与します。年齢・経験・価値観が異なる人材が共に働くことで、コミュニケーションの活性化や職場の雰囲気改善が期待できます。

特に若手社員にとっては、人生経験豊富なシニア世代と一緒に働くことで、仕事だけでなく人生の知恵や考え方を学ぶ良い機会にもなります。

また、社内外に対して「年齢に関係なく活躍できる企業」という好印象を与えることができ、企業のブランディング向上にもつながります。


2-5. 社会的責任(CSR)の実現と企業イメージ向上

高齢者の雇用は、社会全体の課題である「高齢者雇用促進」「シニア世代の社会参加」を後押しする取り組みでもあります。企業が積極的にシニア人材を採用することで、地域社会や行政からの評価が高まり、社会的責任(CSR)を果たすことができます。

特に、近年はSDGs(持続可能な開発目標)に基づいた取り組みが企業経営に求められており、「年齢に関係なく働ける環境づくり」はその一環と位置付けられます。

企業イメージの向上は、取引先や顧客からの信頼獲得にもつながり、長期的なビジネスメリットが期待できます。


3. 高齢者採用を成功させるためのポイント

高齢者を物流業界で採用し、安定した戦力として活用するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。単に「人手が欲しいから高齢者を採る」のではなく、企業側がしっかりと準備と配慮を行うことで、シニア人材はより活躍しやすくなります。

3-1. 業務内容と就業環境の見直し

まず、シニア人材が無理なく働けるように業務内容の見直しを行いましょう。たとえば、重い荷物の積み下ろしや長時間の立ち仕事など、体力的に負担の大きい作業は若手スタッフに任せ、検品や仕分け、軽作業、伝票整理などの業務を担当してもらうことで、高齢者が安心して働くことができます。

さらに、安全面の配慮も欠かせません。作業場内の段差解消や照明の改善、休憩スペースの設置など、シニア世代が体に負担をかけずに働ける環境整備が重要です。


3-2. 研修制度の整備と継続的なフォロー

高齢者の中には、物流業界が初めての方やブランクがある方も少なくありません。そのため、基本的な業務フローや安全教育を丁寧に行う研修制度を用意しましょう。

特に注意すべきは、安全管理の徹底です。年齢を重ねると反射神経や注意力が低下しがちなため、フォークリフトやコンベアなどの機械設備の取り扱いに関する指導は十分に行う必要があります。

また、研修後も定期的な面談や声かけを実施し、悩みや不安がないかを確認することで、安心して働き続けられる環境をつくれます。


3-3. 労務管理と法的対応

高齢者雇用にあたっては、労働基準法や高年齢者雇用安定法など、法令を正しく理解し、遵守することが不可欠です。

特に注意したいのは、以下のポイントです。

労働時間、休憩時間の管理
高齢者の場合、長時間労働が健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、シフト管理は慎重に行う必要があります。

定年後再雇用の取り組み
2021年4月の法改正により、70歳までの就業機会確保が努力義務となっています。自社の就業規則や再雇用制度の整備も見直しておきましょう。

賃金体系の見直し
高齢者の就労意欲を維持するため、年齢に応じた公平な賃金体系の検討も求められます。


3-4. 助成金・補助金の活用

高齢者雇用を積極的に行う企業には、行政からの助成金・補助金制度が用意されています。

たとえば、厚生労働省の「65歳超雇用推進助成金」では、定年延長や再雇用制度の導入などを行った企業に対して、一定額の助成金が支給されます。

▶参考:厚生労働省「65歳超雇用推進助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139692.html

これらの制度を活用すれば、採用コストを抑えながら高齢者雇用を推進することが可能です。


このように、働く環境の整備・研修体制・法的対応・助成金活用の4つのポイントを意識することで、シニア人材の採用はよりスムーズかつ効果的に進めることができます。


4. まとめ:高齢者採用で物流業界の未来を切り開こう

物流業界では、慢性的な人手不足が続き、特に現場作業員やドライバーの確保が課題となっています。その解決策の一つとして、60代を中心とした高齢者の採用が注目されています。

高齢者採用は、「豊富な経験と高いスキル」「定着率の高さ」「柔軟な勤務シフト」「職場の多様性促進」「企業イメージの向上」といった多くのメリットをもたらします。単なる労働力不足の穴埋めではなく、職場に新たな価値を生み出す存在となるでしょう。

もちろん、シニア世代が無理なく働ける環境を整えることが前提です。仕事内容の工夫や安全対策、働き方の柔軟性を意識しながら、高齢者が安心して活躍できる職場づくりが求められます。

今後、少子高齢化がますます進む中で、シニア人材の活用は企業の持続的成長に欠かせない取り組みになります。今回ご紹介したメリットを参考に、ぜひ自社の採用戦略に高齢者雇用を取り入れてみてください。それが、物流業界の未来を支え、社会全体の活力にもつながるはずです。

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