1.1日6時間以内で働くという選択肢が増えている理由
近年、「1日6時間以内で働きたい」というシニア世代のニーズに、企業側の採用方針が追いつき始めています。背景には、少子高齢化による慢性的な人手不足があり、特に介護・物流・清掃・小売など、現場を支える労働力を確保するために、企業が働き方の柔軟性を重視するようになってきました。
国の統計でも、シニアの就業率は年々上昇しています。総務省「労働力調査(2023年)」によると、65〜69歳の就業率は 52.1% と過去最高を更新しました(引用元:総務省統計局)。これは「定年後も何らかの形で働き続けたい」という意欲を持つシニアが増えていることを示しています。一方で、フルタイムでの勤務は体力的に負担が大きいため、「短時間で無理なく働ける働き方」を選ぶ人が増えています。
企業側にとっても、6時間以内勤務はメリットがあります。例えば、業務のピーク時間帯に効率的に人材を配置できるため、人件費を抑えながら必要な戦力を確保できる点です。また、近年では「定年後の再雇用」や「シニア向けの短時間雇用制度」を整備する企業も増加しており、働き手の選択肢は確実に広がっています。
さらに、働き方改革の浸透により、「長時間働く=価値が高い」という従来の考え方が見直され、年齢問わず“パフォーマンス重視”に移行してきています。この流れは、経験豊富で真面目に働くシニア世代にとって追い風です。
1日6時間以内という働き方は、身体への負担が少ないだけではありません。生活リズムを保ちやすく、家庭・趣味・健康管理とのバランスも取りやすい「ちょうどいい働き方」。
「まだ働きたいけれど、無理はしたくない」と考えるシニアにとって、これほど相性の良い選択肢はありません。
2.1日6時間以内で働きたいシニアに多い悩みと希望
シニア世代が「1日6時間以内で働きたい」と考える背景には、いくつか共通の悩みと希望があります。
年齢やこれまでの職歴に関係なく、多くの方が次の3つを感じています。
年金だけでは不安な収入面
定年後は収入の柱が年金に変わりますが、生活費・医療費・予期せぬ出費を考えると「年金だけでは少し不安」という声は決して珍しくありません。
実際、厚生労働省「令和4年簡易生命表」などのデータからも平均寿命は延び続けており、老後の生活費は年々長期間必要になっています。
ただし、フルタイム勤務に戻るのは負担が大きいため、「ほどほどの時間で働く」ニーズが強まっています。1日6時間以内であれば、身体への負担も少なく、無理なく安定収入を得られる働き方として選ばれやすい傾向にあります。
健康維持のために“適度に働きたい”
仕事は収入源であると同時に、生活にリズムを与えてくれる重要な要素です。
多くのシニアが「家にずっといると逆に疲れる」「体を動かす機会が減ると不安」と感じており、適度に身体を使い、外出する習慣が健康維持に直結すると考えています。
専門家の間でも、適度な運動習慣が心身の健康維持に効果的であることは広く知られています。働くことで自然と歩く・動く機会が増えるため、「働く=健康づくり」の一環として選ぶ人が増えているのです。
社会とのつながりを続けたい
仕事には“人と関わり続ける場所”としての役割もあります。
退職後に急激に人付き合いが減ると、孤立感や閉塞感を感じることも少なくありません。
1日6時間以内という働き方は、社会との接点を維持しつつ、プライベートの時間も確保できる絶妙なバランスが魅力です。
仕事仲間との会話や、地域や職場で誰かに必要とされる実感は、メンタル面の安定にもプラスに働きます。
以上のように、「無理せず続けられる収入」「心身の健康」「社会参加」の3つが、シニアが短時間勤務を選ぶ大きな理由になっています。
3.シニア世代に人気!1日6時間以内で働ける仕事5選
1日6時間以内で無理なく働ける仕事は、意外と豊富にあります。
ここでは、身体的負担が少なく、シニア採用の実績が多い仕事を中心に、5つの職種を紹介します。
1.介護補助(身体負担の少ないサポート業務)
介護補助は「介護スタッフのサポート役」として、利用者の見守りや簡単なお手伝いを行う仕事です。
たとえば、配膳、シーツ交換、環境整備、レクリエーションの準備など、“持ち上げる・支える”といった負荷の高い動作は担当しない職場が多く、体力に不安のあるシニアでも無理なく続けられます。
介護施設では慢性的に人材不足が続いており、短時間勤務の受け入れに積極的な傾向があります。また、60代・70代でも活躍している人が多く、「社会貢献性が高い」という点でもやりがいを感じやすい仕事です。
2.家事代行・保育補助(家庭や施設でのサポート)
家事代行や保育補助は、これまでの生活経験を活かせる仕事として、シニアに非常に人気があります。
家事代行では、掃除・洗濯・片づけなど日常的な家事をサポートするため、「特別な資格や経験が不要」というメリットがあります。短時間・スポットで働ける依頼も多く、1日6時間以内の柔軟な働き方にピッタリです。
保育補助では、子どもの見守り、園内の環境整備、簡単な準備や片づけなど、保育士のサポートが中心。子どもが好きなシニアには特に向いています。
保育園は早朝・夕方の人手不足が特に深刻で、シニアの短時間勤務を歓迎する園も増えています。
3.マンション管理人
「巡回」「清掃」「受付対応」など、比較的落ち着いた環境で働けるのがマンション管理人です。
1日3〜6時間の短時間シフトを設定している物件も多く、生活リズムを整えやすい職種として人気があります。
住民とのコミュニケーションや簡単なトラブル対応など、人との関わりが自然と生まれるため、「社会とつながりたい」と考えるシニアにも向いています。
4.警備スタッフ(負担が軽い現場)
警備というと「体力が必要」というイメージがありますが、実際には負担の軽い現場を選ぶことで、シニアでも十分無理なく働けます。
たとえば、
・商業施設の入口での案内や見守り
・駐車場での誘導(座りながら / 日陰の現場も多い)
・オフィスビル内の巡回
など、身体への負担が大きくない現場が多数あります。
資格が必要な現場もありますが、資格取得支援を行う企業も多く、ステップアップしながら続けられる点も魅力です。
5.清掃スタッフ
オフィスビル・商業施設・マンションなど、多様な場所で必要とされる仕事です。
早朝や日中の短時間勤務が多く、「1日2〜6時間」のシフトが中心。体力に自信があるシニアには特に向いています。
作業内容は決まっていることが多いため覚えやすく、黙々と取り組みやすい点が人気の理由。
また、チームで行う現場も多く、自然なコミュニケーションが生まれやすい仕事でもあります。
以上、1日6時間以内で働けるシニア向けの仕事を5つ紹介しました。
どれも「続けやすさ」「社会とのつながり」「健康維持」の3つをバランスよく満たせる職種です。
4.無理なく続けられる職場の見つけ方
1日6時間以内で働く場合、「仕事内容が自分に合っているか」「無理せず続けられる環境か」が非常に重要です。ここでは、シニア世代が長く安心して働くためにチェックしておきたい4つのポイントを紹介します。
シフトの柔軟性を確認する
シニアの働き方で大切なのは、生活リズムに負担がかからないことです。
そのため、応募前に以下のようなポイントを確認しておくと安心です。
・1日何時間から働けるのか
・週2日〜3日勤務でも可能か
・午前のみ/午後のみといった固定シフトが選べるか
・急な用事にも対応しやすい体制か
企業によっては「午前だけ」「午後だけ」など、時間帯を限定した働き方が可能な職場も増えています。
特に介護施設・保育園・清掃・警備などは「人手が必要な時間帯が決まっている」ため、シニアの短時間勤務と相性が良く、無理なく働き続けやすい業界です。
身体負担の少ない仕事内容かをチェック
同じ職種でも、職場によって「身体への負担」は大きく異なります。
たとえば、
・清掃でも“重い機材を扱う現場”と“日常清掃が中心の現場”で負担は違う
・介護補助でも“入浴介助なし”“見守り中心”など負担軽減型の職場が増えている
・警備も“炎天下の外で立ち続ける現場”と“屋内案内中心の現場”では大きく差がある
応募前の面接で「1日の動き方」「重い物を持つ場面があるか」などを確認することで、働き始めてからのミスマッチを防げます。
特にシニア世代では、「長時間立ちっぱなし」「力仕事が多い環境」は続けにくいため、“無理なくできる範囲”を明確にすることが重要です。
シニア採用実績や再雇用制度の有無を見る
働きやすい企業の多くは、
・シニア採用の実績がある
・60代 / 70代のスタッフが在籍している
・定年後の再雇用制度が整っている
といった特徴があります。
面接時にスタッフの年齢構成を聞くと、職場の雰囲気や馴染みやすさをイメージしやすくなります。
同年代の先輩がいる職場は、シニアにとって相談しやすく、安心して長く働ける環境が整っている場合が多いのもポイントです。
職場の雰囲気・人間関係も重視する
長く働けるかどうかは、仕事内容だけでは決まりません。
職場の雰囲気・人間関係は、シニアの働きやすさを大きく左右します。
例えば、
・丁寧に教えてくれる先輩がいる
・年齢に関係なく意見が言いやすい
・チームワークを大切にしている
・コミュニケーションが穏やか
といった職場は、ミスを恐れず仕事に取り組めるため、シニアが安心してスタートしやすいのが特徴です。
見学が可能な職場なら、実際に現場の雰囲気をチェックしてみるのもおすすめです。
以上の4つを意識することで、「1日6時間以内で無理なく続けられる仕事」を見つける可能性が大きく高まります。
5.1日6時間以内で働くメリットとデメリット
1日6時間以内という働き方は、シニア世代にとってメリットが多い一方で、働く前に知っておきたい注意点もあります。
ここでは、メリット・デメリットを整理し、長く続けるための工夫も紹介します。
メリット(健康・収入・生活リズム)
①心身の負担が少ない
短時間勤務は、身体的な疲労が溜まりにくいのが最大の利点です。特に60代・70代では「長時間働くと翌日に疲れが残る」という声も多く、6時間以内の勤務は無理なく続けられます。
②生活リズムが整う
毎日の適度な外出や運動が自然に生まれるため、健康維持にプラスとなります。仕事があることで「起きる時間が一定になる」「昼夜逆転しない」など、生活習慣も安定しやすくなります。
③収入の補填ができる
フルタイムほどの収入は難しいものの、年金にプラスして一定額の収入を得られることは大きな安心につながります。
とくに1日6時間前後であれば、週3〜4日勤務でも月数万円〜10万円以上の収入を得られるケースが多く、家計の支えになります。
④社会とのつながりを維持できる
人と話す機会が自然と増え、孤立しにくいのもメリット。仕事仲間や利用者との交流にやりがいを感じるシニアも多く、精神面の健康にも良い影響があります。
デメリット(収入上限・勤務数の制限)
①フルタイムより収入が少ない
当然ですが、勤務時間が短い分、得られる収入も限られます。
「もっと稼ぎたい」という場合は、週あたりの勤務日数や時間を増やす必要があります。
②雇用保険・社会保険の加入条件に満たない場合がある
1日6時間以内・週20時間未満だと、雇用保険に加入できないケースがあります。
社会保険についても、
・法人規模
・週の勤務時間
・月額給与
などによって加入条件が変わるため、事前に確認が必要です。
③仕事内容によっては体力的にきついこともある
短時間とはいえ、
・立ち仕事が多い
・動き回る仕事
・重い物を扱う現場
などは、年齢を重ねるほど負担が増えます。短時間勤務だからといって油断せず、「自分の体力に合った職場かどうか」を慎重に選ぶ必要があります。
デメリットを補うための工夫
1日6時間以内の働き方のデメリットは、工夫次第で十分カバーできます。
①収入面は“勤務回数・曜日の調整”で補う
週3日→週4日に増やす
午前だけ→午後も少し追加する
など、小さな調整で収入をアップできます。
②身体負担は“職場選び”が全て
応募前に、
・重労働がないか
・立ちっぱなしにならないか
・シニアが多い職場か
を確認することでミスマッチは大幅に減ります。
③働きやすい制度のある職場を選ぶ
・シニア採用実績
・再雇用制度
・時間限定勤務
が整っている企業は、長く働きたいシニアにとって非常に安心です。
1日6時間以内という働き方は、「無理なく続けたい」「生活リズムを整えたい」「健康も収入も両立したい」というシニアの理想を叶えられる働き方です。
6.まとめ:無理なく働き続けるための最初の一歩
1日6時間以内という働き方は、シニア世代にとって“ちょうどいい”働き方です。
フルタイムのように体力を削らず、週数日でもしっかり収入を得られ、社会とのつながりも維持できます。
働くことで生活リズムが整い、健康維持にもつながるため、「長く元気に働きたい」という方にぴったりです。
一方で、職場選びを間違えると「思ったより負担が大きかった」「続けるのが難しい」というケースもあります。
だからこそ、応募前に
・シフトの柔軟性はあるか
・身体に負担のない仕事内容か
・シニア採用の実績はあるか
・職場の雰囲気は合いそうか
といったポイントを丁寧に確認することが大切です。
特に、介護補助・家事代行・保育補助・マンション管理・警備・清掃などは、短時間勤務の導入が進んでおり、60代・70代のスタッフも多く活躍しています。
これまでの経験を活かしたり、新しい仕事に挑戦したりと、選択肢はたくさんあります。
「無理なく、でも確実に働きたい」
その気持ちがあれば、今からでも十分スタートできます。
まずは、自分の体力・ペースに合った働き方をイメージし、応募しやすい仕事から一歩を踏み出してみてください。
あなたが安心して働ける場所は、必ず見つかります。
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