1. 帯状疱疹とは？原因と症状をわかりやすく解説
帯状疱疹（たいじょうほうしん）は、水ぼうそうのウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス（VZV）」が原因で起こる病気です。子どもの頃に水ぼうそうにかかった人の体内には、このウイルスが神経節に潜伏し続けます。免疫力が低下したときに再活性化し、帯状に痛みや発疹を伴う症状として現れるのが「帯状疱疹」です。
主な症状は、皮膚のかゆみ・痛み・ピリピリと刺すような神経痛、赤い発疹や水ぶくれなど。痛みは非常に強く、特に夜間に悪化しやすいため、睡眠不足やストレスを招くこともあります。
また、重症化すると「帯状疱疹後神経痛（PHN）」と呼ばれる長期間続く後遺症になる場合も。発症から3カ月以上経っても痛みが残るケースが約20%とされ、高齢になるほどリスクは高まります（厚生労働省・帯状疱疹予防接種ガイドより）。
帯状疱疹は「誰でもなる可能性がある」一方で、加齢やストレス、過労、病気などで免疫力が落ちたときに発症しやすいことが特徴です。特にシニア世代は免疫力の低下が自然現象として進行するため、注意が必要です。
2. シニア世代に帯状疱疹が増えている理由とは？
近年、帯状疱疹の発症は50代以降で急増し、特に70代でピークを迎えることが報告されています。厚生労働省の統計によれば、日本国内では80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験すると推計されています。
その背景には、加齢による免疫力の低下が大きく関与しています。年齢を重ねるごとに「細胞性免疫」と呼ばれるウイルスに対抗する力が弱くなり、潜伏していたウイルスが再活性化しやすくなります。
また、シニア世代は退職後の生活リズムの変化や運動不足、慢性的なストレス、持病の増加といった要因が重なり、免疫力がさらに落ち込みやすい傾向があります。
特に、再就職や地域活動などで再び忙しくなるシニア世代は、知らず知らずのうちに無理を重ね、体力や免疫力を消耗してしまうことも少なくありません。
こうした現実を踏まえると、帯状疱疹は「年齢とともに避けられないリスク」と言えます。しかし、予防や早期対策を取ることで重症化や発症リスクを大幅に減らすことが可能です。
3. 帯状疱疹は仕事にも影響する！シニアが注意すべきリスクとは？
帯状疱疹は、シニア世代が働く上で大きな健康リスクとなり得ます。特に再就職後や働き続けるシニアにとって、「痛み」「倦怠感」「集中力低下」といった症状は、仕事のパフォーマンスに直結します。
発症初期は皮膚の違和感や軽い痛みで始まりますが、次第に神経痛が強くなり、服が擦れるだけでも激痛を感じるようになります。重い荷物を運ぶ作業や、長時間の立ち仕事、細かい作業を要する仕事では、作業効率が著しく低下することも。
さらに怖いのは「帯状疱疹後神経痛（PHN）」と呼ばれる長期的な後遺症です。これは帯状疱疹が治った後も、数カ月から数年にわたり痛みが残るケースで、高齢者ほど発症リスクが高いことがわかっています（日本皮膚科学会によるガイドラインより）。
このような状況になると、仕事を休まざるを得なくなるだけでなく、復帰後も痛みが原因で業務に支障をきたす恐れがあります。再雇用先や新しい職場での評価にも影響するため、帯状疱疹は「働くシニア」にとって無視できない問題です。
また、体力のある方でも疲労の蓄積が引き金になることが多いため、「自分は元気だから大丈夫」と過信せず、日頃から体調管理に気をつける必要があります。
4. 帯状疱疹の予防法と早期対策
帯状疱疹は一度発症すると、強い痛みや長期的な後遺症に悩まされるリスクが高いため、「発症させないこと」が最も重要です。シニア世代が実践すべき予防策と、早期対策を紹介します。
【予防法1】ワクチン接種で発症リスクを大幅に低減
帯状疱疹の最も効果的な予防策はワクチン接種です。現在、日本で承認されているワクチンは以下の2種類。
・乾燥弱毒生水痘ワクチン（50歳以上対象、発症予防効果50〜60%）
・帯状疱疹予防用組換えワクチン（シングリックス）（50歳以上対象、発症予防効果90%以上）
特に「シングリックス」は効果が高く、発症だけでなく帯状疱疹後神経痛の予防にも有効とされています（厚生労働省「帯状疱疹予防接種ガイド」より）。
費用は全額自己負担の場合、2回接種で4〜5万円が相場ですが、自治体によっては助成制度があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
【予防法2】免疫力を高める生活習慣
ワクチンだけでなく、免疫力を維持することも重要です。具体的には：
・バランスの良い食事（タンパク質・ビタミン・ミネラルの摂取）
・適度な運動（ウォーキングや体操）
・質の良い睡眠（7〜8時間）
・過度なストレスを避け、リラックスする時間を作る
働くシニアは「無理をしすぎない」ことも大切。体調がすぐれない時は、早めに休息を取りましょう。
【早期対策】発症したらすぐに受診を
帯状疱疹は、発症後72時間以内に治療を始めると、重症化や後遺症リスクを抑えられると言われています（日本皮膚科学会）。早期に抗ウイルス薬を投与することで、症状を最小限に抑えることができます。
「皮膚に違和感がある」「ピリピリとした痛みが出てきた」などの初期症状を感じたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。
5. 働くシニアが実践する“健康管理”のコツ
帯状疱疹を防ぎ、長く元気に働き続けるためには、日常の“ちょっとした習慣”がとても重要です。ここでは、働くシニア世代が無理なく取り入れられる健康管理のコツをご紹介します。
【1】「頑張りすぎない」働き方を意識する
シニア世代は真面目で責任感が強い方が多く、つい無理をしてしまいがちです。しかし、過労や睡眠不足は免疫力を低下させ、帯状疱疹のリスクを高めます。
・休憩時間をしっかり確保する
・体調に合わせて勤務時間や作業量を調整する
といった「頑張りすぎない」働き方が、自分を守ることにもつながります。
【2】職場でもできる「簡単ストレッチ」や「深呼吸」
働きながらでも取り入れられるリフレッシュ方法として、軽いストレッチや深呼吸が効果的です。
・首や肩を回す
・背筋を伸ばして深呼吸する
といった簡単な動作だけでも血流が良くなり、ストレス軽減や疲労回復につながります。
【3】「食事」と「水分補給」で体の内側から整える
免疫力アップの基本はやはり食事と水分補給。
・タンパク質（魚・肉・大豆製品）
・ビタミンC（野菜・果物）
・亜鉛（牡蠣・レバー・ナッツ）
などを意識して取り入れると、ウイルスへの抵抗力が高まります。また、働いているとつい忘れがちな水分補給も、こまめに行いましょう。
【4】「定期健診」や「ワクチン接種」で先手を打つ
年齢を重ねるほど、自分の体と向き合う習慣が大切になります。
・定期的な健康診断で異常を早期発見
・帯状疱疹ワクチン接種で事前に備える
といった行動が、働き続けるための「自分への投資」になります。
【5】「社会とのつながり」が免疫力を高める
シニア世代にとって、仕事や地域活動を通じた人との交流も、精神的な健康維持に効果的です。
・会話を楽しむ
・感謝される経験を積む
こうしたポジティブな感情が、ストレスを減らし、免疫力にも良い影響を与えます。
6. まとめ：健康を守って、長く元気に働くために
帯状疱疹は、シニア世代にとって決して他人事ではありません。80歳までに3人に1人が発症すると言われ、特に働くシニアにとっては「仕事の継続」にも影響を及ぼす深刻なリスクです。
しかし、正しい知識と対策を知っていれば、発症リスクを減らし、重症化を防ぐことは十分可能です。
・ワクチン接種という「自己防衛策」
・免疫力を高める日常習慣
・早期発見、早期治療への意識
・無理をしすぎない働き方
・社会とのつながりを楽しむ気持ち
これらを意識することで、「働くこと」がシニア世代にとって健康維持にもつながる好循環を生み出すことができます。
定年後も元気に、安心して働き続けたいと考える方こそ、帯状疱疹の予防をしっかり行い、自分らしく充実した毎日を送りましょう。
健康に気をつけながら働ける仕事を探すなら、シニア専門の求人サイト「キャリア65」で自分に合った仕事を見つけましょう！
