人生100年時代、本当に知るべきは「平均余命」。充実したシニアライフを送る考え方

健康

1. 「平均寿命」と「平均余命」の違いとは?

ニュースでよく聞く「平均寿命」の落とし穴

テレビや新聞のニュースで「日本人の平均寿命が過去最高を更新しました」という話題を耳にすることは多いでしょう。厚生労働省が発表した「令和6年簡易生命表」によると、2024年の日本人の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.13歳となっています(※1)。

これを聞いて、多くの人がやってしまう勘違いがあります。それは「平均寿命 - 今の自分の年齢 = 残りの寿命」と計算してしまうことです。

たとえば男性の場合、「81歳 - 自分の年齢 = あと何年しか生きられない」と考えてしまいがちです。しかし、実はこの計算は間違いなのです。「平均寿命」という数字だけを見て人生のゴールを予測してしまうと、残りの時間を短く見積もりすぎてしまいます。


今を生きるシニアにとって重要な「平均余命」という指標

セカンドライフの計画を立てる上で、本当に見るべき正しい数字は「平均余命(へいきんよめい)」です。

平均寿命と平均余命の違いを、すごく簡単に言うとこうなります。

平均寿命:「0歳の赤ちゃん」を基準にした平均値
平均余命:「今のあなた」を基準にした平均値

平均寿命(0歳の平均)には、残念ながら病気や事故などで若くして亡くなってしまった方のデータもすべて含まれています。そのため、全体の平均値は少し低く(短く)出てしまうのです。

一方、「平均余命」は全く違います。平均余命は「ここまで色々なリスクを乗り越えて、元気に生きてこられた人たち」だけを集めて、「じゃあ、その人たちはここから平均してあと何年生きられるか?」を計算し直した数字です。

すでにシニア世代まで人生を歩んでこられた皆様は、若い頃の病気やケガのリスクをすべてクリアしてきたという立派な「実績」を持っています。だからこそ、「平均寿命」という全体の数字を気にする必要はありません。あなた自身の年齢から再計算された「平均余命」こそが、本当に残されているリアルな時間なのです。

「もう歳だから」という言葉で自分の可能性を狭めてしまうのではなく、正しいデータに基づいた十分な残り時間を知ること。それが、過去のやり方にとらわれない「アンラーニング(学びほぐし)」や、新しいステージへ踏み出すための重要な第一歩となります。

※1 出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表」


2. データで見る!生き抜くほどに延びる「平均余命」の驚くべき事実

60代、70代からでも遅くない。想像以上に長いこれからの人生

それでは、実際のデータを見てみましょう。厚生労働省の簡易生命表(※2)によると、65歳時点での平均余命は男性で約19年、女性で約24年とされています。さらに75歳時点でも、男性で約12年、女性で約15年という時間が残されています。

仮に15年とすると、日数にして約5,400日以上です。これだけの途方もない「自分のための時間」があると考えれば、「何か新しいことを始めるには、もう遅すぎる」と考えるのは非常にもったいないことではないでしょうか。

定年後のセカンドライフは、決して「余生」ではありません。自分の裁量で自由に使えるこの長い期間は、長年の仕事や家事などを頑張ってきたからこそ得られた素晴らしいボーナスタイムです。新しい趣味に挑戦したり、地域活動に参加したりと、これからの日々を充実させるには十分すぎるほどの時間が用意されているのです。


歳を重ねるごとに「人生のゴール」は後ろに延びていく

さらに「平均余命」には、知っておくべき驚くべき事実があります。それは、「年齢を重ねて生き抜けば生き抜くほど、人生の最終的なゴール(到達予想年齢)は後ろに延びていく」という性質です。

例えば、現在の日本人男性の平均寿命(0歳の平均余命)は約81歳ですが、実際に81歳まで生きられた方の平均余命は「0年」ではありません。さまざまな病気や怪我のリスクを乗り越えて生き抜いてきた「実績」があるため、81歳時点でもおよそ8〜9年ほどの平均余命が算出されるのです。つまり、健やかに生きれば生きるほど、実質的な寿命の着地点はどんどん未来へと拡張していきます。

「自分はあと○年くらいだろう」と勝手に限界を決めてしまう必要はありません。この「人生は生きるほどに延びていく」というポジティブな事実を知ることで、毎日の健康づくりや社会との関わりへのモチベーションがさらに高まるはずです。

※2 出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表」の数値を基に概算


3. 長くなった人生を楽しむ!データから読み解く「長生き・健康の秘訣」

秘訣①:無理のない運動習慣が「健康寿命」を底上げする

延びていく平均余命を心から楽しむためには、日常生活を制限なく自立して送れる期間である「健康寿命」をいかに延ばすかが重要になります。そのための第一の秘訣は、日々の生活に無理のない運動習慣を取り入れることです。

急にジムに通ったり、激しいスポーツを始めたりする必要はありません。近所の公園を自分のペースで散歩する、ラジオ体操を毎朝の日課にする、家事や庭いじりの合間にストレッチをするといった、ささやかな活動で十分です。大切なのは「三日坊主にならず、細く長く続けること」。自分の身体と対話しながら適度な運動を習慣化することが、これからの長い人生を支える丈夫な土台となります。


秘訣②:社会とのつながりやコミュニケーションがもたらす心の若返り効果

第二の秘訣は、社会とのつながりや他者とのコミュニケーションを持ち続けることです。長年勤め上げた職場を離れると、どうしても人と接する機会が減り、孤立感を感じやすくなることがあります。しかし、他者との何気ない会話や交流は、脳に良い刺激を与え、心を若々しく保つ「特効薬」です。

地域の集まりや趣味のサークル、あるいは新しい仕事やボランティアなど、外の世界へ一歩踏み出してみましょう。年齢や過去の経歴にとらわれない新しいコミュニティでの交流は、日々の生活に心地よいリズムと笑いをもたらしてくれます。


秘訣③:誰かの役に立つ喜び(やりがい)を持つことの重要性

第三の秘訣は、生活の中に「やりがい」を見つけることです。人はいくつになっても「誰かの役に立っている」「自分が必要とされている」と実感できるとき、心の中に大きな幸福感と生きる活力が湧いてきます。

皆様がこれまでの人生で培ってきた知識や経験、そして温かなお人柄は、社会にとってかけがえのない財産です。若い世代へちょっとしたアドバイスをしたり、誰かのサポートをしたりと、無理のない範囲で社会参加を続けることが「自分の存在価値」の再確認に繋がります。この精神的な充実感こそが、心身の健康を保ち、長生きへと繋がる最高の秘訣なのです。


4. 人生は「マルチステージ」へ。新しい自分に出会うための考え方

過去の肩書きを手放す「アンラーニング」のすすめ

かつての「教育を受け、働き、定年を迎えて余生を過ごす」という3つのステージで構成された単線型のライフプランは、人生100年時代においては過去のものとなりつつあります。現代は、年齢に関わらず学ぶことと働くこと、そして趣味や地域活動を何度も行き来する「マルチステージ」の時代です。この新しい時代を軽やかに生き抜くためにぜひ取り入れていただきたいのが、「アンラーニング(学びほぐし)」という考え方です。

長年社会で活躍されてきた方ほど、過去の役職や成功体験、あるいは特定の業界でのやり方に無意識のうちに縛られてしまうことがあります。アンラーニングとは、これまでの経験を否定することではなく、「一度その肩書きや固定観念を横に置き、新しいことをスポンジのように吸収できるまっさらな状態に戻る」ことを指します。過去のプライドを良い意味で手放すことができれば、フットワークは驚くほど軽くなり、新しい環境にもすんなりと馴染むことができるようになります。


新しい環境や学びに飛び込み、毎日をアップデートする

アンラーニングを通じて心を柔軟な状態に整えたら、次は新しい環境や学びへと一歩踏み出してみましょう。たとえば、これまであまり馴染みのなかったITツールやスマートフォンの便利な機能について学んでみる、全く経験のない異分野の仕事やボランティアにチャレンジしてみる、といったことです。

「今さら新しいことを覚えるなんて」と躊躇する必要はありません。第2章で確認した通り、皆様にはまだまだたっぷりと「平均余命」という豊かな時間が残されています。新しい知識を得たり、これまで接点のなかった人々と交流したりすることは、脳に新鮮な刺激を与え、自己肯定感を高めてくれます。昨日までの自分に少しずつ新しい経験を上書きし、毎日をアップデートし続けること。それこそが、マルチステージの人生を退屈させず、いつまでも若々しくイキイキと生きるための最大の秘訣です。


5. まとめ:平均余命を知ることは、前向きなシニアライフへの第一歩

これまで見てきたように、「平均寿命」という単なる平均値に惑わされるのではなく、自分自身に残されたリアルな時間である「平均余命」を知ることは、これからの人生をどう生きるかをデザインする上で非常に重要です。

データが明確に示している通り、定年という節目を迎えた後にも、皆様にはまだまだ数え切れないほどの「豊かな時間」が待っています。その貴重な時間をただ漠然と過ごすのではなく、無理のない運動を取り入れて健康寿命を底上げし、社会との温かいつながりを持ち続けること。そして、アンラーニングを通じて過去の枠組みにとらわれず、常に新しい自分へとアップデートしていく柔軟な姿勢を持つこと。そうした日々の心がけの積み重ねが、これからの毎日をいっそう輝かせてくれるはずです。

「もう遅いかもしれない」という言葉は、今日から手放してみましょう。人生100年時代、皆様のマルチステージはこれからさらに面白くなっていきます。生き抜くほどに延びていく平均余命を心から楽しみ、充実したシニアライフを送るために、今日からできる小さな一歩を、ぜひ前向きな気持ちで踏み出してみてください。この記事が、その新しいチャレンジへの背中を押すきっかけとなれば幸いです。

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