このままでは現場が回らない!企業が65歳以上を採用し始めた理由とは?

【企業様向け】シニア採用

1. 65歳以上の採用が進む背景とは?

深刻化する人手不足と現場の疲弊

日本全体で少子高齢化が急速に進んでいるなか、企業の現場では人手不足が深刻化しています。
特に建設、物流、小売、介護といった労働集約型産業では、若手人材の確保が難しくなり、現場の回転力が低下しています。
帝国データバンクの調査によれば、2024年時点で「正社員が不足している」と回答した企業は51.4%にも上り、過去最高水準となっています(※出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年)」)。

現場では、従来の40~50代に頼る体制が限界に達し、休職・離職が相次ぐリスクが顕在化。
結果として、60代後半〜70代でも現場を支えられるシニア層に白羽の矢が立つようになりました。
単なる「応援要員」ではなく、現場を持続可能にするための戦力として、65歳以上の採用が本格化し始めているのです。

定着率が高く安定した人材としてのシニア層

若年層と比較して、シニア層の最大の強みは「定着率の高さ」です。
20代・30代の転職希望率が上昇している中、65歳以上の求職者は、「最後の職場」として腰を据えて働きたい意向を持つケースが多く見られます。
総務省統計局のデータによれば、60歳以上の有職者の約70%が、継続的な就労意欲を持っているという調査結果も出ています(※出典:総務省統計局「労働力調査(2023年)」)。

シニア層は、日々の仕事に対して真面目で責任感が強い傾向があり、加えて「働けるうちは社会に貢献したい」という意欲を持っています。
このような特性は、人材流動性が高くなりがちな現場において、安定した戦力を確保するための重要なピースになります。
実際、シニア層を積極採用している企業では、欠員リスクが低減し、現場の安定性が向上したという声が多数寄せられています。


2. 企業がシニア層を採用するメリット

職場の多様性を促進できる

65歳以上のシニア層を採用することで、職場に多様性が生まれます。
年齢層が広がることで、若手、中堅、ベテランがバランスよく共存する組織が形成され、社内コミュニケーションの活性化や、視点の幅が広がる効果が期待できます。

特にシニア層は、長年の社会人経験に裏打ちされた柔軟な対応力や対人スキルを持っているため、職場の「潤滑油」として機能する場面が多く見られます。
また、多様な年代が共存することにより、組織全体が年齢にとらわれず成果を重視する文化にシフトしやすくなり、エイジフレンドリーな組織作りにも貢献します。

さらに、ダイバーシティ経営を推進している企業にとっては、シニア採用を進めることで対外的な企業イメージの向上にもつながります。
実際、経済産業省が公表している「ダイバーシティ経営企業100選」では、年齢にとらわれない人材活用が企業成長に寄与している事例が数多く紹介されています(※出典:経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」)。

業務分解による既存社員の業務負荷軽減

シニア層を新たに受け入れることで、業務の「分解・再設計」が進み、既存社員の負担を軽減する効果も得られます。
たとえば、若手社員が担当している業務のうち、「体力負荷の少ない作業」や「ルーチンワーク」「サポート業務」をシニア層に移管することで、若手はより専門性の高い業務やキャリア形成に直結する仕事に集中できるようになります。

このような業務分担の最適化は、シニア層にとっても「無理なくできる範囲の仕事」で活躍できるため、双方にとってプラスに働きます。
さらに、組織全体の生産性向上にも寄与し、「疲弊する現場」を根本的に改善する効果が期待できるのです。

企業によっては、シニア向けに「短時間勤務制度」「限定業務契約」などを設け、無理のない働き方と業務設計を組み合わせることで、成果を上げている例も増えています。
こうした取り組みを通じて、若手・中堅・シニアがそれぞれの強みを活かし合う職場が実現できるのです。


3. 65歳以上採用を成功させるためのポイント

シニア層に合った仕事設計と受け入れ体制の工夫

65歳以上の採用を成功させるには、単なる若手社員の代替要員として扱うのではなく、シニア層に最適化された仕事設計が重要になります。
体力面やスピード面で若手と同じパフォーマンスを求めるのではなく、経験や集中力を活かせる業務に特化することで、シニア層の力を最大限に引き出すことができます。

例えば、小売業界では「売り場の商品補充」や「レジ補助」など、物流業界では「仕分け」「検品」など、比較的負荷が低く、かつ重要なポジションをシニア層に任せるケースが増えています。
また、マニュアル整備や教育担当として若手社員をサポートする「社内メンター役割」を担わせる企業もあります。

加えて、受け入れ側の体制も非常に重要です。

・シニア向けの入社時オリエンテーションの実施
・配属先への事前説明とフォローアップ体制
・年齢によるバイアスをなくす研修

など、受け入れ側の理解と配慮が整って初めて、シニア層は本来の力を発揮できるようになります。

健康管理と柔軟な働き方への配慮

65歳以上の採用では、健康リスクへの配慮も欠かせません。
過剰な肉体負荷や過度な残業を避け、健康状態に応じた働き方を提供することが、シニア層の長期的な活躍につながります。

たとえば以下のような取り組みが有効です。

・定期健康診断の頻度アップ
・勤務時間、日数を本人の希望に応じて調整
・体調不良時に無理をさせず、シフト調整できる仕組み

また、厚生労働省も高齢者雇用安定法の改正により、70歳まで働き続ける機会の提供を企業に努力義務化しています(※出典:厚生労働省「改正高年齢者雇用安定法(2021年施行)」)。
こうした社会的な流れもふまえ、シニア層が無理なく、持続的に働ける環境を整備することが求められています。

企業にとっても、適切な健康管理と柔軟な働き方の導入は、離職率の低下労働災害リスクの低減というメリットにつながります。
「健康第一」の視点を持つことで、65歳以上の雇用がより安定的かつ効果的に進められるでしょう。


4. 成功事例に学ぶ!65歳以上採用のリアル

小売業・物流業界でのシニア活躍例

65歳以上の採用が特に進んでいるのが、小売業界と物流業界です。
たとえば、ある全国展開しているスーパーマーケットチェーンでは、65歳以上のシニアスタッフを「商品補充担当」や「簡易清掃業務」に積極的に配置しています。
この企業では、「無理のない範囲で働ける環境」を整えた結果、シニアスタッフの定着率は90%以上を記録しています。

また、物流業界でもシニアの活躍が進んでいます。
たとえば、大手物流会社の事例では、65歳以上のスタッフを「軽作業(仕分け・検品)専任」に配置し、勤務時間も1日4~5時間程度に設定
これにより、体力負担を抑えつつ、繁忙期でも安定した人員確保を実現しています。
特に、長年の社会人経験を持つシニア層は、時間管理や作業正確性に優れており、若手社員のミスをカバーする重要な役割も担っています。

これらの企業に共通するのは、シニア層に適した業務を明確に設定し、本人のペースを尊重した働き方を提供している点です。
「シニアだから戦力にならない」という固定観念を排除し、“適材適所”で活かす発想が成功の鍵となっています。

成功企業に共通する工夫とは?

65歳以上の採用で成功している企業には、いくつかの共通点があります。

採用段階でのミスマッチ防止
面接時に仕事内容を正確に説明し、本人の希望と職務内容をすり合わせることで、入社後のギャップを防いでいます。

無理のない就労設計
長時間労働を前提とせず、週2~3日勤務や短時間シフトなど、柔軟な働き方を標準化しています。

受け入れ側の理解促進
若手社員への教育を徹底し、「年上の新人」をリスペクトする文化を育てています。

シニア向け研修制度の導入
新しい業務にスムーズに適応できるよう、短期集中型の初期研修を実施しています。

このように、シニア層を単なる人手合わせではなく、「戦力化する」ための仕組み作りが、採用成功の鍵を握っています。
企業側の工夫次第で、65歳以上の人材は、むしろ現場の生産性向上に貢献できる存在へと進化しているのです。


まとめ:65歳以上の採用は現場再生のカギになる

現場の人手不足が深刻化するなかで、65歳以上のシニア層を採用する動きは、単なる一時的な穴埋めにとどまりません。
シニア層の採用は、組織の安定性向上、業務効率化、職場の多様性促進といった、企業全体のパフォーマンスを押し上げる力を持っています。

特に、定着率が高く、柔軟性と責任感に優れたシニア層を適材適所で活用することで、現場は持続的に回り始めます。
また、業務分解による若手社員の負担軽減や、シニア層ならではの経験知見の活用により、組織の総合力が底上げされる効果も期待できます。

ただし、成功のためには「ただ採用するだけ」では不十分です。
仕事内容や就労条件の設計、受け入れ側の理解促進、健康管理など、シニア層に合わせた細やかな配慮が不可欠です。
企業にとっては、新たな人材戦略として「65歳以上の力をどう活かすか」が問われる時代になったと言えるでしょう。

「現場が回らない…」という危機感を感じているなら、
65歳以上の採用を単なる選択肢ではなく、戦略的な一手として本格的に検討してみてはいかがでしょうか。

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