1. 健康マイレージ・健康ポイント制度とは?基本の仕組みを解説
健康マイレージ・健康ポイント制度とは、住民の健康づくりを応援するために、多くの自治体や企業が導入している取り組みです。日々の健康行動に応じてポイントを付与し、そのポイントを商品券や景品、サービス割引などに交換できる仕組みになっています。
たとえば、毎日のウォーキングで歩数を記録する、特定健診を受診する、健康イベントに参加するといった行動が対象になります。近年では「健康寿命の延伸」を目指す国の方針(厚生労働省「健康日本21(第二次)」)とも連動し、全国で導入が広がっています。
制度のメリットは大きく分けて2つあります。
1.楽しみながら健康づくりができること
「歩けばポイントが貯まる」「検診に行くと景品がもらえる」といった仕組みは、行動の動機づけになりやすいです。
2.医療費の抑制につながること
健康的な生活習慣が根付けば、生活習慣病の予防や重症化の回避につながり、社会全体の医療費負担を軽減する効果も期待されています。
また、制度の名称や対象は地域ごとに異なります。たとえば、愛知県の「あいち健康マイレージ事業」、福岡県の「ふくおか健康ポイントアプリ」、東京都の「東京健康 UPlus(あっぷらす)」など、地域色を活かした取り組みも多く見られます。
2. ポイントが貯まる行動|ウォーキングや日常生活での活用法
健康マイレージ・健康ポイント制度でもっとも一般的なのが「歩数によるポイント付与」です。多くの自治体では、1日8,000歩前後を目安に設定しており、歩数計やスマートフォンのアプリを通じて自動的に記録されます。例えば愛知県の「あいち健康マイレージ事業」では、参加者が歩数や健康活動を専用アプリに記録すると、電子マネーや商品券などと交換できる仕組みを採用しています。
ただし、ポイントが貯まるのは「歩くこと」だけではありません。日常生活の中で取り入れやすい行動も評価対象になっています。具体的には以下のようなものがあります。
・自転車やエコ通勤:通勤や買い物で車を使わず、自転車や徒歩を選択する。
・階段利用:エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う。
・家事や庭仕事:掃除や草むしりなど、軽い運動になる作業。
・買い物や外出:毎日の買い物や散歩も「歩数」としてカウント。
また、最近では 「健康に関わる行動全般」を評価する流れ が強まっています。たとえば:
・特定健診やがん検診を受ける
・禁煙に取り組む
・バランスの良い食事を意識する
・睡眠改善プログラムに参加する
これらの行動にポイントを付与することで、「生活習慣全体を改善してほしい」という狙いが見えてきます。つまり、制度は単なる「歩数競争」ではなく、健康的なライフスタイル全般を応援する仕組み になっているのです。
3. スマホや歩数計でラクラク管理!記録のコツと便利なアプリ
健康マイレージ・健康ポイント制度を続けるうえで大切なのは、日々の記録を負担なく続けられることです。現在は、スマートフォンのアプリや歩数計が普及しているため、誰でも簡単に管理できる仕組みが整っています。
記録の方法
1.専用アプリを使う
自治体や企業が提供する専用アプリ(例:愛知県「あいち健康プラス」、福岡県「ふくおか健康ポイントアプリ」など)をインストールすると、自動で歩数や活動データを取り込めます。
2.歩数計やスマートウォッチと連携
スマートウォッチ(Apple Watch、Fitbitなど)や市販の歩数計を利用し、Bluetoothでアプリに同期する方法も便利です。機械が苦手な方でも、一度設定してしまえば自動的にデータが反映されます。
3.紙の記録を提出する方式
一部の自治体では、歩数計のデータを紙に記録して提出する方法も残されています。スマホに慣れていないシニア世代でも取り組みやすい仕組みです。
続けるためのコツ
・毎日の習慣に組み込む:買い物や散歩の後に必ずアプリを開く、寝る前に確認するなどルーティン化する。
・週単位で振り返る:日々の歩数や活動状況をグラフで確認し、達成感を味わう。
・友人や家族と一緒に使う:アプリによってはランキング機能やチーム参加機能があり、仲間と競い合うことで継続しやすくなります。
また、ICTの活用による健康づくりの効果については、総務省「情報通信白書」(2021年版)でも紹介されています。アプリやウェアラブル端末を利用することで、活動量の増加や継続率の向上につながるとされており、テクノロジーを味方につけることが健康習慣の定着に有効であるとわかります。
つまり、「面倒だからやめてしまう」を防ぐには、自分に合った記録方法を選ぶことがカギになるのです。
4. 自治体や企業で違う?健康マイレージ制度の参加方法と特典
健康マイレージ・健康ポイント制度は、導入している 自治体や企業ごとに内容が異なる のが特徴です。そのため、まずは自分が住んでいる地域や加入している健康保険組合で制度が実施されているかを確認することが第一歩になります。
参加方法の例
・自治体の場合
市区町村の広報誌や公式サイトで募集を行い、住民なら誰でも無料で参加できるケースが一般的です。専用アプリや歩数計を登録し、日常の健康活動を記録していきます。
・企業や健康保険組合の場合
社員や加入者を対象に、健康診断受診率の向上や生活習慣改善を目的として制度を導入していることがあります。職場全体で参加することで、社員同士の健康意識を高める効果も期待されています。
特典の例
特典の内容も提供元によって大きく変わります。代表的なものは以下の通りです。
・商品券やギフトカード(全国共通商品券、電子マネーなど)
・地域商店で使える割引券(地元経済の活性化にもつながる)
・健康グッズ(血圧計、万歩計、健康食品など)
・医療、福祉サービスの割引(フィットネス利用料、検診費用の補助など)
例えば、福岡県の「ふくおか健康ポイントアプリ」 では、歩数や健康活動に応じて「Tポイント」や「楽天ポイント」に交換できる仕組みが整っています。こうした“実用的で身近な特典”が用意されていることで、参加者のモチベーションが維持されやすくなっています。
このように、「どこで、どの制度に参加するか」で得られるメリットは大きく変わるため、まずは自治体や職場の制度を調べて、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
5. 歩くだけじゃない!ボランティアや地域イベントでも貯まる健康ポイント
健康マイレージ・健康ポイント制度は「歩数計測」や「運動」だけが対象と思われがちですが、実際には 社会参加や地域活動 でもポイントが付与されるケースが増えています。これは、身体の健康だけでなく、人とのつながりや生きがいづくりも健康寿命の延伸に欠かせないと考えられているからです。
ボランティア活動でポイント
・地域の清掃活動
・子どもや高齢者との交流活動
・公民館や地域サロンでのサポート
こうしたボランティアは軽い運動にもなり、同時に社会貢献も果たせるため、心身の両面で効果が期待できます。
地域イベントへの参加
・健康講座や料理教室、栄養セミナー
・ラジオ体操や体力測定会
・祭りや地域交流イベント
「楽しく参加するだけでポイントが貯まる」という仕組みは、外出や人との交流を促し、孤立予防にもつながります。
医療・予防関連の取り組み
・特定健診、がん検診の受診
・インフルエンザや肺炎球菌ワクチンの接種
・禁煙外来や健康相談の利用
これらも「健康行動」として評価され、ポイント対象になる場合があります。
たとえば、埼玉県の「コバトンALKOOマイレージ」 では、歩数のほかに「健診受診」や「地域イベント参加」もポイント対象となっており、参加者が健康づくりを多面的に楽しめる仕組みが整っています。
このように、制度によっては「歩くだけではない」選択肢が用意されています。つまり、自分のライフスタイルや関心に合った活動を選んで、自然に健康習慣を身につけられるのが魅力です。
6. 貯めたポイントはどう使える?商品交換・割引・医療費補助まで
健康マイレージ・健康ポイント制度の大きな魅力は、貯めたポイントを実際に活用できることです。努力が“見える形”で報われる仕組みがあるからこそ、継続のモチベーションにもつながります。
交換できる主な特典
1.商品券・電子マネー
全国共通商品券、図書カード、Tポイントや楽天ポイントなどに交換できる自治体もあります。毎日の健康行動が「お買い物の楽しみ」に直結するのは大きなメリットです。
2.地域限定の割引券
商店街やスーパー、飲食店で使えるクーポンが配布されるケースもあります。地域経済の活性化と健康づくりを同時に進められる点が特徴です。
3.健康関連グッズ
血圧計、体組成計、スポーツ用品、サプリメントなど、健康づくりに役立つ品物が選べる仕組みも人気です。
4.医療・福祉サービスの割引
フィットネスクラブの利用料、検診費用、温泉・スパ施設などに使える優待サービスを提供する自治体もあります。
ポイントの使い道は“健康投資”
特典を利用すること自体が次の健康行動につながる場合もあります。たとえば、商品券を使ってウォーキングシューズを購入する、フィットネスクラブの割引を利用して新しい運動習慣を始める、といった形です。つまり、ポイントは単なる「ご褒美」ではなく、次の健康への投資でもあるのです。
7. 無理なく続けるコツ|習慣化と仲間づくりで楽しむ健康活動
健康マイレージ・健康ポイント制度を長く続けるためには、「頑張る」より「楽しむ」 という気持ちが大切です。無理をすると三日坊主になりやすいため、自然に生活に溶け込む工夫を取り入れることがポイントです。
習慣化の工夫
・小さな目標から始める
いきなり1日1万歩を目指すのではなく、「駅では階段を使う」「1日15分だけ散歩する」など達成しやすい目標を設定しましょう。
・毎日のルーティンに組み込む
買い物や犬の散歩のついでに歩数を稼ぐ、夕食後に近所を一周するなど、生活習慣に自然に取り入れるのがコツです。
・見える化で達成感を得る
アプリや歩数計のグラフで進捗を確認すると「今日も頑張った」という満足感につながります。
仲間づくりの効果
一人で続けるよりも、仲間と一緒に取り組むことが継続の力になります。
・友人や家族と歩数を競い合う
・地域のウォーキングイベントやラジオ体操に参加する
・サークルや健康教室に参加して仲間を増やす
厚生労働省の「健康日本21(第二次)」でも、仲間や家族との社会的なつながりが運動継続の促進要因になると報告されています。人と関わりながら活動することで「今日は行かなくちゃ」という前向きな気持ちが自然に生まれるのです。
楽しみを見つける
歩くだけでなく、ボランティアやイベント参加などもポイント対象になるため、好きな活動を選ぶことができます。「花を見に行く」「お祭りに参加する」といった楽しみを組み合わせれば、健康づくりが趣味の延長のように感じられます。
無理なく続けるコツは、健康活動を“義務”ではなく“楽しみ”に変えること。これが長く継続する最大の秘訣です。
8. シニア世代こそお得!健康マイレージ活用で広がる“生きがい”
健康マイレージ・健康ポイント制度は、シニア世代にとって特にメリットの大きい仕組みです。単なるポイント獲得にとどまらず、心身の健康維持と社会的なつながりの強化につながるからです。
経済的なメリット
年金生活をしているシニア世代にとって、少しでも家計の助けになる制度はありがたい存在です。毎日のウォーキングや健診の受診など、もともとやっていた行動がポイントになり、商品券や電子マネーに交換できるのは「お得感」が大きいでしょう。
健康面での効果
・継続的な運動習慣が身につきやすい
・健診や予防接種を受けるきっかけになる
・メンタル面でも前向きな効果がある
特に高齢期は「動かないこと」が最大のリスクとされます。制度をきっかけに外出や交流が増えることで、フレイルや認知症の予防にもつながります。
生きがいづくりの側面
健康マイレージの対象には、ボランティア活動や地域イベント参加も含まれるケースがあります。これにより「社会の役に立っている」という実感を得やすくなり、自分の存在価値を再確認する機会になるのです。
たとえば、地域のラジオ体操や清掃活動に参加することで、近所の人と交流が生まれ、「また来週も頑張ろう」と前向きな気持ちが芽生えます。これは、制度が単なる「健康管理」を超え、“生きがい”を提供する仕組みへと発展していることを示しています。
健康マイレージ・健康ポイント制度は、シニア世代にとって「健康づくり」「経済的メリット」「社会参加」の3つを同時にかなえるツールです。第二の人生をより充実させるきっかけとして、積極的に活用する価値があります。
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