シニアの移動がもっと自由に!電動カートで広がる毎日の行動範囲

生活

【1. 電動カートとは?|高齢者の移動を支える便利なモビリティ】

「電動カート」とは、電気の力で動く一人乗りの乗り物で、高齢者や歩行に不安のある方の移動をサポートする福祉機器です。公的には「電動車いす」の一種に分類されており、「シニアカー」「セニアカー」と呼ばれることもあります。ハンドル操作で前後に進み、アクセル・ブレーキも手元で簡単に操作できるよう設計されているため、運転免許が不要で、誰でも気軽に扱えるのが大きな特徴です。

一般的な電動カートは時速6kmほど(成人の早歩きと同じくらい)の速度で走行し、家庭のコンセントから充電して使用します。1回の充電で約20〜30km走れるモデルが多く、買い物や通院、公園散策など、日常の移動には十分な性能を備えています。

特に近年は、コンパクトなモデルや折りたたみ式、デザイン性の高いものまで登場し、選択肢が大幅に広がっています。これにより、「歩くには距離が長すぎるけれど、車を使うほどでもない」といった中間的なニーズにピッタリと応えてくれる存在となっています。

高齢になってから「外出が億劫になった」「足腰が弱ってきた」と感じている方でも、電動カートがあれば再び“自分の足”で自由に出かけることが可能になります。移動の自由を取り戻すことは、身体的な自立だけでなく、心理的な前向きさや社会的なつながりの維持にもつながっていきます。


【2. なぜ今、シニアに電動カートが選ばれているのか】

電動カートの利用者は年々増加傾向にあります。背景には、シニア世代のニーズや社会環境の変化があります。中でも特に注目すべきなのは「高齢化の進行」と「免許返納の増加」です。

警察庁の発表によると、2023年の運転免許証の自主返納者数は年間約60万人に達しました。※
高齢者による交通事故が社会問題化するなかで、安全を考慮して免許を返納する人が増えていますが、その結果「日常の移動手段がなくなる」という新たな課題に直面する人も少なくありません。

こうした中で、徒歩より楽に、安全性が高く、かつ免許不要で操作できる電動カートは、多くのシニアにとって理想的な移動手段となっています。

また、家族の側から見ても、電動カートであれば

・車の運転よりリスクが少なく、
・転倒や熱中症の予防にも役立ち、
・ちょっとした買い物や通院も自立して行ける

といったメリットがあり、安心して送り出せる手段として支持を集めています。

さらに、自治体によっては電動カートの購入費用やレンタル費用を一部補助する制度を設けているところもあり、「手が届く選択肢」として現実味を帯びてきているのも、普及に拍車をかける理由の一つです。

便利さ・安全性・費用面・操作性という4つの視点で見ても、電動カートは今のシニア世代にぴったり合う移動手段として、多くの関心を集めています。

※出典:警察庁「運転免許統計(2023年版)」より


【3. 利用シーンでわかる!電動カートがあると変わる日常生活】

電動カートは「移動手段」としてだけでなく、日常生活の“質”そのものを向上させてくれる存在です。実際に使用しているシニアの声や利用シーンを見ていくと、その価値がより明確になります。

●買い物や通院がラクに

もっとも多い利用シーンは「近所への買い物」や「通院」です。たとえば、週に何度かスーパーに出かけたいが、歩くと疲れてしまう…という方でも、電動カートがあれば無理なく移動できます。車とは違い、駐車場探しのストレスもなく、店舗の入り口近くまでスムーズにアクセスできるのも利点です。


●「行ける場所」が増えることで、外出が楽しみに

電動カートがあると、以前なら敬遠していた公園、図書館、駅前のイベント会場などにも足を運べるようになります。「今日は気候がいいから、少し足を伸ばして公園まで」といった、日常のなかの“ちょっとした冒険”が叶います。

これは、単なる移動範囲の拡大にとどまらず、心理的な面でも非常に大きな効果があります。「また一人で出かけられた」という小さな達成感が自信につながり、外出意欲や社会とのつながりを取り戻すきっかけになるのです。


●家族や地域との交流も増える

自宅にこもりがちだった方が、電動カートを使うようになってからは、近所の知人や昔の友人との再会が増えたという声も多くあります。バスやタクシーを使わなくても気軽に動けることで、コミュニティとの距離がグッと近づきます。

こうした“ふだんの生活”の中での自然な交流は、認知症予防やうつ症状の軽減にも役立つとされ、電動カートがもたらすのは「便利さ」だけでなく「心の健康」にも及んでいることがわかります。


【4. 電動カートの選び方|安全・快適に使うためのポイント】

電動カートを選ぶ際には、自分の生活環境や身体の状態に合ったモデルを選ぶことが何より大切です。ここでは、初めての方でも失敗しないための選び方のポイントを紹介します。


① 使用目的と走行距離で選ぶ

まず意識したいのは、「どんな用途で、どのくらいの距離を移動するのか」です。近所のスーパーや病院への移動が主であれば、航続距離20km前後の一般的なモデルで十分対応できます。

一方で、「1日に複数カ所を移動したい」「週に何度も外出する」という場合は、バッテリー容量が大きく長距離対応のモデルがおすすめです。バッテリー残量の確認方法も、デジタル表示があるかどうかチェックしておきましょう。


② サイズと操作性をチェック

日本の歩道やスーパーなどの通路幅を考えると、「全長・全幅」は重要なポイントです。幅が狭め(60cm以下)のモデルは小回りが利き、混雑した場所でも安心です。

また、ハンドルタイプ(スクーター型)とレバー操作型(ジョイスティック式)がありますが、操作に慣れていない方にはハンドル式が直感的で使いやすいとされています。


③ 安全機能の有無を確認

転倒や衝突を防ぐための「自動ブレーキ」「傾斜警告」「低速モード」などの安全機能も必ずチェックしましょう。特に坂道の多い地域では、登坂性能や減速時の安定性も重要です。

夜間の走行や夕暮れ時に備えて、ライトや反射板が装備されているかも確認しておくと安心です。


④ アフターサポート・修理体制も重要

意外と見落としがちなのが、購入後のサポート体制です。故障時に自宅まで出張修理に来てくれるか、電話サポートがあるかどうかなども含めて、販売店の信頼性をチェックしましょう。メーカーによっては試乗体験やレンタル制度を提供しているところもあります。


選ぶ際は、「今の自分」だけでなく「これからの自分」も見据えて、少し余裕のあるモデルを選んでおくと長く安心して使えます。


【5. 電動カートの費用・補助制度について知っておこう】

電動カートは非常に便利な乗り物ですが、気になるのがその費用面。購入前に予算や補助制度について把握しておくことは、安心して導入するための重要なポイントです。


●電動カートの価格帯

一般的な電動カートの価格は、新品でおおよそ20万円〜50万円前後。機能やサイズ、安全装備によって大きく幅があります。

・コンパクトタイプ:20〜30万円
・標準モデル(走行距離20km前後):30〜40万円
・高機能モデル(長距離・高安定性):40万円以上

中古品であれば10万円台から購入できる場合もありますが、バッテリーの劣化や保証内容には十分な注意が必要です。


●ランニングコストは?

電動カートは充電式なので、ガソリン代は不要です。1回のフル充電にかかる電気代はおおよそ10〜20円程度と非常に経済的。

その他に考慮すべきなのは「バッテリーの交換費用」(数年に一度で約3〜5万円)や「定期点検費用」などです。とはいえ、維持費は自動車に比べて非常に抑えられるのが特徴です。


●購入補助制度を活用しよう

多くの自治体では、高齢者の外出支援福祉機器導入支援の一環として、電動カートの購入やレンタルに対する補助金制度を設けています。

たとえば:

・一部地域では購入費の1/2を補助(上限20万円)
・1年間のレンタル費用を全額補助
・非課税世帯向けの優遇制度

など、支援内容は自治体によって異なります。お住まいの市区町村の福祉課・高齢福祉課などで詳細を確認するとよいでしょう。


●レンタルという選択肢も

購入に迷う場合は、レンタルから試すのも賢い方法です。1か月あたり5,000〜8,000円前後で利用できるサービスが多く、使い勝手や自分に合うかを試してから購入を検討できます。


電動カートは決して“ぜいたく品”ではなく、支援制度を活用すればより現実的な選択肢になります。「自分に必要」と感じたときが導入のタイミングです。


【6. 安心して使うために|事故を防ぐための使い方とマナー】

電動カートは高齢者でも手軽に操作できる便利な乗り物ですが、安全に使うためには基本的なルールやマナーの理解が欠かせません。誤った使い方は、思わぬ事故やトラブルにつながることもあるため、ここでは「安全運転のポイント」と「公共の場でのマナー」を解説します。


●電動カートは「歩行者」扱い

まず知っておきたいのは、電動カートは「道路交通法上、歩行者」として扱われるという点です。つまり、基本的には歩道を走行する乗り物であり、自転車レーンや車道を走ることは原則できません。

信号のある横断歩道は、歩行者と同じルールで渡ります。交通ルールを守ることは、事故防止とともに歩行者としての責任でもあります。


●操作に慣れるまでは練習を

納車されたばかりの電動カートは、最初のうちは慎重に操作しましょう。特に以下の点は重点的に練習しておくと安心です。

・停止やバック操作
・狭い道での方向転換
・坂道での登坂、減速の感覚
・左右の確認とブレーキ操作の連携

公共の歩道や商業施設でのトラブルを防ぐためにも、自宅周辺や広場での事前練習をおすすめします。


●周囲への配慮を忘れずに

歩道を走る際には、歩行者との距離をしっかりと確保し、スピードを控えめに保つことが大切です。時速6km以下が標準ですが、混雑している場所ではさらにスピードを落としましょう。

また、以下のようなマナーを守ることで、周囲とのトラブルを防ぐことができます。

通行中は必ず左側通行
人混みでは徐行または一時停止
店舗内ではエンジン音や動作音に注意
通行が困難な場合は手で押して進む判断も大切


●夜間の走行はライト点灯を忘れずに

夕方以降の利用では、前照灯(ライト)を点けて視認性を高めましょう。自分が周囲に見えることはもちろん、道路の段差や障害物を事前に察知するためにも重要です。


「安全第一」の意識を持つことで、電動カートは快適な生活のパートナーになります。マナーを守りながら、自分も周囲も安心できる走行を心がけましょう。


【7. まとめ|“もう一度あの場所へ”を叶える暮らしの味方】

電動カートは、単なる「移動手段」にとどまらず、シニア世代が再び自分らしい日常を取り戻すための“きっかけ”となる存在です。足腰に不安があっても、自分で買い物に行き、散歩に出かけ、通院もスムーズに——そんな日常が電動カートによって実現できます。

「歩くのがつらくなって外出が減った」「免許を返納してから不便になった」と感じていた方も、電動カートがあることで再び行動範囲が広がり、生活に張り合いが生まれます。

また、公共交通機関に頼らず、自分のペースで出かけられることで、心にも余裕が生まれ、「今日はあそこに寄ってみようかな」「久しぶりに友人と会ってみよう」といった前向きな気持ちにもつながります。

選び方や安全な使い方を理解し、地域の補助制度を上手に活用すれば、電動カートはとても身近な存在になります。何よりも、“もう一度、あの場所へ”行ける自由を手に入れることで、人生そのものが少しずつ輝き始めるのではないでしょうか。

暮らしを豊かにするために、そして自分らしく生きるために——
電動カートは、これからのシニアライフを支える心強い味方です。

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