誤嚥・認知症・口臭予防に|シニアに人気の『あいうえべ体操』とは?

健康

1.【あいうえべ体操とは?】シニア世代に広がる“口の健康法”

「最近、滑舌が悪くなった気がする」「口が乾いて話しにくい」――そんなシニア世代に今、注目されているのが「あいうえべ体操」です。この体操は、口周りの筋肉と舌をしっかり動かすことで、口腔機能の改善や誤嚥予防につながる健康習慣として知られています。

この体操を開発したのは、福岡市の開業医・今井一彰(いまいかずあき)医師。呼吸・口腔・免疫の関係に着目した医療を実践する中で、鼻呼吸の大切さに気づき、口呼吸を改善する手段としてこの「あいうえべ体操」を提案しました。

名前のとおり、「あ・い・う・え・べー」と大きく口を動かして発声することで、以下のような効果が期待されています。

・唇や頬、舌の筋肉が鍛えられる
・鼻呼吸を促し、口呼吸を防ぐ
・唾液分泌が促進される

とくに、加齢とともに衰える口周りの筋力や唾液の分泌機能を、無理なく楽しく鍛えられることが大きな魅力です。

さらに、椅子に座ったままでもできるため、運動習慣のない方や体力に自信がない方でも続けやすく、「転倒の心配がない運動習慣」としてもシニアに人気が広がっています。

自治体の健康講座や高齢者施設でも導入されるほど信頼されている「あいうえべ体操」。次章では、具体的にどんな健康効果があるのかをご紹介します。


2.【3つの大きな効果】誤嚥・認知症・口臭の予防につながる理由

あいうえべ体操が注目される理由は、「3つの健康リスク」を同時に予防できる点にあります。年齢とともに気になってくる誤嚥・認知症・口臭――この3つは、実は口の機能と深く関係しているのです。

1. 誤嚥を防ぐ

加齢により、飲み込む力(嚥下機能)は低下します。食べ物や唾液が気管に入りやすくなり、誤嚥性肺炎のリスクが高まるのはよく知られています。

あいうえべ体操では、舌や喉まわりの筋肉が鍛えられるため、飲み込む力を高める効果が期待されます。また、唾液の分泌が促されることで、食べ物がスムーズに流れる助けにもなります。


2. 認知症の予防に

あまり知られていないのが、「口の衰え」が脳の衰えと直結しているという事実です。会話が減ると脳への刺激が少なくなり、舌や口の筋肉を使わないことで脳の活性化が妨げられるといわれています。

あいうえべ体操は、発声とともに表情筋も使うため、口と脳を同時に刺激します。介護予防事業でも採用されており、認知症リスクの低減にもつながると期待されています。

参考:厚生労働省「口腔機能の健康への影響」(https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-08-001


3. 口臭の予防に

唾液には、口内の細菌を洗い流す自浄作用があります。ところが、口呼吸や加齢により唾液の分泌が減ると、口内の細菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因になります。

あいうえべ体操を毎日行うことで、唾液の分泌が促され、自然な口臭予防につながります。また、鼻呼吸を習慣づける効果もあり、口が乾くこと自体を防いでくれます。


口の筋肉を鍛えることで、ここまで多くの健康メリットが得られるのは驚きです。
次は、実際のやり方を詳しくご紹介します。


3.【やり方を解説】自宅でできる!1日1分の簡単トレーニング

あいうえべ体操は、特別な道具も運動経験も不要。椅子に座ったまま、テレビを見ながらでもできる手軽な健康法です。
ここでは基本のやり方とポイントをご紹介します。


【ステップ1】姿勢を整える

1.椅子に浅めに腰かけて背筋を伸ばします。
2.足の裏はしっかり床につけ、リラックスした状態にしましょう。

    ※立って行っても問題ありませんが、転倒防止のため座って行うのがおすすめです。


    【ステップ2】「あ・い・う・え・べー」と発声

    以下の順に、一つひとつの音をはっきり・大きく口を開けて発声します。

    :口を大きく縦に開ける
    :口を横に大きく引き、笑顔のように
    :唇をしっかりすぼめて前に突き出す
    :口角をしっかり上げるイメージで
    べー:舌を思いきり下に突き出す

    これで1セットです。


    【ステップ3】1日30回が目安

    1回5音×6セット=30回を目安に、毎日続けましょう。
    ・朝起きた後や寝る前、食事の前後など生活の中に取り入れやすいタイミングで行うと習慣化しやすくなります。


    【やり方のポイント】

    ・声を出さなくてもOK(病院や電車内でも口パクで実施可能)
    ・鏡を見ながら行うと、口の動きや表情がチェックできて効果的
    ・無理せず、最初は1セットからでもOK。慣れてきたら回数を増やしていきましょう。


    「これだけ?」と思うほど簡単な体操ですが、毎日続けることで少しずつ口の筋力がつき、滑舌や飲み込みやすさ、唾液の分泌などに良い変化が現れます。


    4.【シニアの悩みにフィット】口が乾く・話しにくい・噛みにくい…そんな症状に効果あり?

    「最近、口が乾いて話しづらい」「食事中にうまく噛めない」「会話の途中でむせやすい」――
    こうした悩みは、年齢を重ねることで誰にでも起こりうる“口の機能低下(オーラルフレイル)”が原因かもしれません。

    あいうえべ体操は、まさにこうしたシニアの“あるある不調”に対して、無理なくアプローチできる方法として高く評価されています。


    ■ 口の乾燥には「唾液分泌の促進」がカギ

    加齢や薬の副作用、ストレスなどにより、唾液の分泌量は自然と減っていきます。唾液が不足すると、

    ・口の中がネバつく
    ・舌が張りつくような感覚がある
    ・口臭が気になる

    といった不快感が増します。あいうえべ体操を継続することで、口周りの筋肉が刺激され、唾液腺が活性化
    結果として自然な唾液が出やすくなり、口の中のうるおいが回復します。


    ■ 「話しにくい」「声がかすれる」にも効果的

    発声をともなうあいうえべ体操は、舌・口唇・喉の筋肉を総合的に鍛えるトレーニングです。

    声が通りやすくなった
    舌がよく動くようになった
    滑舌がよくなったと家族に言われた

    という声も多く、接客や電話対応など仕事に就いているシニアの方にとっても大きなメリットがあります。


    ■ 食事がしづらい…噛む力や飲み込む力のサポートにも

    咀嚼力(そしゃくりょく)の低下は、栄養不足や誤嚥リスクを引き起こす重大な問題です。
    しかし、筋トレと同じで、日々の小さな積み重ねで口の筋肉は再び働くようになります

    あいうえべ体操は、咀嚼筋や嚥下筋のウォーミングアップとしても役立つため、食事前に1~2セット行うことで食事がスムーズになるという報告もあります。


    こうした日常の困りごとに対して、「薬や治療に頼らず、自分でできる改善法」という点で、あいうえべ体操はシニア層に支持されています。


    5.【毎日の習慣にするコツ】無理なく続けるための工夫

    あいうえべ体操の効果を実感するためには、継続することが何よりも大切です。
    ただし、毎日続けるとなると「うっかり忘れてしまった」「なんとなく面倒に感じて…」という声も少なくありません。

    ここでは、シニア世代でも無理なく続けられる“習慣化のコツ”をご紹介します。


    ■ 生活の“ルーティン”に組み込む

    「歯磨きの前後」「食後」「テレビのCM中」など、すでに習慣になっている行動とセットにすることで、“やらなきゃ”ではなく“気づいたらやっていた”状態に近づけることができます。

    特におすすめなのが「朝食前」と「就寝前」。
    1日2回を目安に取り入れれば、口腔の準備運動・クールダウンの役割にもなり、より高い効果が得られます。


    ■ 鏡を活用して楽しみながら行う

    鏡の前で口の動きを確認しながら行うことで、正しく筋肉を使えているかチェックできます。
    さらに、笑顔や表情の変化に気づくことでモチベーション維持にもつながります

    「今日もいい顔してるな」――そんな気持ちになれる時間は、自分へのエールタイムとしてもおすすめです。


    ■ アプリや記録表を使って“見える化”する

    スマートフォンを使える方であれば、リマインダー機能や健康管理アプリを活用するのも一つの手。
    紙のカレンダーやチェック表でも、「○」をつけていく達成感が積み重なり、習慣化が進みます。


    ■ 仲間と一緒に取り組む

    地域のサロンや介護予防教室、オンラインコミュニティなどで仲間と一緒に行う機会を持つことで、「自分もやろう!」という前向きな気持ちが継続しやすくなります。

    家族に付き合ってもらったり、お孫さんと一緒に笑顔で取り組んだりするのも素敵な方法です。


    習慣化のポイントは、「頑張らないこと」。
    完璧を目指さず、できるときに気楽に取り入れるというスタンスが、長続きのコツです。


    6.【仕事にも好影響?】話す力・笑顔・印象アップで得られるメリット

    あいうえべ体操は、健康面だけでなく、人と接する機会があるシニアの「仕事」にも良い影響を与えると注目されています。

    たとえば、レジや受付、電話応対、接客など、「話す」「聞き返す」「笑顔を見せる」機会のある仕事に就いているシニア世代にとって、口の機能は“働く力”と直結しているのです。


    ■ 滑舌・発音がクリアに

    この体操は、唇・舌・頬・喉といった発声に関わる筋肉をまんべんなく使うため、発音が明瞭になり、滑舌が良くなる効果が期待されます。

    「お客さまに声が届きやすくなった」
    「聞き返される回数が減った」

    といった変化は、自信とやりがいの向上にもつながります。


    ■ 表情がやわらかく、笑顔が自然に

    あいうえべ体操は、いわば“表情筋のストレッチ”でもあります。
    顔全体を動かすことで、筋肉がほぐれ、笑顔が出しやすくなるという副次的な効果も報告されています。

    年齢とともに無表情になりがちだった方でも、体操を続けることで「明るくなったね」と声をかけられるようになったケースもあります。


    ■ 印象アップで人間関係もスムーズに

    第一印象において「声のトーン」「明るい笑顔」「聞き取りやすい話し方」は、非常に大きな役割を果たします。

    この体操を続けることで、周囲に与える印象が改善され、職場での人間関係がより円滑になると感じている方も多いようです。


    ■ 自信がつくことで、仕事がもっと楽しくなる

    「まだまだ自分は現役でいける」「こんなに話せる自分がいる」
    そう実感できることは、シニア世代にとって非常に大きな意味を持ちます。

    自分に自信を持てると、仕事への意欲もアップし、結果として健康・収入・社会参加の好循環が生まれていきます。


    7.【まとめ】健康と自信を取り戻す第一歩として、今すぐ始めてみよう

    あいうえべ体操は、口の健康を守るだけでなく、体力や気力の維持、そして社会とのつながりを保つ手助けにもなる、シニア世代にとって理想的な健康習慣です。

    「最近うまく話せない」「声がかすれる」「食事がしづらくなった」――そんな日常のちょっとした不調が、心の元気を奪ってしまうこともあります
    ですが、ほんの1分の体操を毎日続けることで、口元がほぐれ、笑顔に自信が持てるようになったという声も多く聞かれます


    ◆ 本記事のまとめ

    ・あいうえべ体操は、誤嚥/認知症/口臭の予防に効果的
    ・やり方は「大きく口を動かすだけ」で、1日1分でOK
    ・シニアに多い「口の乾燥」「滑舌の低下」「噛みにくさ」にも対応
    ・毎日の習慣にするには、生活リズムとの連動や仲間の存在がカギ
    ・働く上でも印象アップ、自信回復につながる


    年齢を重ねても、できることはまだまだたくさんあります。
    「ちょっと気になるな」と思った今が、始めどきです。
    道具も場所もいらず、思い立ったその場で始められる“自分をいたわる健康習慣”として、ぜひ今日から取り入れてみてください。

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