1. 献血とは?|誰かを救う“やさしいボランティア”のかたち
献血とは、自分の血液を無償で提供し、病気やけがで輸血を必要としている人々を助ける社会貢献活動です。日本では主に、日本赤十字社が献血活動を担っており、医療現場では毎日およそ3,000人以上の患者が輸血を必要としているとされています(※日本赤十字社「献血に関するQ&A」より)。
特別なスキルや資格がなくても、体一つで「誰かの命を救う」ことができるのが献血の特徴です。とくに70代を迎えたシニア世代にとっては、長年培った思いやりの気持ちをかたちにできる、やさしいボランティアの一つとして人気を集めています。
「社会の役に立ちたい」「無理なくできることから始めたい」と思っている方にとって、献血はまさにうってつけの活動です。短時間で終わり、体力的な負担も少ないため、シニア世代にも続けやすい点が大きな魅力です。
2. なぜ今、シニア世代に献血が注目されているのか
近年、シニア世代による献血への関心が高まっている背景には、いくつかの社会的な変化があります。
まずひとつ目は、献血に協力できる若年層の人口が減っているという現実です。日本では少子高齢化の影響で、若い世代の献血者数が年々減少傾向にあります。そのため、安定的な血液供給を維持するためには、60代の健康な高齢者の力が今まで以上に重要視されています。
ふたつ目は、元気なシニア層が増えていることです。平均寿命の延びとともに、70代でも仕事や趣味、ボランティアなどに積極的に取り組む人が増えています。献血もその一環として、社会とのつながりを持ち続ける手段として注目されているのです。
また、日本赤十字社によると、献血ができる年齢の上限は原則69歳まで(初めて献血する場合は64歳まで)とされていますが、すでに過去に献血経験がある方なら、70歳近くまで継続が可能です(※出典:日本赤十字社「献血の基準」)。そのため、「若い頃に献血していたが、最近はご無沙汰だった」という方が再び献血に戻ってくるケースも増えてきています。
社会から必要とされる経験は、年齢に関係ありません。高齢になってもできる“人の役に立つこと”として、献血が再評価されているのです。
3. 献血の健康メリットとは?心と体にうれしい変化も
献血は社会貢献としての意義が注目されがちですが、実は健康面でもさまざまなメリットがあります。とくにシニア世代にとっては、心と体の両面で前向きな影響をもたらす活動として知られています。
■ 健康状態のチェックが無料で受けられる
献血の前には、血圧測定や血液検査(ヘモグロビン濃度、肝機能、血中脂質など)が行われます。これにより、自分の健康状態を定期的に確認できるのは大きな魅力です。
たとえば、日本赤十字社が行っている「献血後の検査結果通知」では、簡易的な健康チェックが無料で受けられます。特に60代になると、生活習慣病や貧血の兆候を早期に知ることが健康維持に直結します。
■ 心の健康にも好影響
「誰かの役に立てる」という実感は、自己肯定感や生きがいにつながります。実際、献血後に「ありがとう」と言われることが嬉しくて、定期的に献血に訪れる方も多いのです。
また、献血ルームにはリラックスできるスペースが整っており、飲み物や軽食の提供もあり、ちょっとした社交の場にもなります。「家に閉じこもりがちだったけど、献血がきっかけで外に出るようになった」という声もあります。
■ 血のめぐりを促す効果も期待
科学的には完全には解明されていませんが、献血を行うことで一時的に新しい血液が作られるため、血流の改善や新陳代謝の活性化が促されるという説もあります。もちろん個人差はありますが、献血後に「体が軽く感じた」という人も少なくありません。
4. 「ありがとう」が生まれる場所|献血で感じる社会とのつながり
献血の最大の魅力は、「誰かの役に立てる」という実感をダイレクトに味わえる点にあります。多くのシニア世代が、献血を通じて“社会とのつながり”を再確認し、その喜びを口にしています。
■ 目には見えない“感謝”が返ってくる
献血によって救われる命は、一人や二人ではありません。手術中の輸血、事故での大量出血、白血病などの治療など、多くの場面で血液が必要とされています。実際、1日あたり約3,000人の患者が輸血を受けているというデータもあります(出典:日本赤十字社「献血の現状」)。
提供した血液が誰に届くかはわかりませんが、献血後に「ありがとう」と職員から丁寧に感謝の言葉をかけられるだけで、「やってよかった」と心が温かくなる人も少なくありません。
■ 世代を越えた交流の場にも
最近では、献血ルームが明るく清潔な空間に整備され、若い人たちも訪れる“交流の場”になっています。60代のシニアが、学生や社会人と自然に同じ場所に集い、静かに本を読んだり、おしゃべりを楽しんだりという光景もよく見られます。
そうしたちょっとした交流や会話も、社会とつながる小さなきっかけになります。年齢にとらわれず、同じ目的を持つ“仲間”として迎えられる場所があるのは、シニアにとって心強い支えです。
■ 続けたくなる理由は“気持ちよさ”
「誰にも頼まれていないのに、自然とまた行きたくなる」——それが献血です。体力や時間に余裕があるからこそできる、ささやかな優しさ。それを社会がしっかり受け止め、感謝してくれる。そんな双方向のやりとりが、献血の場にはあります。
5. 献血の流れと注意点|初めてでも安心のステップガイド
「興味はあるけど、やったことがないから不安…」という方のために、献血の流れを丁寧にご紹介します。実は、初めてでも驚くほどスムーズでやさしい対応が用意されており、シニア世代でも安心して参加できます。
■ ステップ1|受付と問診
まずは最寄りの献血ルームや献血バスにて受付を行います。身分証(健康保険証など)を提示し、タブレット端末や用紙で簡単な問診票に回答。その後、医師による面談があります。
問診では、体調や服薬状況、持病の有無などを確認。無理なく献血できるかどうかをしっかりチェックしてもらえるので、安心です。
■ ステップ2|血液検査(事前チェック)
次に、指先や耳たぶから少量の血を採って、血液型やヘモグロビン濃度などを確認します。これによって、貧血やその他の問題がないかを確認し、万全の状態で献血に臨むことができます。
■ ステップ3|いざ献血本番
献血には主に2種類があります。
・全血献血(200mlまたは400ml)
時間:約10〜15分
・成分献血(血漿・血小板)
時間:約40〜90分
シニア世代には比較的短時間で済む全血献血(400ml)が人気です。献血中はリクライニングチェアでゆったり過ごせるので、リラックスして受けられます。
■ ステップ4|休憩・水分補給
献血後は10〜15分ほど休憩スペースでリラックス。お茶やジュース、軽食などが用意されており、気分を整えてから帰宅します。
【注意点】
・当日の体調が万全であることが必須です(発熱・寝不足・食事抜きはNG)。
・服薬や持病がある場合は、事前に献血スタッフに相談を。
・初めての献血は、原則64歳まで。65歳以上の方は、過去に献血経験がある人のみ可となっています(※日本赤十字社「献血の基準」より)。
6. どこでできる?シニアにもやさしい献血ルームの探し方
献血は全国の「献血ルーム」や「献血バス」で行うことができます。特に最近の献血ルームはバリアフリー対応やスタッフの丁寧な案内が徹底されており、シニア世代にもやさしい環境が整っています。
■ 献血ルームの探し方はとても簡単
一番手軽なのは、日本赤十字社の公式サイト「ラブラッド」またはスマートフォンアプリを使う方法です。
以下のページから全国の献血ルームやスケジュールを検索できます。
・ラブラッド|献血ルーム検索(日本赤十字社)
都道府県を選ぶだけで、最寄りの献血ルームの場所・営業時間・設備内容(駐車場の有無、バリアフリー対応など)も確認できます。
■ 地域のイベントや移動バスもチェック
市役所や公民館、ショッピングモールなどで、移動型の献血バスが巡回していることもあります。地元の広報誌や地域の掲示板などに掲載されていることが多いため、「定期的に近くまで来てくれる」ありがたい存在として重宝されています。
また、献血バスでもしっかりと休憩スペースやドリンク提供などがあるので、快適に参加できます。
■ シニアが安心して利用できる設備とは?
多くの献血ルームでは以下のような設備が整っています。
・静かで清潔な休憩スペース
・柔らかいリクライニングチェア
・スタッフのマンツーマン対応
・多目的トイレの設置
・エレベーターやスロープ付きのバリアフリー施設
これらの工夫により、体力や移動に不安がある方でも安心して参加できるよう配慮されています。
7. まとめ|無理なく続けられる社会貢献としての“献血”
献血は、「誰かの命を救いたい」「社会とつながっていたい」という気持ちを、無理なく実現できる貴重な機会です。とくにシニア世代にとっては、体力や時間に応じてできる“やさしいボランティア”として、多くの人に支持されています。
定期的な健康チェックや、スタッフとのあたたかい交流、静かで落ち着ける環境など、献血にはたくさんの“続けたくなる理由”があります。何よりも、「ありがとう」と言われるその瞬間に、自分の存在が誰かの役に立っていることを実感できる——それが、献血の最大の魅力です。
60代になっても、自分らしく社会の一員として生きる。献血はそんな生き方を支える、やさしく力強い第一歩になるはずです。
まずは一度、近くの献血ルームを訪れてみませんか?あなたのその一歩が、誰かの希望になるかもしれません。
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