1. 老後資金はどれくらい必要?現実的な目安を知ろう
ゆとりある生活に必要な金額とは
老後の生活に必要な資金は、暮らし方によって大きく異なりますが、総務省「家計調査(高齢夫婦無職世帯)2023年」によれば、毎月の支出は平均で約24.3万円。これに対して、平均的な年金受給額は夫婦合わせて約20.5万円程度で、毎月3〜4万円ほど不足する計算になります。
仮にこの差額を補うだけでも、1年間で約48万円、20年間では約960万円が必要になります。さらに「旅行を楽しみたい」「趣味を充実させたい」といった“ゆとりある老後”を望む場合、必要資金は2,000万円を超えるとされることもあります(金融庁「高齢社会における資産形成・管理」報告書より)。
単身・夫婦世帯別の支出モデル
・単身世帯の場合:月約15.4万円(年金平均額)に対し、支出が約17万円。年間約18万円の赤字。
・夫婦世帯の場合:月約20.5万円(年金合算)に対し、支出が約24.3万円。年間約45万円の赤字。
このように、年金収入だけでは生活費を完全にカバーするのは難しく、多くのシニア世帯が貯蓄を切り崩して生活しているのが現実です。
2. 年金だけでは足りない理由とは?
平均年金受給額と生活費のギャップ
年金制度は、高齢者の生活を支える公的仕組みですが、実際の受給額は決して十分とはいえません。厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、以下のような平均額が示されています。
・厚生年金(夫婦2人)平均月額:約20.5万円
・国民年金(単身)平均月額:約5.8万円
一方で、総務省の家計調査によれば、高齢夫婦の支出は約24.3万円、単身でも17万円前後とされており、年金との毎月の赤字幅は数万円単位になります。
このギャップは、日々の生活費に加え、固定資産税や保険料、車両維持費、趣味や交際費など「老後にも必要な出費」が年金でまかないきれないことを意味します。
医療・介護など想定外の支出リスク
さらに、老後資金が足りなくなる大きな要因として「医療費・介護費」の存在があります。
・医療費:年齢とともに増加し、70歳以上は医療費自己負担が1〜2割に抑えられていても、慢性疾患や入院が重なると1年で数十万円かかることも珍しくありません。
・介護費:介護サービスの自己負担額は1割〜3割。軽度の在宅介護でも月1〜2万円、施設入所の場合は月10万円以上の支出が必要になるケースも。
これらはいつ発生するか予測が難しく、備えがないと「想定外の赤字」が一気に生活を圧迫します。
年金の“足りなさ”は、こうした日常支出と突発的な費用の両方をカバーしきれない点にあるのです。
3. 老後資金が不足していると感じたらやるべきこと
支出の見直しと節約の工夫
老後資金が足りないと感じたとき、まず取り組むべきは「支出の最適化」です。収入を増やすよりも早く、確実に効果が出やすいからです。
たとえば以下のような支出の見直しが有効です。
・通信費の削減:スマートフォンを格安SIMに変更するだけで、年間数万円の節約に。
・保険の見直し:現役時代の生命保険をそのまま継続していませんか?不要な補償を減らせば保険料は大幅に減額できます。
・サブスクの整理:動画配信や新聞など、使用頻度が低いものは思い切って解約を。
・買い物の工夫:ポイント還元や特売日、まとめ買いの活用で日々の出費も削減可能。
また、住宅ローンを完済している世帯は、固定資産税や修繕費など“住まい関連の出費”も定期的に見直しておくとよいでしょう。
働いて収入を得るという選択肢
支出の見直しと同時に注目したいのが、「少しでも働いて収入を得る」というアクションです。
特に、70代でも体力や気力に余裕がある方なら、週に数日、短時間でも働くことで毎月数万円〜十万円近い副収入を得られる可能性があります。これにより、年金と合わせて生活費の赤字を埋めることができます。
また、働くことはお金だけでなく、人との交流や目的意識をもたらし、心身の健康維持にもつながります。老後資金に不安を抱くすべてのシニアにとって、無理のない形での就労は“お金以上の価値”を生み出す手段です。
4. シニアでもできる収入確保の方法とは?
70代から始められる仕事の種類
70代でも働ける仕事は、探せば意外に多く存在します。ポイントは「経験や体力に応じて無理なく働ける」こと。以下は、シニア層に人気の職種の一例です。
職種 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
清掃スタッフ | 商業施設やマンションなどの清掃 | 短時間・体への負担が少ない |
警備員 | 施設や駐車場の見守り業務 | 座ってできる業務もあり |
施設受付・案内 | 公共施設や企業のフロント対応 | 社交性を活かせる |
配送補助 | 軽作業や商品搬入など | 運動不足解消にも◎ |
家事代行・お手伝い | 掃除・洗濯・買い物などの家事支援 | 主婦経験が活かせる |
マンション管理員 | 共用部の点検・清掃・来客対応など | 未経験でも始めやすく、人気の安定職 |
体力や技術が必要な専門職ではなく、「人柄」「信頼感」「経験」が評価されやすい仕事にニーズがあります。
自分に合った仕事の見つけ方と応募方法
自分に合う仕事を見つけるためには、まず「これまでの経験」と「できること・やりたいこと」を整理するのが重要です。たとえば:
・接客経験がある → 受付、案内
・掃除が得意 → 清掃スタッフ
・地域とのつながりを大切にしたい → 地域密着型の求人(自治体や地元企業)
そして求人の探し方としては、以下の方法が現実的です。
・シニア専門の求人サイト(例:キャリア65など)
・ハローワークのシニア向け窓口
・地域のシルバー人材センター
応募に際しては「履歴書の書き方」や「面接対策」に不安を感じる方も多いですが、専門サイトではサポートも充実しています。まずは気になる求人に1つ応募してみることで、不安もぐっと減るはずです。
まとめ:老後資金の不安は行動で解消できる
老後資金対策の優先順位とバランス
「年金だけでは足りない」と感じたとき、大切なのは“現実を正しく知ること”と“できる対策から始めること”です。老後に必要なお金は、生活費に加えて医療・介護費用なども考慮すると、2,000万円を超えるケースもあります。
しかし、「2,000万円貯めなければ…」と焦る必要はありません。今ある資産と支出を見直し、足りない部分を少しでも働いて補う。そういった“地に足のついた対応*が、現実的で継続可能な老後資金対策になります。
・まずは支出を把握/整理し、固定費をスリム化する
・次に、自分の体力や経験に合った働き方を検討する
・そして、社会とのつながりを維持し、生活の充実を図る
これらを並行して行うことで、お金の不安を減らしながら、心身の健康も保つことができます。
社会とのつながりが“安心”をもたらす
老後資金の問題は、単なる「お金の不足」ではなく、「役割の喪失」や「孤立感」も絡んできます。だからこそ、誰かの役に立っているという実感や、社会の一員としての存在価値を感じられる場を持つことが、経済的・精神的な両面での“安心”につながります。
「まだ働ける」「誰かと関わりたい」「少しでも生活を楽にしたい」――その思いがあれば、70代からでも新しい一歩を踏み出せます。
老後資金への不安は、情報を知り、行動を起こすことで必ずやわらげることができます。
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