1. 節約旅ってどんな旅?|シニア世代にこそおすすめな理由
「節約旅」とは、その名の通り、費用を抑えながらも旅の楽しみをしっかり味わえる旅行スタイルです。無理なく、ムダなく、賢く旅を楽しむ方法として、近年シニア世代からの注目が高まっています。
特に年金生活に入った方にとっては、「経済的な余裕がなくても旅に出たい」という願いが強くなります。節約旅は、まさにその願いを叶える手段です。高額なホテルや豪華な食事にこだわらず、地域の魅力や人とのふれあいに価値を置いた旅は、心の満足度も高まります。
また、節約旅は健康面でもメリットがあります。外出の機会が増え、歩く・話すといった日常動作が自然と増えるため、フレイル(虚弱)予防や認知症予防にもつながると言われています。さらに、「自分のペースで動ける」「自分の行きたい場所を選べる」という自由度の高さも、リタイア後の旅を楽しむうえで大きな魅力です。
そして何より、旅を計画すること自体が大きな楽しみとなります。安い交通手段を探したり、宿を比較したりするプロセスが、新たな発見や喜びをもたらし、「生きがい」にもつながります。
2. 移動費を抑えるコツ|お得な交通手段と割引制度
旅の中でも大きな割合を占めるのが「移動費」。遠くへ行こうとすればするほど交通費はかさみますが、実はシニア世代向けの割引制度をうまく活用することで、驚くほどコストを抑えることができます。
シニアにおすすめの交通手段と割引制度
● JRの「ジパング倶楽部」
JR各社が提供している「ジパング倶楽部」は、満65歳以上を対象にした割引制度。入会するとJRの乗車券・特急券が最大30%割引になります(利用には一定の条件あり)。年会費はかかりますが、年に数回以上鉄道を利用する方には十分元が取れる制度です。
引用元:JR各社「ジパング倶楽部」公式サイト(https://www.toretabi.jp/zipangclub/)
● 高速バス・夜行バス
「ウィラートラベル」や「バスぷらざ」など、インターネットで予約できる格安バスサイトを利用すれば、同じ区間でも新幹線の1/3以下の料金で移動できることも。時間はかかりますが、ゆっくり旅を楽しみたいシニアにはぴったりです。
● LCC(格安航空会社)の活用
ピーチ、ジェットスター、スプリング・ジャパンなどのLCCは、キャンペーンをうまく使えば片道数千円で国内移動が可能。荷物制限や座席指定などに注意すれば、快適かつお得な空の旅が楽しめます。
● 地方の公共交通機関
市内バスや観光電車、ローカル線には「1日乗車券」「高齢者割引」が用意されていることもあります。事前に自治体や観光案内所のWebサイトで調べておくと安心です。
節約と同時に「体験」を得られる移動手段も
移動費を抑えるだけでなく、「旅の一部」として楽しめる交通手段もおすすめです。たとえば、ローカル線やフェリー、レンタサイクルなどは、移動そのものが観光体験になることも。コストを下げながら旅の思い出を増やせる、一石二鳥の選択肢です。
3. 宿泊費を安くする方法|高齢者にやさしい宿の選び方
節約旅において、移動費と並んで大きなウェイトを占めるのが「宿泊費」です。とはいえ、安さだけを重視してしまうと、シニア世代にとっては不便だったり、疲れが溜まったりしてしまうことも。そこで重要なのが、「安くて快適」な宿を賢く選ぶことです。
公共の宿・シニア向け割引を活用しよう
「国民宿舎」「かんぽの宿」「休暇村」などの公共の宿泊施設は、一般的なホテルや旅館に比べて価格が抑えられており、一泊5,000〜8,000円台でも快適に宿泊できます。食事付きでも1万円以内で済むことも多く、安心して利用できます。
また、JAF(日本自動車連盟)や生協、シニアクラブなどの会員であれば、提携宿泊施設での割引が受けられるケースもあります。
「平日」「オフシーズン」を狙って予約する
シニア世代ならではの強みは、旅行時期を自由に選べること。平日や繁忙期を避ければ、宿泊費がぐっと安くなります。特に楽天トラベルやじゃらんなどの予約サイトでは、平日限定プランや直前割引プランが多数掲載されています。
また、「じゃらん」「楽天トラベルなどのシニア向け特設ページをチェックすれば、段差が少ない宿、和室がある宿、温泉付き宿など、年齢に配慮した施設も探しやすくなっています。
引用:楽天トラベル「50歳からのテーマから探す旅」特集ページ(https://travel.rakuten.co.jp/special/senior/)
民泊・ゲストハウスという選択肢も
一人旅や数日の滞在なら、「Airbnb」などの民泊や小規模なゲストハウスも視野に入ります。キッチン付きの部屋なら、食費も節約できますし、オーナーや他の宿泊者との交流も生まれ、旅の楽しみが広がります。
ただし、バリアフリー対応やセキュリティ面については事前にしっかり確認しましょう。
4. 食費と観光費を節約しながら楽しむテクニック
旅先での食事や観光は、楽しみのひとつであると同時に、出費がかさみやすいポイントでもあります。しかし、工夫次第で「楽しさ」はそのままに、費用をぐっと抑えることが可能です。シニア世代におすすめの、節約しながら満足度を高めるコツをご紹介します。
ご当地スーパー・道の駅を活用する
外食に頼りすぎず、地元のスーパーや道の駅での食事・買い物は、節約旅の強い味方です。地域ならではの惣菜や弁当、旬の食材が手頃な価格で手に入るため、宿でゆっくり楽しむのも一案。
また、道の駅では地域の特産品や手作りの名物が販売されており、「買って食べる+旅気分」も満たされます。価格も観光地の飲食店に比べてリーズナブルです。
モーニングやランチをうまく活用
外食をする場合は、「モーニングサービス」や「ランチタイム」に注目。例えば、全国チェーンの喫茶店や地元の定食屋では、朝食付きで数百円、ランチでも1,000円以内でしっかりとした食事が楽しめます。
夕食は軽めにすることで健康にも良く、食費も抑えられるというメリットもあります。
無料・格安の観光スポットを選ぶ
観光費を抑えるためには、入場無料や割引がある観光施設をリストアップしておくのが効果的です。以下のような施設は、費用をかけずに旅の充実度を高めてくれます。
・公園、庭園、歴史街道の散策
・博物館や資料館(シニア割引がある施設も多数)
・神社仏閣などの文化施設(お賽銭だけで見学可能)
・無料で見学できる工場や伝統工芸の体験施設
「旅の回数を増やす」ための考え方
豪華な1回よりも、気軽な数回。一度の旅に多くを詰め込むよりも、移動範囲を狭めて近場で日帰り旅や1泊旅を重ねるほうが、コストパフォーマンスもよく、体への負担も少なく済みます。
5. 働きながら旅するという選択肢も|“ワーケーション型”節約旅のすすめ
「旅をしながら働くなんて、自分には関係ない」と思っていませんか?
最近では、シニア世代にも広がりつつある新しい旅のスタイルが注目されています。それが、“ワーケーション型節約旅”です。ワーク(働く)+バケーション(休暇)を組み合わせたこの方法は、収入を得ながら旅先を楽しめるという魅力があります。
ワーケーションは若者だけのものではない
パソコン1台で完結する在宅ワークや、観光地や地方での短期アルバイトなど、シニアが参加できるワーケーションの形も多様化しています。たとえば、次のような選択肢があります。
・観光地のホテルや民宿での住み込みスタッフ
・農家民泊や地域イベントの短期ボランティア型アルバイト
・自分の特技を活かしたリモート講座・指導(例:パソコン・語学・書道など)
宿泊費・食費が無料になるケースも
働くことで「旅費の一部、または全部をまかなえる」のがワーケーションの最大の魅力。特に住み込み型の仕事では、宿泊費・食費が無料で提供されるケースも多く、文字通り「お金を使わない旅」が可能です。
また、長期滞在が可能なため、その地域ならではの文化や暮らしにじっくり触れることができ、「観光以上・移住未満」の体験ができます。
ワーケーション求人を探すには?
以下のようなサイトを利用すれば、シニア世代でも応募しやすい仕事を探すことができます。
・おてつたび
・NPO法人ふるさと回帰支援センターの紹介する地域仕事
・地域おこし協力隊や自治体の短期プロジェクト
また、クラウドソーシング(ランサーズ、クラウドワークスなど)でのリモートワークと旅を組み合わせることで、自分のペースで働くことも可能です。
参考:総務省「ワーケーションによる地域活性化の可能性」資料(2023年)
6. 節約旅を楽しむための準備と注意点
節約旅は、コストを抑えつつ心を豊かにしてくれる魅力的なライフスタイルです。しかし、シニア世代が無理なく安全に楽しむためには、しっかりとした準備と配慮が欠かせません。ここでは、安心して旅を楽しむためのチェックポイントを紹介します。
無理のない旅程を立てよう
シニア世代の節約旅では、「予定を詰めすぎないこと」が最大のコツ。移動は1日2カ所程度までに抑え、長時間のバスや列車の利用には休憩や一泊を挟むなど、体力に合わせた計画が重要です。体調不良や疲労が旅の思い出を台無しにしないよう、時間に余裕を持った行程を心がけましょう。
健康管理と服薬・持病への対応
持病を抱える方は、事前にかかりつけ医へ相談し、薬を多めに持参しておくのが安心です。旅行中に備えて以下も確認しておきましょう。
・保険証のコピーを携帯(またはスマホにスキャン保存)
・お薬手帳や服薬リストの持参
・滞在先近くの病院、クリニックの確認
・酷暑、寒冷地には服装/体調管理の工夫も忘れずに
安全対策・トラブル予防の基本
節約旅では安価な施設を利用することも多くなりますが、安全面には注意が必要です。ネット予約時には、口コミ評価や写真、設備の情報を必ず確認しましょう。また、旅先でのスリや詐欺、詐取商法にも警戒を。現金を多く持ち歩かず、分散して保管する工夫もおすすめです。
スマートフォンをお持ちの方は、以下のようなアプリを入れておくと安心です。
・地図/ナビ(Google Maps)
・翻訳(Google翻訳)
・災害情報(Yahoo!防災速報)
・割引情報やクーポン(トクバイ・ぐるなび等)
家族や周囲との連絡体制も万全に
出発前には、家族や友人に旅の行き先や日程を共有しておきましょう。また、1日1回の連絡(LINEやメール)を心がけることで、いざというときにも迅速に対応ができます。
7. まとめ|お金をかけずに心を豊かにする旅へ
節約旅は、「お金を使わない旅」ではありません。「お金をかけなくても、旅の楽しさを最大限に引き出す工夫」のことです。年金生活の中でも無理なく実現できるこのスタイルは、シニア世代にこそぴったりな選択肢といえるでしょう。
今回ご紹介したように、交通費・宿泊費・食費・観光費といった項目ごとに見直すだけでも、旅のコストはぐっと抑えられます。それに加え、ワーケーションなどの新しい働き方を取り入れれば、収入を得ながら旅を続けるという選択肢も広がります。
節約旅には、経済的なメリットだけでなく、健康づくり・社会参加・自己実現といった人生を豊かにする要素が詰まっています。「行ってみたい」「見てみたい」「会ってみたい」——そんな気持ちを大切に、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
そして、もしあなたが「少しでも旅費の足しになる収入が欲しい」「時間に無理のない働き方を見つけたい」と思っているなら、パートタイムや短時間勤務の仕事を探してみるのもひとつの方法です。働くことは、節約旅をもっと自由にしてくれる手段にもなり得ます。
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