1. 60代・70代が「もう一度働こう」と思う理由とは？
定年後、誰もが一度は「これからどう過ごそう？」と考えるものです。特に60代後半や70代に差し掛かると、年金だけでは生活が不安だったり、毎日に張り合いがなくなってしまったりすることも。そんな中、「もう一度働こう」と考えるシニアが増えています。
実際、総務省の調査（※1）では、2023年時点で65〜69歳の就業率は52.6%、70〜74歳でも35.1%と、年々増加傾向にあります。つまり、多くのシニア世代が“第二の職場”を選び、自分らしい生活を再構築しているのです。
再就職の理由は「お金」だけじゃない
たしかに、パートやアルバイトで収入を得ることは大きな目的のひとつです。しかし、それだけではありません。以下のような理由で働き始める方も多くいます。
・人とのつながりが欲しい：退職後、家にこもりがちになると孤独を感じることも。仕事を通じて新たな出会いを求める方は少なくありません。
・社会に役立っている実感が欲しい：長年の経験を活かし、「ありがとう」と言われることにやりがいを見出す方も。
・生活リズムを整えたい：働くことで日常にメリハリが生まれ、健康維持にもつながります。
退職後こそ「目的を持った働き方」が鍵
以前のようなフルタイム勤務ではなく、自分の体力やライフスタイルに合わせて働けるのがシニア就業の特徴です。「毎日は無理でも週3日なら」「午前中だけ働きたい」といった希望を叶える職場も増えており、目的をもって“第二の働き方”を始めることが、充実した日々をつくる第一歩になります。
※1：総務省統計局「労働力調査（2023年年報）」
2. やりがいを感じられる仕事にはどんな特徴がある？
シニア世代にとって「やりがい」は、ただの気持ちの問題ではありません。働くことによって生まれる達成感や役立っているという実感は、自己肯定感や生活の満足度を高め、心の健康にも直結します。では、60代・70代がやりがいを感じやすい仕事にはどのような特徴があるのでしょうか？
1. 「人から感謝される仕事」
人と直接関わり、「ありがとう」の言葉をもらえる場面がある仕事は、やりがいを感じやすい傾向にあります。たとえば、以下のような仕事です。
・受付、案内スタッフ（施設、病院など）
・介護補助（見守りや話し相手など）
・地域ボランティアや相談窓口の支援スタッフ
高齢者自身の経験や人柄が自然と活かされ、「気配り」や「思いやり」が求められる場面での活躍が期待されます。
2. 自分のスキルや経験が活かせる仕事
長年培ってきた接客・販売・事務スキルを再活用できる職場も、やりがいを感じる要因です。たとえば、元小売業の経験を活かした「店舗サポート」や、「シニア向け商品説明スタッフ」などは、無理なく仕事ができ、即戦力としても期待されます。
また、パソコンスキルや管理経験がある方なら、「データ入力」「簡単な経理補助」などの事務系業務もおすすめです。
3. 適度な責任感がある仕事
過度なプレッシャーは避けつつも、「任される」「必要とされる」場面があると、人は自ずとやりがいを感じるものです。たとえば、シフトの管理や新人への軽いアドバイスを任されると、自分の存在意義を感じやすくなります。
やりがいは「お金」とは別の報酬です。無理のない範囲で、自分の個性や強みを活かせる仕事を選ぶことが、60代・70代の「働く幸福感」につながっていきます。
3. 人間関係のストレスが少ない職場の共通点
職場でのストレスの大半は「人間関係」にあると言われています。これはシニア世代に限った話ではありませんが、特に60代・70代になると、「もう無理はしたくない」「気持ちよく働きたい」という思いが強くなります。では、どのような職場が人間関係のストレスが少ない“安心できる環境”なのでしょうか。
1. 年齢層が多様で、年上の従業員が当たり前の職場
60代以上のスタッフがすでに働いている職場は、年齢による遠慮や孤立が少なく、なじみやすい傾向があります。たとえばスーパー、清掃会社、介護施設などでは、60代・70代のスタッフが中心になって働いているケースも多く、自然と対等な関係が築きやすいのが特徴です。
また、同年代がいることで仕事の進め方や悩みを共有しやすく、孤立感を感じにくくなります。
2. コミュニケーションの強制が少ない
「必要以上に雑談に参加しなければいけない」「プライベートなことまで聞かれる」——そういったストレスを感じないよう、適度な距離感を保てる職場は、精神的な安定につながります。
特に、接客や裏方作業など、作業が決まっていて役割分担が明確な職場では、無理に馴れ合わずとも円滑に働くことができるのがメリットです。
3. 上司や管理者が“シニア世代の事情”を理解している
ちょっとした体調変化や家庭の事情にも柔軟に対応してくれる職場は、精神的な安心感が段違いです。「週に3日」「短時間勤務」など、働き方を柔軟に選べる環境では、職場に無理なく馴染むことができます。
また、管理職や若い社員が「年上の部下とどう接するか」に慣れていると、必要以上に気を使われることもなく、自然な関係が築かれることもポイントです。
自分に合った人間関係の距離感や、安心して過ごせる職場を見極めることが、ストレスなく働く最大の秘訣です。
4. 健康を大切にしながら働ける職場環境とは？
シニア世代が長く働き続けるには、「健康を守れる職場」であることが何より重要です。特に60代・70代は、無理をすると体調を崩しやすく、通勤や立ち仕事の負担が思いのほか大きく感じることもあります。では、健康を大切にできる職場とは、どのような環境なのでしょうか。
1. 自分の体力に合った仕事内容を選べる
シニア向けの仕事には、肉体労働から座り仕事までさまざまな種類があります。たとえば…
・体を軽く動かす仕事：施設内の清掃、スーパーでの商品補充、農作業のサポートなど
・座ってできる仕事：電話受付、館内案内、マンションの管理人など
「1日中立ちっぱなし」「重い荷物を持つ」などの負担が少ない職種を選ぶことが、健康維持の鍵になります。
2. 働き方を柔軟に選べる
週3日だけ、午前中だけ、月に数日など、シニアの生活リズムや体力に配慮した「短時間勤務」や「シフト制」を導入している職場が増えています。特に自治体やシルバー人材センターが紹介する求人は、こうした柔軟な働き方に対応しているケースが多いのが特徴です。
また、急な体調不良や家庭の都合での「お休み」にも理解があるかどうかは、継続して働く上で大きなポイントになります。
3. 通勤しやすく、職場環境が整っている
体への負担を減らすには、通勤のしやすさや勤務先の設備も重要です。
・自宅から近く、公共交通機関でアクセスしやすいか
・エレベーターや休憩スペースが整備されているか
・空調、温度管理がされているか
これらの環境が整っている職場は、体への負担が少なく、日々安心して働けるでしょう。
「元気に働きたいけれど、体力に自信がない…」という方でも、環境を選べば無理なく続けることができます。自分の健康状態に合わせた働き方を選ぶことが、長く元気に働くコツです。
5. 輝ける職場を見つけるコツ｜求人選びで注目すべきポイントとは？
再び働きたいと思っても、「自分に合う仕事が見つからない」「どんな職場を選べばいいか分からない」と悩む方も多いものです。特に60代・70代の再就職では、年齢や体力、家庭の事情などを考慮した「見極め」が重要になります。ここでは、求人選びで注目すべきポイントを具体的にご紹介します。
1. 勤務時間・勤務日数の柔軟性
まず確認すべきは、「働くペースが自分の生活に合っているかどうか」です。
・週何日勤務か（週2～3日でOKか）
・1日の勤務時間はどれくらいか（午前だけ、夕方までなど）
・シフトの融通が利くか（家族の予定や通院に対応できるか）
無理なく働き続けるには、体力だけでなく生活リズムにも合った勤務形態を選ぶことが不可欠です。
2. 仕事内容が具体的に書かれているか
「シニア歓迎」や「未経験OK」と書いてあっても、実際の業務内容が分かりづらい求人は要注意です。
・どんな業務を行うのか（例：受付、清掃、商品補充など）
・一人で進める作業か、チームで行うのか
・接客の有無や、体を動かす頻度は？
応募前に仕事内容が具体的にイメージできる求人を選ぶことで、入社後のギャップを減らし、ストレスを防ぐことができます。
3. 人間関係や職場の雰囲気もチェック
求人票だけでは分からない「職場の雰囲気」も、実はとても重要なポイントです。以下のような情報が得られると安心です。
・シニア世代の採用実績があるか
・同年代のスタッフが働いているか
・面接時に職場を見学できるか
見学ができる場合は、スタッフ同士のやり取りや表情から、人間関係のよさを感じ取ることができます。
4. 自分の希望条件を整理する
求人を探す前に、自分の希望をリスト化するのも有効です。例えば：
| 希望条件 | 優先度 |
|---|---|
| 週3日勤務 | ◎ |
| 通勤30分以内 | ◎ |
| 座り仕事 | ○ |
| 接客は少なめ | △ |
こうした整理をしておけば、求人選びの際に迷いが減り、自分にとって“輝ける職場”をより確実に見つけることができます。
自分に合った職場を見つけるには、焦らず、冷静に条件を見極めることが大切です。働く前の一歩に時間をかけることが、長く幸せに働く秘訣です。
6. まとめ｜“輝ける職場”は見つかる！自分らしく働く第一歩を踏み出そう
60代・70代で再び働くことは、単なる「生活費のため」ではなく、自分らしい人生を豊かにする選択でもあります。やりがいを感じられる仕事、人間関係に安心できる職場、そして健康に配慮した働き方——これらが揃った環境で働くことで、シニア世代はもう一度「自分が社会の一員である」という実感を持てるようになります。
この記事で紹介したように、働く理由や目的を明確にし、自分のペースや希望条件に合った職場を探すことが大切です。無理をせず、自分らしく働ける場所を選ぶことで、仕事は“生活の負担”ではなく“生きがい”へと変わります。
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