「予防医学」で変わるシニアの未来|健康と生きがいを両立する新習慣とは?

健康

1.そもそも予防医学とは?今、注目される理由

治療より「予防」が重要とされる背景

かつては「病気になったら病院で治す」という考え方が主流でしたが、現代では「病気にならないように備える」=予防医学が強く注目されています。特に生活習慣病や認知症といった慢性的な病気は、初期には自覚症状が少なく、発見が遅れがちです。そのため、定期的な検診や健康的な生活習慣によって病気のリスクを未然に防ぐことが重視されるようになりました。

また、厚生労働省が提唱する「健康日本21」でも、健康寿命の延伸を目標に掲げ、一次予防(病気になる前の予防)を推進しています。これは、単に病気を防ぐだけでなく、長く元気で自立した生活を送るための取り組みといえるでしょう。


シニア世代における予防医学のメリット

シニア世代にとって予防医学の最大のメリットは、「自分らしく生きられる時間が増える」ことです。医療の進歩により平均寿命は延びましたが、寝たきりや要介護の期間も同時に伸びてしまっているのが現実です。

そこで注目されるのが、「健康寿命」という指標。これは介護を必要とせず、自立して生活できる期間のことです。予防医学を意識することで、体の不調を早期に察知し、健康寿命をのばすことが可能になります。
つまり、予防医学とは「人生100年時代」を前向きに生きるための“知恵”なのです。


2.シニア世代が予防医学で得られる3つの効果

健康寿命が延び、生活の質が向上

予防医学の最大の恩恵は、健康寿命の延伸です。
たとえば、運動や食事に気を配ることで、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を防げる可能性が高まります。厚生労働省によると、2022年時点での日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳でしたが、健康寿命はそれよりも約9年短いのが現状です(※参考:厚生労働省「健康寿命の令和元年時点の推計」)。

つまり「あと9年分」、病気や要介護状態で過ごす可能性があるということ。予防医学に基づいた生活を送ることで、このギャップを縮めることができ、より自立した人生を長く楽しめます。日常生活における小さな不便が減るだけでも、行動範囲が広がり、生きがいのある暮らしが実現できます。


医療費の節約にもつながる

病気になってから治療を受けるより、病気を防ぐ方が経済的負担は格段に小さくなります。特にシニア世代は、定期的な通院や薬代、場合によっては入院など、高額な医療費が発生しがちです。

予防医学を意識することで、そもそも通院回数が減り、健康保険の自己負担額も軽減されます。医療費の節約は、限られた年金や収入の中で生活するシニアにとって、大きな安心材料となるはずです。

さらに、健康な体でいれば、ちょっとした仕事やボランティアなどにも参加でき、収入ややりがいの面でもプラスの影響が広がります。


仕事や地域活動への参加意欲が高まる

健康であることは、外に出て人と関わる原動力にもなります。
例えば、シニア向けの短時間労働や、地域のボランティア活動などに参加しやすくなり、社会とのつながりも保てます。
「まだまだ自分にもできることがある」と実感することで、自己肯定感が高まり、前向きな気持ちで日々を過ごせるようになるのです。

特に孤立しがちなシニア世代にとって、社会参加は健康維持と同じくらい重要な“予防”のひとつ。人とのつながりがあることで、うつ症状や認知症のリスク低下にもつながるとされており、これは予防医学の観点からも非常に意義のあることといえます。


3.今日から始められる!予防医学に基づく生活習慣の実践例

食事編|“たんぱく質”と“バランス”を意識

シニア世代にとって、予防医学の基本となるのが「食生活の見直し」です。特に重要なのが「たんぱく質」の摂取です。筋力の維持や免疫力を保つうえで不可欠な栄養素であり、不足するとフレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉量の減少)につながるリスクがあります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、65歳以上の男性は1日60gのたんぱく質摂取が推奨されています。たとえば、納豆1パックには約8g、卵1個には約6gのたんぱく質が含まれているため、意識的に取り入れることがポイントです。

また、野菜・果物・海藻・乳製品など、様々な食品をバランスよく摂取することも重要。特定の食品に偏らず、色とりどりの食材を食卓に並べることで、栄養バランスが自然と整います。


運動編|短時間の有酸素運動でも効果的

「運動」と聞くと、つい構えてしまう人もいるかもしれませんが、予防医学で重視されるのは“無理のない継続”です。
実は、ウォーキングや軽い体操といった有酸素運動を、1日20〜30分続けるだけでも十分効果があるとされています。

例えば、「シルバーリハビリ体操」や「いきいき百歳体操」など、地域で実施されているプログラムもおすすめです。仲間と一緒に行うことで、継続もしやすく、交流のきっかけにもなります。

また、日常生活の中でも、エレベーターを階段に替える、掃除や庭の手入れを積極的にするなど、身体を動かす“ちょっとした工夫”が積み重なることで、大きな健康効果を生み出します。


心の健康編|感謝・交流・笑顔がカギになる

予防医学では、体だけでなく「心の健康」も非常に大切です。近年の研究では、ポジティブな感情が免疫力の向上やストレスの軽減につながることがわかっています。

特に注目されているのが、「ありがとう」と感謝を伝える習慣です。これは、幸福感や自己肯定感を高める効果があるとされ、心理学の分野でも数々のエビデンスがあります(参考:Emmons & McCullough, 2003, “Counting Blessings Versus Burdens”)。

また、家族や地域の人とあいさつを交わす、趣味のサークルに参加する、ちょっとしたボランティアをする——そうした交流の機会が、孤立を防ぎ、心の安定をもたらします。笑顔でいる時間が増えるだけでも、脳内のセロトニン分泌が活性化し、うつや不安の予防につながるといわれています。


4.予防医学の考え方は“働き方”にも活かせる

無理のない仕事選びで体と心を守る

予防医学は日常生活だけでなく、シニアの“働き方”にも深く関係しています。
とくに再就職や副業を考える際には、「自分の体に合った働き方」を選ぶことが、健康維持の大前提となります。

たとえば、「立ち仕事が多い仕事は避けたい」「週3日程度で働きたい」「通勤に時間がかかるのはつらい」といった希望は、決してわがままではありません。それは、自分の体調や生活リズムに耳を傾ける“予防医学的視点”そのものです。

実際、厚生労働省の「高齢者の就業実態調査(令和3年)」によれば、60歳以上の働く人のうち、約60%が「健康に働き続けられる職場環境」を重要視しているという結果が出ています。

働くこと自体が心身に良い影響を与える半面、無理をするとかえって病気やケガのリスクが高まる可能性もあります。だからこそ、自分の体力や持病、生活スタイルに合った「ちょうどいい仕事」を選ぶことが、長く元気に働くための鍵となります。


「健康でいること」が自信と社会参加につながる

予防医学によって健康を保つことは、単に“病気にならない”というだけでなく、「外に出て誰かと関わる」ための土台づくりでもあります。

たとえば、軽作業や清掃スタッフ、施設の管理補助など、シニア歓迎の仕事は多数あります。健康であれば、こうした仕事にも前向きにチャレンジでき、収入や社会参加という面でも大きな意味を持ちます。

さらに、働くことで「まだ社会に貢献できる」という実感が得られ、それが自己肯定感や生きがいの向上にもつながります。これは、予防医学の重要な視点である「心の健康」の維持にも直結するものです。

仕事は体を動かし、誰かと関わり、自分の役割を持つという“健康づくり”そのもの。だからこそ、予防医学の知識を活かした働き方こそが、シニア世代の“生きがいある日常”の鍵を握っているのです。


5.まとめ|予防医学で「第二の人生」をもっと豊かに

予防医学は、「病気にならないための知識」だけでなく、「自分らしく生きるための知恵」といえます。
とくにシニア世代にとっては、生活の質を高め、社会とのつながりを持ち続けるための心強いパートナーです。

食事、運動、心のケアといった日々の習慣を少し見直すだけで、体調が整い、自信が持てるようになります。さらに、健康を維持できることで「働きたい」「人と関わりたい」という気持ちも自然と湧き上がり、より前向きな“第二の人生”が拓けていきます。

予防医学の実践は、一朝一夕では身につきません。しかし、小さな習慣の積み重ねが、やがて大きな変化を生み出します。

・「ありがとう」と声をかける
・今日のごはんに、たんぱく質をもう一品加える
・エレベーターではなく階段を使ってみる

そんな“ちょっとした意識”から始めてみませんか?
人生100年時代。いまこそ、予防医学を味方につけて、自分らしく、健康で豊かな毎日を歩んでいきましょう。

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