1.共感採用とは?採用活動における新しいアプローチ
共感採用とは、応募者が企業の理念・ビジョン・価値観に「共感」できるかを重視し、採用活動を行う手法です。従来の採用活動では、スキルや経験、学歴などの目に見える条件を基準に判断する傾向が強くありました。しかし、価値観の一致や企業文化との適合度は、入社後の定着率やパフォーマンスに大きく影響します。
特に近年は、求職者が「自分の働く意義」や「社会的な貢献」を重視する傾向が強まり、採用においても単なる条件提示だけではなく、「企業の想い」を伝えることが重要になっています。共感採用では、以下のようなプロセスを通じて、企業と応募者のマッチング精度を高めます。
・企業理念やビジョンの明確化:採用サイトや説明会で、企業が大切にしている価値観を発信
・ストーリーの共有:創業背景や事業の目的を具体的なエピソードで伝える
・双方向のコミュニケーション:応募者の考えや価値観を引き出す面接手法
この手法は、単なる採用スローガンではなく、企業と応募者の「相互理解」をベースにした長期的な人材確保戦略と言えます。
2.なぜ今、共感採用が注目されているのか|背景とメリット
共感採用が注目される背景には、労働市場の変化と人材の価値観の多様化があります。特に日本では少子高齢化が進み、企業は幅広い年齢層から人材を確保する必要性が高まっています。厚生労働省「令和6年版労働経済の分析」によると、2023年の有効求人倍率は1.31倍で、特に中小企業では採用競争が激化しています。
こうした中で、給与や待遇だけでは差別化が難しく、企業の理念や社会的使命に共感してもらうことが、応募のきっかけや入社後の定着に直結します。共感採用の主なメリットは以下の通りです。
1.定着率の向上
価値観の一致は離職防止につながる。入社後のギャップが少なくなるため、長く働いてもらえる。
2.採用コストの削減
ミスマッチによる早期離職が減れば、再採用にかかるコストを抑えられる。
3.企業ブランディングの強化
共感できる理念や社会貢献活動を発信することで、顧客や地域社会からの信頼も高まる。
つまり、共感採用は「採用力」と「企業価値」を同時に高められる、今の時代に適した戦略なのです。
3.共感採用とシニア採用の相性が良い理由
シニア採用において、共感採用は特に効果を発揮します。理由は大きく3つあります。
1.経験と価値観のマッチング
シニア人材は長年の社会経験から、自分の価値観や働き方の優先順位が明確です。企業の理念や目的に共感できれば、高いモチベーションで働き続ける傾向があります。
2.社会的意義を重視
内閣府「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(2021年)によれば、日本の60歳以上の約68%が「社会に役立つ仕事をしたい」と回答しています。単なる収入よりも、社会的意義ややりがいを重視する傾向が強く、共感採用と親和性が高いです。
3.職場の安定化
価値観が一致したシニア人材は、周囲と良好な関係を築きやすく、職場の人間関係を安定させる役割も担います。若手社員の育成や組織の知見共有にも貢献します。
このように、共感採用はシニア採用の成功率を高めるだけでなく、企業文化の強化にもつながります。
4.シニア人材を惹きつける共感採用の実践ポイント
シニア人材を対象とした共感採用では、以下のような工夫が有効です。
・採用情報に理念や社会的意義を明記する
「この仕事は社会にどんな価値をもたらすのか」を具体的に記載することで、応募意欲を高めます。
・実際に働くシニア社員の声を掲載
「やりがい」「働きやすさ」の実体験を共有することで、安心感と共感を得られます。
・柔軟な働き方の提示
週3日勤務や短時間勤務など、ライフスタイルに合わせた選択肢を提示することで、応募の間口を広げます。
・面接で価値観を引き出す質問をする
「これまでの仕事で大切にしてきたことは?」など、経験や価値観に関する質問で相互理解を深めます。
こうした取り組みにより、シニア層にとって「この会社なら自分らしく働ける」という安心感と共感を与えることができます。
5.共感採用を成功させるための社内体制づくり
共感採用を効果的に進めるためには、採用部門だけでなく、組織全体で理念や価値観を共有する体制づくりが欠かせません。
・理念の再確認と浸透
社員全員が企業理念を理解し、日常業務の中で体現できるよう研修や社内イベントを活用します。
・現場との情報共有
採用部門と現場が連携し、求める人物像や必要なスキルだけでなく、「共感してほしい価値観」を明確にします。
・オンボーディングの強化
入社後も理念を感じられる環境を整えることで、定着率とエンゲージメントを高めます。
社内全体で「共感」を軸にした文化を築くことが、採用成功と組織の成長の両立につながります。
まとめ|共感採用で組織の多様性と採用力を高めよう
共感採用は、企業と応募者の「価値観の一致」を重視し、単なる条件マッチでは測れない相性を見極める採用手法です。特にシニア採用では、長年の経験から培われた価値観や社会的意義を重視する傾向が強く、共感採用と高い親和性を持っています。
企業が理念やビジョンを明確に発信し、それを応募者が「自分ごと」として受け止められる環境を整えることで、入社後の定着率は飛躍的に向上します。加えて、こうした価値観を共有する人材は、若手社員の育成や職場の安定にも貢献し、結果的に組織全体の生産性向上にもつながります。
採用市場が競争激化する中で、給与や福利厚生だけでは他社との差別化が難しい時代です。だからこそ、「なぜこの会社で働くのか」という理由を共感という形で提供できる企業は、優秀な人材を継続的に惹きつけることができます。
これからの採用活動では、スキルや経験の評価に加え、価値観・理念・社会的意義といった“見えない資産”を採用戦略の中心に据えることが重要です。共感採用は、そのための有効なアプローチであり、多様な人材が活躍する職場づくりの第一歩となるでしょう。
経験豊富なシニア人材を採用しませんか?無料で求人掲載できるシニア向け求人サイト「キャリア65」で、企業理念に共感してくれる人材と出会えます。