1. なぜ今「シニアの仕事探し」が注目されているのか?
かつて「60歳で定年を迎えたら悠々自適な老後を過ごす」というのが一般的な人生設計でした。しかし、現代の日本ではその常識が大きく変わりつつあります。背景にはいくつかの社会的・経済的な要因があり、それがシニア世代の「もう一度働きたい」という気持ちを後押ししています。
■ 年金だけでは暮らせないという現実
総務省の家計調査(2023年)によれば、高齢者夫婦世帯の平均支出は月に約25万円に対し、年金などの平均収入は約21万円。月4万円程度の赤字が発生しており、年金だけで十分な生活を送るのは難しいというのが実態です。特に一人暮らしの場合は支出の調整がしにくく、経済的な不安を感じる方が増えています。
■ 健康寿命の延びと“元気な70代”
一方で、日本の健康寿命(介護を必要とせず自立して生活できる期間)は、男性で約73歳、女性で約75歳とされており、70代でも元気に活動できる人が多数います。実際に体力面や意欲面で「まだまだ働きたい」「誰かの役に立ちたい」と考えるシニアも多く、社会全体としてもその活躍を期待する動きが強まっています。
■ 企業側のニーズも増加中
人手不足が続く中小企業やサービス業界では、安定した勤務姿勢と社会経験が豊富なシニア層の採用が進んでいます。特に「若手の確保が難しい」「定着率を上げたい」という課題を抱える企業では、シニア人材の活用が解決策として注目されています。
このように、経済的な必要性と身体的な元気さ、そして社会的な期待という3つの背景がそろい、今「シニアの仕事探し」が社会的にも個人の選択肢としても広く注目されているのです。
2. 収入だけじゃない!仕事がもたらす“生きがい”の効果とは?
シニア世代が仕事をする理由は、決して「お金」だけではありません。むしろ、「自分の居場所を持ちたい」「人と関わりたい」「社会の一員として役立ちたい」といった“生きがい”や“つながり”を求める気持ちが、就労を後押ししているケースが増えています。
■ 仕事は“社会との接点”を保つ場
退職後、家にこもる時間が増えると、社会との接点が急激に減ってしまうことがあります。特に一人暮らしの方は、人と話す機会自体が減り、孤独感を感じやすくなります。仕事を持つことで、同僚やお客様、地域の人たちとの会話が生まれ、日々の生活に張り合いが生まれます。
■ 精神面の安定と自己肯定感の向上
誰かに「ありがとう」と言われたり、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できると、人は自然と自己肯定感を高め、前向きな気持ちになれます。長年の経験やスキルを評価されることで、「まだまだ自分にもできることがある」と自信を取り戻すきっかけにもなります。
■ 健康面にも良い影響が
ある研究によれば、就労している高齢者は、非就労の同年代に比べて要介護状態になる確率が低いことがわかっています(参考:厚生労働省「健康日本21」)。適度な運動や人とのコミュニケーションが、認知症やうつの予防にも効果的だとされています。
■ 目的を持つことで生活にリズムが生まれる
退職後は「曜日感覚がなくなる」「1日中テレビを見て終わる」など、生活にリズムがなくなることもあります。しかし仕事があることで、早寝早起きや適度な活動量が自然に保たれ、生活習慣が整いやすくなるという効果も見逃せません。
このように、仕事をすることは「収入」だけでなく、「健康」「つながり」「自信」といった人生の充実度全体を高める効果があります。まさに“働くことが幸せの源”になる、そんな第二の人生の送り方が今、注目されています。
3. 70代からでも始めやすい!シニアに人気の仕事6選
70代からの再就職でも始めやすく、体力やスキルに応じて選べる仕事は数多くあります。以下は特に人気の職種です。
・警備スタッフ
座り仕事や巡回中心のポジションも多く、未経験から始めやすいのが魅力。日勤・夜勤など時間帯も選べます。
・マンション管理員
受付や巡回、清掃など業務は多岐にわたりますが、基本は静かな環境。年配層の採用も積極的です。
・清掃スタッフ
商業施設やオフィスビル、病院などでの軽作業。短時間勤務や週3勤務も多く、体への負担が少なめ。
・家事代行スタッフ
料理・掃除など家庭内の業務を代行。女性を中心に人気で、主婦経験がそのまま活かせる職種です。
・地域活動支援員
自治体やNPOによる高齢者支援・こども食堂の運営補助など。社会貢献性が高く、やりがいも◎。
・ベビーシッター
子育て経験を活かせる仕事。短時間や単発勤務も可能で、柔軟な働き方ができます。
これらの仕事は、シニア向け求人サイトや自治体の支援窓口などでも多く紹介されています。
4. 自分に合った仕事を見つけるには?選び方の3つの視点
70代からの仕事選びでは、「年齢に合うかどうか」「無理なく続けられるか」が非常に重要です。若い頃のように「とりあえずやってみよう」というスタンスでは、体調や生活とのミスマッチが起きやすく、長続きしないケースもあります。そこで、シニアが自分に合った仕事を選ぶための“3つの視点”をご紹介します。
① 体力と生活スタイルに合っているか?
まず第一に、自分の体力や健康状態に合った仕事内容かどうかを見極めましょう。
たとえば、毎日立ち仕事が続く仕事や、重い荷物を扱う業務は、70代では思っている以上に体に負担がかかります。逆に、座ってできる受付業務や巡回中心の警備、家事代行などは、体への負担が少なく、長く続けやすい傾向にあります。
また、シフトの自由度や勤務時間帯も重要です。週2〜3回の勤務や午前中だけの仕事など、生活リズムに無理のない働き方を選ぶことが、継続の秘訣です。
② 自分の経験や得意なことを活かせるか?
シニア世代が持っている最大の強みは、これまでの人生経験や仕事のスキルです。
たとえば、接客業の経験がある人は受付や案内、育児経験がある人はベビーシッターや子育て支援に向いています。また、家庭での家事スキルを活かせば、家事代行の仕事でも即戦力になれます。
「もう歳だから新しいことは無理」と思わず、今ある自分の引き出しを活かせる仕事を選ぶことで、再スタートもスムーズにいきます。
③ 働く目的を明確にする
「お金のため」なのか、「社会とのつながりのため」なのか、「生きがいを感じたいから」なのか――自分が働く目的を明確にすることで、仕事選びにブレがなくなり、ミスマッチを防げます。
例えば、
・「生活費の足しにしたい」→時給や交通費がしっかり出る仕事
・「地域とつながりたい」→自治体の支援事業やボランティア的な仕事
・「できるだけ楽しく働きたい」→人と話すことが多い仕事
このように目的に合った職種を選ぶことで、働くこと自体が楽しみになり、充実感を得やすくなります。
無理をせず、自分に合った働き方を見つけることが、長く楽しく働くための第一歩です。焦らず、自分にとって“ちょうどいい”仕事を探していきましょう。
5. 無理なく働き続けるために大切な3つのポイント
再就職後、「思ったよりきつくてやめてしまった」「体がもたなくて続かなかった」という声は珍しくありません。特にシニア世代にとって大切なのは、“がんばりすぎず、無理せず、長く続けられる働き方”です。ここでは、そのために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
① 自分に合った雇用形態を選ぶ
シニアの仕事探しでは、「雇用形態」が働きやすさを左右する重要な要素です。会社員のようなフルタイムの正社員ではなく、パートタイム・アルバイト・業務委託・ボランティア的な関わり方など、柔軟な働き方が選べるケースも多くなっています。
・週2〜3回だけ働きたい
・午前中だけがいい
・定年後でも自営業のように自由に働きたい
など、自分のライフスタイルに合った条件で探すことで、「無理なく続けられる仕事」に出会える確率が高くなります。
② 定期的な健康管理を心がける
70代からの仕事は、体調の変化に応じたセルフケアが必須です。特に働き始めた直後は、生活リズムの変化や疲労の蓄積によって、思わぬ体調不良を起こすこともあります。
・定期的な健康診断
・こまめな休憩
・適度な運動やストレッチ
・水分補給、食生活の改善
これらを意識しながら日常を整えることが、長く元気に働き続けるための土台になります。また、気になる症状があれば無理せず医療機関を受診することも大切です。
③ ストレスの少ない職場環境を選ぶ
仕事を長く続けるには、「職場の人間関係」や「通勤距離・仕事内容の負担」など、精神面・環境面でのストレスが少ないかどうかも重要なポイントです。
・通勤がしんどくない場所か?
・人間関係に過度なストレスはないか?
・自分の性格に合った働き方ができるか?
これらを事前にチェックし、実際の面接や職場見学などで雰囲気を確認するのも効果的です。「ちょっと合わないかも」と思ったら無理に続けず、別の仕事に切り替える柔軟さも必要です。
続けるコツは「がんばりすぎないこと」
「もう年だから…」と心配する必要はありませんが、「若い頃のように働く」ことを目指すのも無理があります。70代からの仕事は、“がんばりすぎず、ちょうどよく続ける”ことが何よりの成功です。
「体に負担をかけすぎていないか」「楽しく通えているか」といった自身の状態を常に確認しながら、自分のペースで働ける仕事と向き合っていきましょう。
6. まとめ|年金+αで安心とやりがいを手に入れる第一歩
年金だけでは生活が成り立たない…そんな不安を抱えるシニア世代は少なくありません。ですが、今の時代、70代になっても働ける場所・求められる仕事は確実に増えています。
働くことは、収入面のサポートだけでなく、「誰かに必要とされる喜び」や「社会とのつながり」を実感できる大切な機会でもあります。無理をせず、自分のペースで、得意なことや過去の経験を活かして働くことで、生活のリズムが整い、心と体の健康を保つことにもつながります。
特に、警備・マンション管理・清掃・家事代行・地域活動・ベビーシッターといった職種は、70代からでもチャレンジしやすく、やりがいを感じやすい仕事です。選び方のポイントや働き方を工夫すれば、「年金+α」の安心とともに、充実した毎日を送ることができるでしょう。
これからの時代は「何歳まで働けるか」よりも、「何歳からでも再出発できるか」が問われる時代です。自分に合った仕事を見つけることは、人生後半を前向きに歩むための第一歩。ぜひ一歩踏み出して、自分らしい働き方を見つけてみてください。
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