1．なぜ今、60代に「年金＋α」の収入が必要なのか？
年金だけでは足りない現実
60代で定年を迎えた後、多くの人が直面するのが「年金だけでは生活が厳しい」という現実です。
厚生労働省の令和4年「国民生活基礎調査」によれば、高齢者世帯の平均支出は約23万円（月）に対し、年金等の平均収入は約19万円ほど。約4万円の赤字が生じていることがわかります。
さらに、物価高や医療費の増加、住宅の修繕費用など、将来に備えた蓄えも必要です。「年金だけで暮らすのは難しい」と感じ、60代・70代になっても働き続ける人が年々増えているのが現状です。
“働くこと”が健康や生きがいにもつながる理由
年金に頼らず、収入を得るという目的だけでなく、「働くこと」は心身の健康維持にも効果的です。
例えば、職場での適度な運動や人との交流は、認知症予防やうつの防止にも役立つとされています。
また、自分の経験を活かせる仕事や、人の役に立てる仕事をすることで、自己肯定感や生きがいも得られるようになります。
厚労省の調査でも、就労継続している高齢者の約6割が「働くことにやりがいを感じている」と回答しています。収入面だけでなく、社会とのつながりや健康のためにも、“年金＋α”の働き方は大きな価値があるのです。
2．60代でも無理なくできる！おすすめの仕事5選
年金にプラスの収入を得たいと考えたとき、まず気になるのが「60代でもできる仕事はあるのか？」という点です。実は、60代を歓迎する求人は多数存在しており、体力や経験、生活スタイルに合わせて選べます。ここでは、無理なく続けやすい5つの仕事をご紹介します。
1. 家事代行スタッフ｜体への負担が少なく、需要も安定
高齢者の中でも人気が高いのが、家事代行の仕事です。掃除・洗濯・簡単な調理など、自宅で行ってきた家事スキルをそのまま活かせます。特に一人暮らしの高齢者や共働き世帯の増加により、高いニーズが安定的に続いているのが特徴です。
重たいものを持つなどの力仕事はほとんどなく、短時間勤務や週数回から働ける案件も多いため、体への負担が少なく、60代でも安心して始められます。
2. マンション管理員｜見回り中心で未経験でもOK
体力的な負担が少なく、60代・70代から始める人が多いのがマンション管理員の仕事です。主な業務は、共用部分の清掃や施設の見回り、住民からの簡単な問い合わせ対応など。基本的に1人勤務のため、自分のペースで働けるのが魅力です。
資格や経験がなくても応募できるケースが多く、研修体制も整っているため、初めての仕事にも向いています。
3. 警備スタッフ｜シニア採用も多く、夜間勤務など選択肢が豊富
交通誘導や施設の巡回を行う警備の仕事は、60代以上の方の活躍が目立つ職種の一つです。特に夜間の施設警備や駐車場警備などは、座っての監視が中心となるため、体力に不安がある方にもおすすめです。
また、法定研修を受ければ未経験からでもスタート可能。警備業界全体が慢性的な人手不足ということもあり、年齢不問で積極採用されやすい仕事となっています。
4. 清掃スタッフ｜体を動かしながら健康も維持
朝の数時間、ビルや店舗の清掃を行う仕事は、日常的に軽く体を動かすのに最適です。特別なスキルは不要で、シニア向けの求人も多く見つかります。
勤務時間は短めで、午後以降は自由に過ごせることから、趣味や家族との時間と両立しやすいのもメリット。動くことで体力維持にもつながるため、健康目的で選ぶ人も多い仕事です。
5. ベビーシッター｜子育て経験を活かせる仕事
自身の子育て経験が活きる仕事として注目されているのがベビーシッター。最近では、シニア世代の安心感ややさしさに信頼を寄せる親御さんも多く、60代・70代のシッター需要が増えています。
特別な資格がなくても始められる案件もありますが、育児や保育士経験があればより有利。信頼関係が重視されるため、人柄がそのまま強みになる仕事です。
3．仕事を選ぶときの3つのポイント
60代から新しい仕事を始めるとき、年齢や体力、生活リズムなどの条件をしっかり考慮することが大切です。ここでは、安心して長く働ける仕事を選ぶために押さえておきたい3つの視点をご紹介します。
無理なく続けられる仕事内容かどうか
年齢を重ねると、若い頃と同じようなペースや負荷で働くことは難しくなります。だからこそ、「長く・無理なく続けられるか」が最も重要な基準になります。
具体的には以下のような点を確認しましょう。
・1日何時間くらい働くのか（短時間勤務が可能か）
・身体への負担がどれくらいあるか（重い物を持つ必要があるか）
・通勤時間や勤務地は負担にならないか
例えば、清掃や管理業務、夜間警備などは体力面に配慮されている仕事が多く、60代の方でも継続しやすい傾向にあります。
社会とのつながりが持てるか
年金＋αの収入を得る目的だけでなく、「働くこと」が社会とのつながりを生む貴重な機会になることも見逃せません。
人と話す機会がある仕事、誰かの役に立っていると実感できる仕事は、孤立を防ぎ、精神的な充実感を得ることができます。
例えば、家事代行やベビーシッターは、感謝の言葉を直接受け取れる仕事です。こうしたフィードバックが、働くモチベーションにつながることも少なくありません。
収入の条件と年金とのバランスをチェック
仕事選びの際には、「どれだけ収入を得たいのか」「年金との併用で税金や保険料にどんな影響が出るか」も把握しておくことが必要です。
例えば、厚生年金を受給している方が働く場合、「在職老齢年金制度」により収入が一定額を超えると年金が減額される場合があります。2022年からは緩和されましたが、月収＋年金額が47万円を超えると減額対象になる点には注意が必要です（※出典：日本年金機構）。
また、扶養の範囲内で働くことで家族の社会保険に加入し続けたい人は、「年収130万円未満」などのラインも重要です。
収入アップと制度のバランスを考え、自分に合った働き方を見つけましょう。
4．60代の就業を後押しする支援制度・サービスとは？
年金だけでは不安を感じている60代の方にとって、再就職や副業を支援する制度やサービスの存在は大きな味方です。国や自治体、民間が提供する仕組みを上手に活用すれば、安心して新たな一歩を踏み出すことができます。
ハローワーク・シニア向け求人サイトの活用
まず代表的なのが、ハローワーク（公共職業安定所）の活用です。ハローワークでは60歳以上の方向けの「生涯現役支援窓口」が設置されている地域もあり、求人紹介のほか、就職相談や面接対策、職業訓練まで無料でサポートを受けられます。
また、近年はシニア特化型の求人サイトも増えており、以下のようなサイトが特に人気です。
・キャリア65：65歳以上歓迎の仕事を多数掲載。
・シニアジョブ：全国対応。求人掲載数が多い。
・しごと体験付き求人サイト「おてつたび」：農業や観光地で短期的に働ける、地方の人手不足解消にも貢献できる新しい仕組み。
これらのサイトでは、「短時間OK」「週2日～」「未経験歓迎」など、シニアのライフスタイルに合った条件で検索しやすいのが特徴です。
地域の就労支援窓口やシルバー人材センター
各自治体が設けている地域包括支援センターや就労支援窓口では、地元密着型の仕事を紹介してくれることがあります。地元企業や自治体の清掃・管理業務など、ハローワークには出ていない案件に出会える可能性もあります。
また、全国各地にあるシルバー人材センターは、60歳以上の高齢者が地域で働くための公益法人です。年金との両立を前提とした「臨時・短期・軽作業」の仕事が中心で、働いた分だけ報酬を受け取る「配分金」という仕組みが採用されています。
たとえば、以下のような仕事があります。
・公共施設の清掃
・公園や花壇の手入れ
・子どもの見守りや通学支援
・宿直業務（夜間の見守りなど）
「ゆるやかに働きたい」「地域の役に立ちたい」という60代には特に相性のよい制度といえるでしょう。
5．まとめ：収入・健康・つながりを得て、安心の60代ライフを
60代で働き続ける理由は、決して「お金のため」だけではありません。確かに年金だけでは生活が不安な方も多いですが、それ以上に「健康を保つ」「人とのつながりを持つ」「社会で役割を果たす」という価値が、働くことには詰まっています。
今回ご紹介した仕事は、いずれも体への負担が少なく、社会のニーズが高い職種ばかり。自分のペースで無理なく取り組めるため、年金とのバランスもとりやすく、継続的な収入源として最適です。
また、シルバー人材センターやシニア専門の求人サイトといったサポートを利用すれば、未経験でもスムーズに仕事を始められます。地域やライフスタイルに合った働き方を選ぶことで、経済的な安心感だけでなく、日々の充実感や達成感も得られるようになります。
60代はまだまだ社会で活躍できる年代です。
「働く＝つらい」ではなく、「働く＝自分らしく生きる手段」ととらえ、年金＋αの仕事を取り入れて、これからの生活をより豊かにしていきましょう。
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