知らないと損!シニア向けの給付金5選|安心して老後を過ごすための支援制度

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はじめに|シニア世代に給付金制度が必要とされる背景

日本は世界でも有数の高齢化社会です。内閣府「令和6年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の人口は全体の29.1%に達しており、4人に1人以上が高齢者という状況になっています。平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳(厚生労働省「簡易生命表(2023年)」)と長寿化が進む一方で、老後の生活を支える年金や貯蓄だけでは十分でないケースも増えています。

特に、年金収入が月10万円前後にとどまる家庭では、医療費や生活費の支払いに不安を感じる人が少なくありません。加えて、健康寿命と平均寿命の差は約10年とされ、この間は介護や医療の負担が増えるリスクがあります。そのため「いざという時の生活を支える給付金制度」の存在が、シニア世代にとってますます重要になっているのです。

給付金制度は、大きく分けると生活支援、医療・介護支援、住宅改修、就労支援などに分類されます。これらは国や自治体が提供しており、対象年齢や所得条件を満たすことで受けられるものが多くあります。しかし、「制度の存在を知らなかった」「申請の仕方が分からなかった」という理由で活用できていないシニアも少なくありません。

給付金は、一度の申請で数万円から数十万円の支援を受けられることもあり、家計の負担軽減や安心感につながります。経済的な助けになるだけでなく、介護予防や健康維持、住環境の改善といった生活の質を高める効果も期待できるため、知識として持っておくことが大切です。


【給付金①】高齢者向け生活支援給付金

シニア世代の暮らしを支える代表的な制度に「生活支援給付金」があります。これは、年金収入や貯蓄だけでは生活が厳しい世帯に対して、国や自治体が生活費の一部を補うために支給する制度です。特に低所得の高齢者を対象とするケースが多く、日々の生活に安心をもたらす大切な支援策です。

たとえば、生活保護までは必要ないけれど生活費がギリギリという世帯に、月数千円から数万円程度が支給されることがあります。地域によって名称は異なり、「高齢者福祉給付金」「生活支援特別給付金」と呼ばれる場合もあります。自治体が独自に実施している制度も多いため、居住地の市区町村のホームページや窓口で確認することが大切です。

また、厚生労働省が定める「低所得高齢者に対する臨時福祉給付金」など、国が実施する全国共通の制度も存在しました。これは年金収入が少ない世帯を対象に、一時金として数万円が支給される制度で、物価高騰や消費税増税など生活環境の変化に対応するために設けられてきました。今後も社会状況に応じて新たな生活支援給付金が設けられる可能性があります。

さらに、生活支援給付金のメリットは、単なる「お金の補填」だけではありません。制度によっては、併せて食料支援や生活相談、福祉サービス利用の紹介など、総合的なサポートが受けられる場合もあります。金銭的にも精神的にも負担を軽減できるため、制度を知らないまま放置するのはもったいないといえるでしょう。

👉給付金の情報は、自治体広報誌や役所の高齢福祉課で得られるほか、地域包括支援センターでも相談できます。「自分は対象ではないだろう」と思い込まず、まずは一度確認することが大切です。
※補足:正式名称や支給額は自治体ごとに異なり、「高齢者福祉給付金」「生活支援特別給付金」などの名称で実施されています。


【給付金②】介護予防・生活支援サービス補助

年齢を重ねてもできるだけ自立した生活を続けるために重要なのが「介護予防」です。介護状態になる前から、体力や健康を維持する取り組みを行うことで、長く元気に暮らせる可能性が高まります。こうした背景から、国や自治体では「介護予防・生活支援サービス補助」という給付金制度を設けています。

代表的な仕組みとしては、介護保険制度の「介護予防・日常生活支援総合事業」があります。これは要支援認定を受けた高齢者や、そのリスクがある人を対象に、訪問型サービス(掃除や買い物の援助)、通所型サービス(体操教室や栄養指導)などを低負担で利用できる制度です。利用者の1割〜3割の自己負担でサービスを受けられ、残りは公費で賄われます。

また、自治体によっては介護予防教室やシルバー向け運動プログラムの費用を助成する制度もあります。たとえば、健康体操、栄養改善教室、口腔ケア教室などに参加する際、参加費の一部を補助する取り組みが広がっています。厚生労働省の報告(「地域包括ケアシステムの推進」2023年)によれば、こうした取り組みに参加した高齢者は、介護認定を受ける時期が遅れる傾向にあるとされています。

さらに、生活支援サービス補助は、単に体力維持だけでなく「人とのつながり」を保つ効果もあります。地域の仲間と一緒に運動や学びの場に参加することで、孤立を防ぎ、心の健康を守ることにもつながります。

👉チェックポイントは、「介護認定を受けていなくても対象になる制度がある」点です。市区町村によって条件は異なるため、自分の住む地域でどのような補助があるかを確認し、積極的に活用することが重要です。
※補足:国の介護保険制度「介護予防・日常生活支援総合事業」を基盤に、自治体ごとに運動教室や生活支援サービスが補助されています。


【給付金③】住宅改修やバリアフリー化の補助金

高齢になると、自宅での生活に思わぬ危険が潜んでいることがあります。段差につまずく、浴室で転倒する、階段の上り下りがつらい――こうした日常のリスクを減らすために、国や自治体では「住宅改修・バリアフリー化」の補助制度を設けています。

代表的なのが、介護保険の住宅改修費制度です。要介護・要支援の認定を受けた人は、自宅の手すり設置や段差解消、浴室の改修などにかかる費用のうち、最大20万円までが支給対象となり、原則1割〜3割の自己負担で工事ができます(厚生労働省「介護保険制度の概要」)。たとえば、浴室に手すりをつける工事が10万円かかっても、自己負担は1万〜3万円程度に抑えられる仕組みです。

さらに、多くの自治体では介護保険以外にも独自の住宅改修助成を行っています。たとえば「高齢者住宅改修助成」「シルバーバリアフリー補助金」といった名称で、対象年齢や所得条件に応じて数万円〜数十万円が支給されるケースがあります。

こうした制度を利用するメリットは、単なるリフォームではなく「安全な生活環境づくり」に直結する点です。日本の高齢者の転倒事故の約8割は住宅内で発生しているとされ(東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」)、早めの改修が介護予防につながると報告されています。

申請手続きの流れとしては、まずケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、改修が必要と認められた場合に申請書を提出。工事後に領収書や工事写真を添えて給付金が支払われるのが一般的です。

👉「まだ大丈夫」と思って先延ばしにせず、将来の安心のために早めに相談しておくことがポイントです。
※補足:介護保険制度の住宅改修費(上限20万円)に加え、自治体独自のバリアフリー補助金が設けられている場合もあります。


【給付金④】医療費や健康診断に関する助成制度

高齢期に入ると医療費の負担はどうしても増えていきます。厚生労働省の「医療費の動向(2023年)」によれば、70歳以上の1人あたり医療費は年間約93万円とされており、現役世代に比べて大幅に高くなっています。こうした負担を軽減するために、国や自治体ではさまざまな給付金・助成制度を用意しています。

まず代表的なのが、高額療養費制度です。これは1か月の医療費が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻される仕組みです。所得や年齢に応じて上限額が決められており、たとえば年金暮らしの低所得世帯なら1か月の自己負担が3万5,400円程度に抑えられることがあります。急な入院や手術でも、家計が破綻するのを防ぐ重要な制度です。

また、高齢者向けの健診助成も見逃せません。多くの自治体では「特定健康診査」や「後期高齢者健診」の受診費用を無料または低額に抑えています。これにより糖尿病や高血圧などの生活習慣病を早期に発見でき、将来の医療費増加を防ぐ効果も期待できます。

さらに自治体によっては、がん検診(胃がん・大腸がん・乳がんなど)の費用を補助する制度や、予防接種(肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンなど)に対する助成制度も整備されています。東京都の例では、65歳以上の高齢者が肺炎球菌ワクチンを接種する際、自己負担を数千円に抑えられる仕組みが導入されています。

👉これらの制度は「申請が必要」「対象者が限定されている」ことも多いため、自治体から送られてくる案内や広報誌をよく確認しましょう。知らずに自己負担で支払っているケースも少なくなく、情報をキャッチすることが経済的な差につながります。
※補足:「高額療養費制度」「特定健康診査」など国の制度に加え、自治体によるがん検診・予防接種の助成が実施されています。


【給付金⑤】働くシニアを応援する就労支援給付金

年金だけでは生活が不安なシニアにとって、再就職やアルバイトなどの就労は大きな支えになります。近年は人手不足を背景に「シニア歓迎」「年齢不問」とする求人も増えており、それを後押しする形で就労支援のための給付金制度も整備されています。

代表的なのが、高年齢者雇用開発特別奨励金(65歳超雇用推進助成金)です。これは65歳以上のシニアを新たに雇い入れた事業主に対して支給されるもので、企業側への助成制度ではありますが、シニアの採用枠を広げるきっかけとなっています。結果的に、高齢者の就労機会を増やす効果があります。

また、ハローワークを通じた「就業促進定着手当」など、再就職したシニアが長く働き続けられるように設計された制度もあります。これは一定条件のもとで失業給付を受けていた高齢者が早期に再就職した場合、給付金が追加支給される仕組みです。

さらに自治体独自の支援策として、「シルバー人材センター」を通じた就労に補助金が出るケースもあります。例えば短時間勤務や単発の仕事を請け負うときに、活動費や報酬の一部が助成されることがあり、無理のない範囲で働きたいシニアに適しています。

これらの制度を活用することで、「収入を得ながら健康を維持し、社会とのつながりを保てる」というメリットがあります。特に就労支援給付金は「働きたい気持ち」を後押ししてくれる制度であり、生活の安定だけでなく、生きがいの発見にもつながります。

👉ポイントは、求人探しの段階から「給付金や助成金の対象になっているか」を確認することです。ハローワークや地域包括支援センターで情報を得て、賢く活用していきましょう。
※補足:代表的な制度には「65歳超雇用推進助成金」「再就職手当」などがあり、名称や内容は制度によって異なります。


申請の流れと注意点|見逃さないためのチェックポイント

給付金は「知っているかどうか」で大きな差が出ます。実際に支給を受けるためには、制度ごとに決められた手続きを踏む必要があり、申請をしなければ自動的に受け取れるものではありません。ここでは、申請の一般的な流れと、見逃さないための探し方を整理します。

申請の一般的な流れ

1.対象条件を確認する
 年齢、所得、介護認定の有無などが条件になります。まずは自治体の公式サイトやパンフレットで確認しましょう。

2.申請書を入手・記入する
 市区町村役場や地域包括支援センターで入手できます。最近ではオンライン申請に対応しているケースも増えています。

3.必要書類を揃える
 本人確認書類、年金証書、医療費の領収書、工事見積もりなど、給付金の種類に応じて異なります。

4.窓口へ提出・審査
 役所やハローワークに提出し、審査を受けます。不備があると時間がかかるため、提出前に必ずチェックしましょう。

5.給付金の支給
 審査が通れば、銀行口座に振り込まれるのが一般的です。


見逃さないための探し方

自治体のホームページや広報誌を定期的に確認
 給付金制度は地域ごとに異なり、年度ごとに内容が更新される場合があります。

地域包括支援センターに相談
 高齢者の総合相談窓口として、介護予防・生活支援・就労支援など幅広く情報を持っています。

ハローワークやシルバー人材センターで情報収集
 就労に関する給付金、助成金の情報がまとまっています。

厚生労働省や内閣府の公式サイトをチェック
 国が実施する全国共通の給付金は、ここで最新情報を確認できます。


注意点

・「自分は対象外」と思い込まずに確認すること
・期限がある制度が多いため、早めに申請すること
・制度は予算や年度によって変更されるため、定期的に最新情報を収集すること

👉給付金は「知っている人だけが得をする」仕組みになりがちです。情報を積極的に取りに行き、申請のチャンスを逃さないようにしましょう。


まとめ|給付金を賢く活用して安心のセカンドライフを

シニア世代にとって、給付金は「生活の補助金」以上の意味を持っています。経済的な負担を減らし、健康維持や住環境改善、さらには就労や社会参加を後押ししてくれる重要な制度です。

本記事では、以下の5つの給付金を紹介しました。

・高齢者向け生活支援給付金
・介護予防、生活支援サービス補助
・住宅改修やバリアフリー化の補助金
・医療費や健康診断に関する助成制度
・働くシニアを応援する就労支援給付金

これらをうまく活用することで、年金だけに頼らない安心した生活基盤をつくることができます。特に、「自分は対象外だろう」と思って申請しない方が多いのが現状ですが、実際には幅広い層が対象になっている制度も多いのです。

また、給付金の制度は国だけでなく自治体独自のものも数多くあります。年度ごとに内容が変わることもあるため、役所や地域包括支援センターに定期的に相談し、最新情報を得ることが大切です。

👉給付金は「情報を知り、行動した人」だけが受け取れる制度です。ぜひ積極的に情報収集を行い、賢く制度を活用して、安心で充実したセカンドライフを実現してください。

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