シニア人材に響く!警備業界の採用活動で成果を上げる求人の書き方とは

シニア採用

なぜ今、警備業界はシニア人材に注目しているのか

深刻化する人手不足と高齢者雇用の親和性

警備業界では、慢性的な人手不足が深刻な課題となっています。特に夜間帯や休日のシフトにおいては人材確保が難しく、「求人を出しても若年層からの応募がない」といった悩みを抱える企業も少なくありません。

一方、日本はすでに超高齢社会に突入しており、総務省のデータ(令和5年)によれば、65歳以上の高齢者人口は3,600万人を超え、総人口の約29%を占めています。こうした高齢層の中には「まだ働きたい」「社会と関わっていたい」と考えるアクティブシニアが多く、企業側がこの層を積極的に受け入れることが、労働力不足の有力な解決策になり得るのです。

また、厚生労働省の「高年齢者雇用状況報告」によれば、70歳まで働ける企業の割合は年々増加しており、企業の意識も「定年=引退」から「定年後も活躍」に変わりつつあります。警備業界においてもこの動きは顕著で、特に人手が不足する時間帯や、一定の落ち着きが求められるポジションでの高齢者活用が進んでいます。


警備業務が高齢者に適している理由

警備業務は、工場や施設、マンション、店舗、イベント会場などで「人やモノを見守る」「トラブルを未然に防ぐ」といった業務が中心です。こうした業務は、瞬発力よりも冷静な判断力・責任感・丁寧さが求められるため、社会経験が豊富なシニア層に向いていると言えます。

また、警備にはさまざまな形態があり、以下のような勤務スタイルが選べる点も高齢者にとって大きな魅力です:

日中のみの施設警備(立哨・モニター監視など)
宿直型の夜間警備(体力よりも在室がメイン)
巡回や出入管理など一定のペースで行う業務

これらの業務は、一定のルーティンの中で落ち着いて働ける環境が整っており、体力面の不安がある高齢者でも安心して就業できるケースが多いです。

さらに、シニア人材は「勤務に対する真面目さ」「時間厳守」「誠実な対応」といった特性を持つ方が多く、施設管理者や他スタッフからの信頼を得やすい傾向があります。


高齢者に響く求人票の書き方とは?

高齢者が求人情報を見る際、最も重視するのは「安心感」と「自分にもできそうかどうか」です。若年層向けとは異なり、「キャリアアップ」や「成長機会」よりも、「体力的な無理がないか」「雰囲気に馴染めるか」などを重視する傾向があります。

そのため、シニア人材を惹きつけるためには、求人票の書き方において以下の3つのポイントを意識することが重要です。


仕事内容は具体的かつ安心感を重視

警備業界の仕事は「危険そう」「体力的にきつそう」といった誤解を持たれがちです。高齢者に安心してもらうためには、業務内容をできるだけ具体的に記載し、安心材料をしっかり盛り込むことが必要です。

良い例:

・「○○ビル内の常駐警備。主にモニター監視と来客受付対応」
・「1時間ごとの館内巡回。長時間立ち続ける作業ではありません」
・「重い荷物の運搬作業はありません」

これにより、「自分にもできそうだ」と思ってもらいやすくなり、応募率が上がります。


「勤務時間・休日・給与」は柔軟さを明記

高齢者の多くは、フルタイムではなく「週2〜3日」「午前中のみ」「夜間だけ」といった柔軟な働き方を希望しています。

求人票には、以下のような具体的で選択肢のある表現を用いると効果的です。

例:

・「週2日〜OK。曜日応相談」
・「日勤・夜勤選択可能(ご希望を考慮)」
・「Wワーク・扶養内勤務歓迎」

給与に関しても、明確な記載が安心感を生む要素になります。

・「時給1,200円+深夜手当」
・「交通費全額支給」
・「試用期間あり(3ヶ月/条件変更なし)」

こうした条件面の明示は、シニア層だけでなく、どの年代にも信頼を与え、応募意欲を高めます。


「歓迎する人物像」は経験や人柄にフォーカス

シニア層の中には「もう年齢的に無理だろう」と自己選別してしまう人も少なくありません。そうした方々に応募の後押しをするには、求人票に「年齢不問」「未経験歓迎」といった言葉や、人柄を重視する姿勢を明確に伝えることが効果的です。

記載例:

・「定年後の再就職をお考えの方歓迎」
・「未経験からスタートした60代・70代も活躍中」
・「社会貢献に関心のある方」「人と接することが好きな方」

また、「60代・70代の採用実績あり」といった実績ベースの一言を入れるだけでも、安心材料となります。


補足:写真や雰囲気の伝わる情報も効果的

求人票に実際の現場写真や、スタッフの一言コメントを載せるのも有効です。特に高齢者にとって「どんな雰囲気の職場なのか」は重要な判断材料になります。

例:

・「働くスタッフの声:『週3日勤務で、無理なく続けられています(70代男性)』」
・「シニア世代が多く、和やかな職場です」

これにより、働くイメージが明確になり、応募の心理的ハードルを下げられます。


このように、「安心」「具体性」「柔軟性」「共感」の4点を意識することで、シニア層の応募を効果的に引き寄せる求人票が作成できます。


シニア応募者の不安を払拭する表現テクニック

高齢者が仕事に応募する際、「本当に自分にできるのか」「健康面や体力に不安がある」「新しい環境に馴染めるか」といった悩みを抱えているケースが非常に多いです。

したがって、求人票には「安心できる」「支えてもらえる」と感じられるような“配慮のある言葉”や“見えるサポート体制”を盛り込むことが大切です。
ここでは、求人票に入れるだけで応募率が高まる2つのポイントを紹介します。


体力・健康面への配慮を言語化する

「警備」と聞くと、長時間の立ち仕事や巡回などで体力が必要そう…と身構えてしまうシニアは少なくありません。そこで、「身体的負担が少ない」「無理なく働ける」という点を、しっかり言葉で伝えることが重要です。

✅ 求人票での表現例:

・「長時間の立ち仕事なし。椅子での監視業務が中心」
・「重い荷物の持ち運びはありません」
・「1時間に1回のペースで短距離を巡回します」
・「勤務前に健康状態の確認や相談が可能です」

こうした文言は、応募者の「自分にもできそうか?」という疑問を払拭するだけでなく、「企業が配慮してくれる」という安心感にもつながります。


研修制度やフォロー体制をしっかり明記

もう一つの大きな不安は、「未経験でも大丈夫か?」「新しい仕事を覚えられるか?」という“スキル面の不安”です。これに対しては、研修体制やフォロー制度を明確に記載することが効果的です。

✅ 求人票での表現例:

・「入社後に2日間の研修あり(座学+現場見学)」
・「現場では先輩スタッフがマンツーマンで1週間サポート」
・「未経験からスタートした60代・70代の方が多数在籍」
・「定期的にスキル確認を実施し、不安な点はその都度フォロー」

シニア層は、「誰に相談していいのか分からない」「一人で放置されるのでは?」という状況を非常に不安に感じます。
だからこそ、「寄り添う体制が整っている」ことを丁寧に言葉にすることがカギです。


補足:サポートに関する視覚情報も効果的

もし求人票が紙媒体やWebページで掲載される場合は、写真や図解、Q&A形式などを取り入れて、視覚的にサポート体制を見せるのも有効です。

例:

・「未経験者の一日をイラストで紹介」
・「入社後の流れを図で解説(研修→現場→サポート体制)」

これにより、応募者の不安を“見える化”して解消することができます。


求人票は、ただ条件を伝えるだけではなく、「あなたの不安を理解していますよ」という企業からのメッセージでもあります。
特に高齢者に対しては、安心・信頼・共感が何よりも応募動機を後押しします。

不安を払拭するような丁寧な表現は、「ここなら続けられそうだ」と感じてもらえる大きな要素となるのです。


高齢者採用で気をつけたい法的ポイントと支援制度

高齢者の採用は、社会貢献や企業イメージの向上にもつながる一方で、年齢に関する表記の注意点や支援制度の活用など、知っておくべき法的・制度的なポイントがあります。
ここでは、安心してシニア採用を進めるために、必ず押さえておきたい項目を2つの視点で整理します。


年齢差別の禁止と「年齢制限例外事由」

求人票を作成する際、まず最初に注意すべきは「年齢制限の記載」についてです。
「雇用対策法第10条」では、年齢による不当な差別的取り扱いを禁止しており、基本的には求人票に年齢制限を記載してはいけないことになっています。

ただし、以下のような「例外事由」の場合に限り、年齢制限の記載が認められます。

例外事由内容例表記の仕方
定年年齢未満の人材を募集するため定年が60歳で、60歳未満を対象とする求人「60歳未満の方を募集(定年60歳のため)」
労働基準法などの規定に基づく年齢制限18歳未満の深夜業務禁止など「18歳以上の方を募集(警備業法による)」
高年齢者雇用の推進を目的とした募集高齢者を積極採用したい場合「60歳以上の方歓迎(シニア活躍中)」

警備業の場合は、「警備業法」により18歳未満の者を警備業務に就かせてはならないという規定がありますので、「18歳以上」という記載は認められます。

ポイント:

・「60代活躍中」「年齢不問」「定年後も歓迎」など、制限ではなく歓迎の意図で書くのが正解。
・年齢制限を設ける場合は、「例外事由」を求人票に明記すること。


助成金や再就職支援制度の活用方法

高齢者を新たに雇い入れた場合、企業側は国からの支援や助成金を受けられる可能性があります。これは、コストを抑えながらシニア採用を促進できる大きなメリットです。

✅ 主な制度・支援内容:

1.高年齢者雇用開発特別奨励金(65歳以上の採用)
・概要:65歳以上の高年齢者をハローワーク経由で雇用した事業主に支給
・金額:1人あたり30万円~60万円(※条件により異なる)

2.生涯現役促進地域連携事業
・概要:高齢者のマッチング支援・職業訓練などを支援
・対象:地域によって内容が異なる(自治体に確認)

3.特定求職者雇用開発助成金
・高齢者・障害者などの再就職支援を目的とした助成金
・常用雇用での採用が前提

4.65歳超雇用推進助成金(65歳以上の継続雇用や定年延長)
・対象:継続雇用制度の導入、定年の引き上げなどに取り組む企業

    ✅ 活用のポイント:

    ・助成金は採用前の申請が必要なケースが多いため、採用計画段階で確認を。
    ・各制度の詳細は、最寄りのハローワークまたは都道府県労働局に問い合わせを。
    ・制度を活用することで、シニア採用のコスト面の不安を軽減できる。


    高齢者の採用には、法令を正しく理解し、助成制度をうまく活用することで、企業側のリスクを減らし、採用効果を最大化することができます。

    年齢制限の記載は慎重に
    例外事由を明確に書く
    助成金は早めにチェック

    こうした視点を持つことが、人事マネージャーとしての“信頼される求人設計力”につながります。


    まとめ:シニア人材を活かす求人票が、企業の未来を変える

    警備業界における慢性的な人手不足に対して、シニア人材の活用は即戦力の確保と職場の安定化に直結する重要な戦略です。ただし、その成果を引き出すためには、「求人票」という最初の接点で信頼を得られるかどうかがカギを握ります。


    求人票は“採用の第一印象”

    求人票は、応募者との「はじめまして」の場です。高齢者が求人票を見るとき、次のようなことを感じ取ろうとしています

    ・自分にできる仕事か?
    ・無理なく働けるか?
    ・この会社はシニアに理解があるか?

    つまり、「安心」「共感」「具体性」があるかどうかが、応募を決める分岐点になるのです。
    単に「人が足りないから募集」ではなく、「あなたの経験を必要としています」と伝わる求人票であれば、応募率は飛躍的に高まります。


    高齢者の経験が職場にもたらす価値

    シニア世代は、長年の社会経験を通じて得た「対人対応力」「冷静な判断」「責任感」など、警備業務において非常に価値の高いスキルを持っています。
    さらに、落ち着いた対応や勤務への真面目な姿勢は、職場全体の雰囲気を良くし、若手スタッフの模範にもなります

    また、社会的な側面でも「シニアを雇用する企業」としてのイメージアップにつながり、CSR(企業の社会的責任)の観点からも注目されています。


    企業がすべき3つのアクション

    最後に、警備業界でシニア採用を成功させるために、企業が取り組むべきことを3つにまとめます。

    アクション内容効果
    1. 求人票を丁寧に設計する安心感・具体性・柔軟性を意識した表現を使う応募者の心理的ハードルを下げる
    2. サポート体制を整える研修・体力配慮・相談窓口の整備離職率の低下と定着率アップ
    3. 助成金や法的知識を押さえる採用コストの軽減と法令順守長期的な人材戦略が可能に

    求人票は「未来への投資」

    警備業界の未来は、多様な人材の力にかかっています。特にシニア世代の雇用は、単なる補充ではなく企業文化を豊かにし、顧客にも安心を届ける戦略的な人材活用です。

    その第一歩が、シニアに響く「求人票の書き方」から始まるのです。
    自社の求人票を見直し、1人でも多くの“まだ働ける”高齢者と出会える設計を行いましょう。
    それが結果的に、企業の未来を変えることにつながります。

    シニア人材の採用ならシニア向け求人サイト「キャリア65」!無料で求人掲載ができ、高齢者に特化したマッチングが可能です。

    タイトルとURLをコピーしました