シニア世代に広がる選択肢|仕事としてのツアーガイドという新しい働き方

シニア活躍事例

1. ツアーガイドってどんな仕事?|仕事内容と求められるスキル

ツアーガイドとは、観光地を訪れるお客様を案内し、旅をより深く楽しんでもらうための「旅の案内人」です。ただ場所を説明するだけでなく、歴史や文化、逸話などをわかりやすく伝えることで、ツアー全体の満足度を高める大切な役割を担っています。

主な仕事内容は以下の通りです。

・観光地での案内、解説
・スケジュール管理や誘導
・安全確保と緊急時対応
・集合場所や移動手段の管理
・お客様とのコミュニケーション

求められるスキルは、「話す力」や「気配り」が中心です。専門知識があるに越したことはありませんが、それよりも“人を楽しませる力”や“その場を明るくできる人柄”が重視されます。とくにシニア世代は人生経験が豊富なため、話題も豊富で聞き手の心をつかみやすい傾向があります。

また、外国人向けツアーでは語学力が求められるケースもありますが、国内観光であれば特別な資格がなくても始められる求人も多くあります。


2. シニアにこそ向いている理由とは?|人生経験が活きる場面

ツアーガイドの仕事は、実はシニア世代にとても向いている職種のひとつです。その理由は、大きく3つに分けられます。

1)人生経験が接客に深みを与える

長年の社会人経験を通じて培われた“対応力”や“共感力”は、観光客とのコミュニケーションにおいて強力な武器になります。ちょっとしたトラブルにも落ち着いて対応できる人柄は、ツアー全体の安心感につながります。

また、昔の文化や時代背景を自分の記憶と重ねて語れることもあり、シニアガイドならではの“味のある案内”が参加者から好評を得るケースも多く見られます。


2)落ち着いた雰囲気が信頼を生む

ツアーガイドに必要なのは、常に元気に話すだけではありません。ときに静かに、でもしっかりと大事な情報を伝える“落ち着き”が求められます。シニア世代の穏やかな雰囲気や気配りは、年配の旅行者から特に信頼されやすく、参加者の年代によってはガイドとの年齢が近いことが安心材料にもなります。


3)柔軟な勤務体系に合っている

ツアーガイドの仕事は、短時間勤務や季節限定の仕事も多いため、「体力には少し不安があるけれど、まだ働きたい」というシニア層にも無理のない働き方が可能です。観光地によっては地元の知識を活かせる“地域限定ガイド”も増えており、移動負担も軽減できます。


3. ツアーガイドになるには?|資格・研修・採用の流れ

ツアーガイドとして働くには、必ずしも国家資格が必要というわけではありません。仕事の内容や雇用形態によって必要な資格やスキルが異なりますが、シニア世代でも十分にチャレンジできる道があります。

1)資格が必要なケースとそうでないケース

国内旅行のガイド業務は、観光地を案内する「添乗員(ツアーコンダクター)」とは異なり、資格が不要な場合も多くあります。ただし、観光バスでのガイドや、語学を使う「全国通訳案内士」(国家資格)などは、一定の資格や登録が必要です。

代表的な資格例:
全国通訳案内士(英語など):国家資格、訪日外国人の案内に必要
国内旅程管理主任者:旅行会社のツアーに添乗する際に必要
地域通訳案内士:都道府県の認定、地域限定で活動可能

資格がなくても応募できる「観光案内スタッフ」「観光施設ガイド」「ボランティアガイド」などの仕事も多く存在し、初めての方におすすめです。


2)研修制度や育成プログラムがある求人も多数

近年では、観光業界も人手不足からシニア層を積極的に採用しており、未経験者向けに研修制度を整えている企業や自治体も増えています。たとえば、観光協会や地元行政が実施する「ガイド育成講座」では、歴史や話し方、接客マナーなどを一から学べるのが特徴です。


3)採用の流れと応募のコツ

応募の多くは「観光会社」「旅行会社」「自治体」「NPO団体」などから出されています。求人サイトで「ツアーガイド」「観光案内」「観光スタッフ」などのキーワードで検索するほか、地域の観光協会などに問い合わせるのも一手です。

採用時には、面接や簡単な適性チェックが行われることが一般的ですが、「人柄」や「対話力」を重視する傾向が強く、年齢だけで不利になることは少なくなっています。


4. どんな働き方ができる?|パート・登録型・フリーランスなどのスタイル

ツアーガイドの仕事は、シニア世代にとって「柔軟に働ける」点でも魅力的です。勤務スタイルにはいくつかのパターンがあり、自分の体力やライフスタイルに合わせて選ぶことができます。

1)パート・アルバイトとして観光施設で働く

観光地の資料館や庭園、歴史スポットなどで、来場者を案内する形で働くガイドの多くはパート勤務です。決まった曜日や時間だけ働けるため、体力的な不安がある方でも無理なく続けやすい形態です。時給制で交通費支給がある求人も多く、地元志向のシニアに人気があります。


2)ツアー会社に登録して働く「登録型ガイド」

観光バス会社や旅行会社に登録し、依頼がある日だけガイド業務を受ける「登録制」も主流のスタイルです。事前に依頼スケジュールが決まり、1日単位で働くため、時間を自由に使いやすいのが特徴。空き時間に稼ぎたい人や、季節限定で働きたい人にも向いています。


3)経験を積んで独立も可能!フリーランスガイド

自治体の許可や国家資格が必要になりますが、経験を積んでからフリーの観光ガイドとして活動する人も増えています。特にインバウンド(訪日外国人)需要が戻ってきた昨今、語学ができるシニア層にはニーズがあり、自らSNSやサイトで集客をする人も。報酬は歩合制ですが、自分の得意分野を活かして活動範囲を広げられます。


4)ボランティアから始めて仕事に発展する例も

初めからお金を目的にせず、地元ガイドボランティアに参加することでスキルを身につける方法もあります。そこから実績を評価されて有償のガイド依頼を受けるようになった例も少なくありません。


5. シニア向け求人はどこで見つかる?|ツアーガイドの仕事探しのコツ

ツアーガイドの仕事に興味があっても、「どこで求人を探せばいいの?」と戸惑う方も多いはずです。実際、シニア向けの求人は一般的な転職サイトにはあまり掲載されないこともあるため、探し方の“コツ”を知っておくことが大切です。

1)シニア向け求人サイトを活用する

まず注目したいのが、シニア世代を対象とした求人サイトです。こうした専門サイトでは、年齢不問や60歳以上歓迎の仕事が多数掲載されており、体力面や勤務時間などの条件も柔軟なケースが多く見られます。

たとえば、「キャリア65」「シニアジョブ」などのサイトでは、観光案内やガイド補助といった求人が地域別に掲載されており、初めての方でも安心して探せます。


2)地域の観光協会・自治体に相談する

特に地方では、地域の観光協会や市区町村が観光ボランティアガイドの育成事業を行っているケースがあります。最初は無償での活動ですが、実績を積めば有償の業務にステップアップするチャンスもあります。

また、「観光ガイド養成講座」などの案内が市の広報誌やホームページで募集されていることもあるため、こまめに情報をチェックするのがおすすめです。


3)旅行会社・観光施設の公式サイトもチェック

JTBやHISなどの大手旅行会社、または観光バス会社の公式サイトでは、「登録ガイド募集」「ツアーガイド募集」といった採用情報が出されることもあります。特に春や秋の観光シーズン前は人手を募集する傾向があるため、季節のタイミングを狙って応募すると良いでしょう。


4)知人紹介や口コミも有効

ツアーガイド業界は“人のつながり”が強い分野でもあります。既に活動している知人や地域ボランティアなどからの紹介をきっかけに仕事につながるケースも多く、「一歩踏み出す」ことで道が開ける仕事でもあります。


6. 無理なく始めるには?|仕事探しと体力・健康面の準備ポイント

ツアーガイドの仕事は魅力的ですが、シニア世代が無理なく続けるためには、事前の心構えと体調管理がとても大切です。せっかく始めたのに体調を崩して辞めてしまっては本末転倒。ここでは、健康を保ちながら長く続けるためのポイントを紹介します。

1)まずは「短時間勤務」や「地元密着型」から始めよう

シニアがいきなりフルタイムのガイド業務をこなすのは、体力的にも精神的にも負担が大きいかもしれません。最初は週1回〜2回程度、短時間勤務や観光施設内での案内など、負担が少ない仕事からスタートするのがおすすめです。

また、遠方まで移動するツアーよりも、地元密着型のガイド業務であれば通勤時間も短く、無理なく続けやすくなります。


2)体力維持のための簡単なトレーニングも大切

ツアーガイドは立ち仕事や屋外移動が多いため、ある程度の体力は必要です。激しい運動ではなくても、ウォーキングや軽いストレッチ、足腰の筋力を保つ運動を日常に取り入れることで、ガイド中も疲れにくい体づくりができます。

特に観光地では階段や坂道も多く、意外と“歩く距離”が長くなることも。歩き慣れていない方は、事前に「1日5,000歩程度」を目標にウォーキングを習慣づけると安心です。


3)声や発声のトレーニングも有効

人前で話す仕事なので、声が通るかどうかも重要です。特に屋外やバス内では雑音が多く、声が通りにくいこともあります。発声練習や簡単な滑舌トレーニングを取り入れることで、疲れにくく、はっきりと話せるようになります。


4)体調管理と休息のバランスを意識

シニア世代にとって「無理しすぎない働き方」が最も大切です。ツアーガイドの仕事は繁忙期(春・秋)と閑散期が分かれているため、体力に合わせて繁忙期だけ働く、あるいは自分のペースで案件を選ぶといったスタイルも可能です。

働くことに前向きであることと同じくらい、「休む勇気」も重要です。


7. まとめ|“旅”を仕事に変えるシニアの新しい生き方

ツアーガイドという仕事は、「旅」が好きな人にとって、まさに趣味と実益を兼ね備えた理想の働き方です。観光地を案内しながら人と触れ合い、自分の知識や人生経験を誰かのために活かせる──そんな充実感は、年齢を重ねたからこそ得られる喜びともいえるでしょう。

特にシニア世代にとって、ツアーガイドは以下のような点で大きなメリットがあります。

・自分のペースで働ける(登録型や短時間勤務など)
・人生経験がそのままスキルになる
・健康を維持しながら、社会とのつながりを持てる
・「話すこと」「伝えること」で自己価値を再確認できる

退職後、「自由な時間が増えたはずなのに、なんだか物足りない」と感じている方にこそ、ツアーガイドという仕事は新しい生きがいをもたらしてくれます。

年齢に縛られず、自分らしく“社会に参加する”手段として、ツアーガイドという選択肢をぜひ検討してみてください。

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