1.年齢とともに乱れやすくなる「自律神経」とは?
自律神経の基本機能とシニアに多い症状
自律神経とは、心臓の鼓動や呼吸、消化、体温調節など、私たちの意思とは無関係に働く神経系のことを指します。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つから成り立ち、活動時に優位になるのが交感神経、リラックスや休息時に働くのが副交感神経です。
このバランスが乱れると、血圧の変動、睡眠障害、消化不良、頭痛、めまい、倦怠感などの症状が現れることがあります。シニア世代では、こうした不調を「年齢のせい」と見逃しがちですが、実際には自律神経の乱れが原因になっているケースが少なくありません。
なぜシニア世代は乱れやすいのか?加齢との関係
加齢とともに自律神経の調節力は徐々に低下していきます。たとえば、寒暖差に対応しにくくなったり、睡眠の質が低下したりするのも、自律神経がうまく働かないことによるものです。また、退職後の環境変化や生活リズムの崩れも影響を与え、バランスが乱れやすくなります。
70代になっても元気に働き続けるためには、こうした自律神経の働きを理解し、整える生活習慣を取り入れることが欠かせません。
2.70代でも元気に働くために!自律神経を整える5つの習慣
年齢を重ねても心身ともに健康で働くためには、「自律神経のバランスを保つ」ことが重要です。以下に、日常生活に無理なく取り入れられる5つの習慣をご紹介します。
1. 朝の光を浴びて体内時計をリセット
朝起きたら、カーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。自然光は、体内時計(サーカディアンリズム)をリセットし、自律神経のスイッチを“活動モード”に切り替えてくれます。特に交感神経の働きを活性化させるため、朝のスタートをスムーズにし、その日一日をエネルギッシュに過ごすことができます。
また、体内時計の乱れは睡眠の質にも直結するため、「朝光を浴びる」習慣は、夜の快眠にもつながります。
2. リズムある運動で副交感神経を刺激する
ウォーキングやラジオ体操のように、リズムをもったゆったりとした運動は、自律神経の調整にとても効果的です。特に副交感神経が活性化することで、心拍が安定し、精神的にもリラックスしやすくなります。
おすすめは「1日20~30分程度の軽い有酸素運動」。無理のない範囲で継続することが、自律神経を整える最大のポイントです。
3. バランスの良い食事と水分補給
自律神経の働きは、腸内環境とも密接に関係しています。栄養バランスの良い食事(特にビタミンB群やマグネシウムなどの神経伝達に関わる栄養素)を意識することで、体の内側から安定感をサポートできます。
また、加齢とともに喉の渇きを感じにくくなるため、こまめな水分補給も重要です。脱水は血流悪化→自律神経の負担増へとつながるため、特に夏場や運動後は注意しましょう。
4. 質の良い睡眠で回復力を高める
自律神経のバランスを整えるには、夜間の副交感神経優位の時間、つまり「睡眠」が最も重要です。睡眠の質を高めるには、以下のような工夫が効果的です。
・寝る1時間前にはスマホやテレビを控える
・寝室の照明を暗めにする
・就寝前にぬるめのお風呂に入る(38~40度)
こうした工夫により、副交感神経がスムーズに優位になり、深い眠りが得られやすくなります。
5. 人とのつながりが心を整える
孤独はストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を増やし、自律神経の乱れにつながる要因です。友人とのおしゃべりや趣味のサークル、地域活動への参加など、誰かと関わる時間を持つことは、心の安定に直結します。
また、感謝の気持ちを持った会話や、他人の役に立つ行動は、オキシトシン(幸せホルモン)の分泌を促進し、副交感神経の働きを高めてくれることも分かっています。
この5つの習慣は、特別な道具も費用も必要ありません。自分の生活に合った形で、少しずつ取り入れることが、70代でも元気に働ける身体づくりにつながります。
3.施設管理員など“動ける仕事”を選ぶには体調管理がカギ
70代でも比較的続けやすい仕事として人気なのが、施設管理員や清掃スタッフ、マンション管理人など、適度に身体を動かしながら働ける「軽作業系」の職種です。とはいえ、こうした仕事を長く続けていくためには、健康管理が欠かせません。特に、自律神経の安定は体調を左右する重要なカギとなります。
仕事内容と求められる体力
施設管理員の主な仕事は、建物内外の巡回、簡単な清掃、設備の点検や報告、来客対応などです。重労働ではありませんが、1日中座っているわけではなく、立ち作業や移動も多いため、「ある程度の体力と持久力」は求められます。
また、勤務時間帯が早朝や夜間になるケースもあり、生活リズムの乱れが生じやすい点も見逃せません。そうした不規則さが、知らず知らずのうちに自律神経に負担をかけてしまうこともあります。
自律神経が整うと仕事が長続きする理由
自律神経が整っていると、以下のようなプラスの連鎖が起こります。
・体温や血圧が安定して、疲れにくくなる
・集中力が高まり、ミスが減る
・睡眠の質が向上し、朝スッキリ起きられる
・気持ちが前向きになり、人間関係も円滑になる
これらは、まさに「働くうえでの土台」。逆に、自律神経が乱れていると、ちょっとしたことで体調を崩したり、イライラしたりと、仕事の継続に悪影響を及ぼします。
また、自律神経の乱れは加齢だけでなく、ストレスや環境変化でも引き起こされます。特に退職後に再就職を目指すシニアにとっては、「慣れない職場」「新しい人間関係」など、精神的な負荷も大きいため、日頃のセルフケアがより重要になります。
実際にあった例:管理員として長く続けるコツ
あるシニア男性(73歳)は、週3回、都内のオフィスビルで管理員として働いています。彼は「毎朝30分の散歩」「寝る前の呼吸法」「水分をしっかり摂る」など、小さな習慣を大切にしながら、自律神経の乱れを防いでいます。そのおかげで、3年以上無遅刻・無欠勤で勤務を継続中です。
このように、特別な医療やサプリメントに頼らず、日常の工夫だけでも自律神経は整えられます。そして、それが“70代でも安定して働ける力”につながるのです。
4.自律神経を整えるためにシニアが取り入れたい日常の工夫
自律神経を整えるには、日々の積み重ねが何より大切です。とはいえ、「特別なことをするのは面倒」と感じるシニアも多いかもしれません。そこで、ここでは70代でも無理なく続けられる工夫を紹介します。
習慣化するコツ:無理なく続けるための工夫
新しいことを始めても、三日坊主で終わってしまっては意味がありません。自律神経を整えるための習慣を身につけるには、「がんばりすぎないこと」と「日常の流れに組み込むこと」がポイントです。
たとえば:
・朝起きたら窓を開けて深呼吸
・毎食後に軽くストレッチ
・寝る前に湯船に10分浸かる
このように、“何かのついで”にできることから始めると、習慣化のハードルが下がります。また、「毎日決まった時間に行う」ことで、体内時計が整い、自律神経も安定しやすくなります。
生活の中でできる簡単な“自律神経リセット法”
自律神経の乱れを感じたとき、すぐに実践できるリセット法があると安心です。以下のような方法は、道具も場所も選ばず、日常生活に簡単に取り入れられます。
・耳マッサージ:耳たぶを軽く引っ張ったり、耳全体をもみほぐすと、副交感神経が優位になり、リラックス効果が高まります。
・1分間のゆっくり呼吸:4秒かけて吸い、6秒かけて吐く深呼吸を数回行うだけで、緊張状態が和らぎます。
・あえて“ぼーっと”する時間を作る:意識的に何もしない時間を確保することで、脳が休まり、自律神経も落ち着きます。
これらは「なんとなく不調」を感じたときにも有効で、続けることでストレス耐性が高まります。
意識するだけで変わる!呼吸・姿勢・リラックスの習慣
実は、普段何気なく行っている「呼吸」や「姿勢」も、自律神経に大きな影響を与えます。
・呼吸:浅く早い呼吸は交感神経を刺激しやすく、疲れやすさや不安感の原因になります。意識的に“腹式呼吸”を心がけるだけで、副交感神経が働き、心身が落ち着きます。
・姿勢:猫背になると胸が圧迫されて呼吸が浅くなりがちです。背筋を軽く伸ばし、肩を落として座るだけでも、呼吸の質が改善されます。
・リラックス:意識的に「ゆるめる時間」をつくることも重要です。たとえば、湯船につかる、好きな音楽を聴く、自然の音を聞きながら目を閉じる…といった時間が、自律神経を整えるための“休息”になります。
毎日の生活の中に、自分なりのリズムと“ゆるめる時間”を設けることで、70代でも穏やかで安定した自律神経の状態を維持することが可能です。難しいことは不要。「ちょっと意識する」だけで、心と体は驚くほど変わっていきます。
5.まとめ:自律神経を整えて、元気に働き続ける70代を目指そう
定年後の人生を「第二の現役」として過ごす70代の方にとって、自律神経の健康は“見えない基盤”とも言える存在です。体のだるさやイライラ、不眠といった「なんとなく不調」が続くと、働く意欲や社会とのつながりにも悪影響を及ぼします。
今回ご紹介したように、自律神経を整えることは、難しい医療や高額なケアを必要としません。朝の光を浴びる、軽い運動をする、規則正しく食べる、よく眠る、人とつながる――こうした基本的な生活習慣こそが、体と心を整える最良の方法なのです。
特に、再就職や地域活動を目指すシニア世代にとっては、「心身の安定」が仕事選びや人間関係にも大きく影響します。元気に働ける自分でいることは、収入の安定だけでなく、生きがいや自信にもつながります。
そして、自律神経が整うと、毎日が穏やかで前向きになり、家族との時間も、地域との関わりも、すべてがより豊かになるはずです。
自分のペースで、自分らしい習慣を一歩ずつ。
今からでも、自律神経を味方につけて、健康で充実した70代を歩んでいきましょう。
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