1.シニア講師とは?定年後に注目される新しい働き方
「シニア講師」とは、定年退職後にこれまで培った経験や専門知識を活かして、教育や指導の場で活躍する人を指します。学校やカルチャーセンター、地域の生涯学習講座、さらにはオンライン講座など、活動の場は幅広く存在します。たとえば、元技術者が工学系の講義を担当したり、長年営業をしてきた方が「人との関わり方」や「プレゼン術」を伝えるといったケースもあります。
近年は少子高齢化が進む中で、社会全体が「シニアの力」を必要としています。厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告」(2023年版)によると、65歳以上で働く人の数は約912万人にのぼり、過去最多を更新しました。その中でも「知識や経験を社会に還元したい」と考えるシニアは多く、講師業はまさにそのニーズに合致した働き方です。
また、シニア講師という働き方は「収入の確保」だけでなく「社会とのつながり」を維持できる点でも注目されています。地域活動や教育の現場は、人との交流が自然と生まれる場所。孤立を防ぎ、心身の健康にもプラスに働くため、定年後のキャリアとして選ぶ人が増えているのです。
2.シニア講師の魅力|収入・健康・社会参加を同時に実現
シニア講師の大きな魅力は、「収入」「健康維持」「社会参加」という3つの要素を同時に満たせることです。定年後の生活では、年金だけに頼るのではなく、無理のない範囲で収入を得たいと考える方が少なくありません。講師業であれば、長年の経験や専門知識を活かして報酬を得ることができ、家計の安心感につながります。特に、地域のカルチャーセンターや公民館の講座、企業研修の非常勤講師などは、比較的短時間の勤務で続けられるため、体力的な負担も大きくありません。
さらに、講師業は「頭と体を同時に使う」活動です。授業の準備で知識を整理したり、実技指導で体を動かしたりすることが、自然と脳と身体の健康維持に役立ちます。例えば、JAGES(日本老年学的評価研究)プロジェクトの大規模調査では、地域での社会参加活動が多い高齢者ほど、要介護認定や認知機能低下のリスクが低いことが示されています【出典:JAGES「高齢者の社会参加とフレイルとの関連 — JAGES2016–2019縦断研究」(2019年)】。講師として人前に立ち続けること自体が、社会参加と学習活動を兼ね備えた健康習慣の一つになるのです。
また、講師活動を通じて得られる「社会参加」も重要です。受講者や生徒と交流することで新しい人間関係が築かれ、地域社会とのつながりが広がります。特に若い世代に知識や経験を伝えることは、世代間交流の架け橋となり、自分の存在意義を再確認できる貴重な機会です。
このように、シニア講師は単なる「収入源」にとどまらず、心身の健康維持や社会的役割を持ち続けるための理想的な働き方といえるでしょう。
3.活躍できる場はどこにある?シニア講師の主な活動フィールド
シニア講師が活躍できる場は多岐にわたります。特別な資格がなくても始められるものから、専門知識を強みにできるものまで幅広く存在します。ここでは代表的なフィールドを紹介します。
1. 公民館やカルチャーセンター
地域の公民館やカルチャーセンターでは、絵画、手芸、料理、健康体操、パソコン講座など多彩な講座が開かれています。長年の趣味や得意分野を活かしやすく、地域住民との交流を通じて「教える楽しみ」を味わえるのが特徴です。
2. 生涯学習講座・大学の公開講座
自治体や大学が主催する生涯学習講座は、幅広い世代を対象としています。専門的な知識や職業経験を活かした講義の需要があり、リタイア後の知識伝承の場としても適しています。
3. 学校教育や塾・予備校
教員免許や教育経験がある方は、小中学校の非常勤講師や塾・予備校での指導も可能です。特に理系や英語の分野は需要が高く、経験を活かしやすいでしょう。
4. 企業研修や専門分野のセミナー
長年の職務経験を活かせる場として、企業の人材育成研修や業界団体のセミナーがあります。営業・管理職経験者による「マネジメント研修」や「接客指導」などは、若手社員からのニーズも高い分野です。
5. オンライン講座・動画配信
近年はインターネットを活用した教育も広がっています。Zoomなどを使ったオンライン講座やYouTubeでの教育チャンネルなど、自宅にいながら講師活動が可能です。特に「健康体操」「趣味講座」「生活知識」などはシニア層に人気があります。
このように、シニア講師は「地域」「教育」「企業」「オンライン」といった多彩なフィールドで活躍できます。自分の経験やライフスタイルに合わせて活動の場を選べることが、長く続けられる秘訣といえるでしょう。
4.講師になるための準備|必要なスキルと資格
シニア講師として活動するには、特別な免許が必ず必要というわけではありません。しかし、活動の場によって求められるスキルや資格は異なるため、事前の準備が重要です。
1. コミュニケーション能力
講師に欠かせないのは「人にわかりやすく伝える力」です。専門知識があっても、相手の理解度に合わせて噛み砕いて説明する力が必要です。また、受講者の質問に丁寧に答えたり、やる気を引き出す工夫も求められます。
2. ICTスキル
近年はオンライン講座や資料のデジタル化が一般的になってきました。パソコンの基本操作やZoomなどのオンラインツールの使い方を身につけておくと、活動の場が一気に広がります。総務省の調査(2022年)によれば、60代後半でも約7割がスマートフォンを利用しており、シニア世代のIT活用は着実に進んでいます【出典:総務省「通信利用動向調査」2022年】。
3. 資格があると有利な分野
・語学講師:英検、TOEIC、通訳案内士など
・健康、運動指導:健康運動指導士、ヨガ・フィットネス系の認定資格
・専門分野:簿記、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど
資格は必須ではありませんが、信頼性を高め、受講者や主催側から選ばれやすくなる効果があります。
4. 講師デビューに向けた準備
最初は地域の公民館やカルチャーセンターで短期講座を担当するなど、小さな一歩から始めるのがおすすめです。その経験が実績となり、より大きな舞台へとつながっていきます。
シニア講師は「知識を持っているだけ」では成立しません。「伝える工夫」「人と関わる姿勢」を意識しながら、必要なスキルを磨いていくことが成功への近道です。
5.シニア講師の仕事を探す方法|講師“専門”サイトや地域の支援を活用
講師の募集は一般求人だけでなく、講演依頼プラットフォームや講師登録型サイトに集中しています。まずは以下の“講師専門”の場所をチェックしましょう。
1. 講演依頼・講師派遣プラットフォーム
・講演依頼.com:登録講師9,000名超、講演実績30,000件。テーマ、予算で講師検索が可能。講師としての登録、登壇機会も多い大型サイト。
・スピーカーズ.jp:約3,000名の講師をラインナップ。オンライン講演にも対応。検索性が高く、講師側の露出にも強み。
・システムブレーン:創業45年、開催実績20万件以上、登録講師15,000人超と公表。企業研修やセミナー登壇の機会が豊富。
・講師派遣NAVI:新聞社運営の講師マッチング。スポーツ・芸能・文化人の案件も含め幅広い。講師検索ページからテーマ別に探せます。
2. 研修コンテンツ販売・講師支援サイト
・講師プラットフォーム(講プラ):研修プログラムの出品・販売を通じて企業と接点を作る仕組み。“講師を探す”機能もあり、講師側の営業支援コンテンツも提供。
3. “教える”マーケットプレイス(個人講座系)
・ストアカ:登録して講座を開設可能。集客・決済・申込管理がワンストップ。個人講座から実績づくりに最適。
・Udemy:オンライン講座を制作・販売できる国際的プラットフォーム。日本語ガイドあり。動画コースで全国の受講者に届けられます。
4. 教育機関・学術系の講師公募
・JREC-IN Portal:大学・専門学校・日本語学校などの非常勤講師公募が集約。専門分野を活かした登壇先を探せます。
5. 塾講師“専門”求人
・塾講師ナビ:塾・予備校の講師に特化した求人サイト。個別・集団・非常勤など働き方の柔軟性が高いのが特徴。
使い方のコツ:
1)まずは講演依頼プラットフォームでプロフィール(写真・実績・講演テーマ)を整備し複数登録
2) 並行してストアカやUdemyで小規模講座を開設し、レビュー・受講者数など“数字の実績”を可視化。
3) 学術・教育系(JREC-IN)や塾講師ナビで定期的な登壇先を確保すると、収入の柱が安定します。
求人サイト、地域の公民館・カルチャーセンター、シルバー人材センター、ハローワークなどは「王道の探し方」といえます。求人サイトでは「教育・講師」「インストラクター」カテゴリでの募集があり、シニア向け求人サイトでは年齢を理由に断られる不安が少なく安心です。公民館やカルチャーセンターは未経験から挑戦しやすく、シルバー人材センターやハローワークは地域ニーズに合った講座案件が多く見つかります。これらは昔から利用者が多い安定的なルートであり、最初の一歩としても安心感があります。
6.まとめ|経験を活かして「第二のキャリア」を築こう
シニア講師は、定年後に新しい可能性を広げる魅力的な選択肢です。これまで培ってきた知識や経験を社会に還元することで、経済的な安心を得ながら、健康維持や社会参加の機会にもつながります。講師という役割は「自分の存在意義」を再確認できる仕事であり、毎日に張り合いを与えてくれる存在になるでしょう。
探し方の幅も広がっており、一般的な求人サイトだけでなく、講演依頼.comやスピーカーズ.jpなどの講師専門サイト、さらにストアカやUdemyといった個人講座プラットフォームを活用することで、自分に合った活動スタイルを見つけることが可能です。また、公民館やカルチャーセンター、シルバー人材センターを通じた地域密着型の活動も、初めての一歩として適しています。
大切なのは、「自分が得意とすること」「人に伝えたいこと」を明確にし、それを活かせる場を選ぶことです。小さな講座から始めても、その積み重ねがやがて確かな実績となり、次のチャンスへとつながっていきます。
定年は「終わり」ではなく、「第二のキャリアの始まり」です。シニア講師という新しい働き方で、収入・健康・社会参加のバランスを取りながら、より充実したシニアライフを実現してみませんか。
シニア歓迎の求人が多数!「講師」や「指導員」の仕事も探せるシニア向け求人サイト「キャリア65」はこちらから。