1.介護予防推進サポーターとは?|役割と仕事内容を解説
介護予防推進サポーターとは、地域に暮らす高齢者が、できるだけ長く元気に自立した生活を送れるよう支援する活動を行う人のことです。自治体や地域包括支援センターが主催する研修を受けた後、地域の介護予防事業や健康づくり活動に参加し、住民への啓発や実践支援を行います。
主な役割は以下の通りです。
・介護予防に関する情報発信(パンフレット配布や説明会での案内など)
・体操教室や健康講座の運営補助
・高齢者の交流会やサロン活動の支援
・健康チェック(握力測定、歩行テストなど)の補助
・介護予防イベントでの司会や運営補助
活動はボランティアに近い形から始めるケースもありますが、一部の自治体では謝礼や日当が支給される場合もあります。特に地域活動が盛んな市区町村では、週に数回の活動で健康維持にもつながり、社会的つながりを保てるのが魅力です。
また、サポーターは医療や介護の専門職ではなく、あくまで「地域での介護予防活動を支える人」という立ち位置です。そのため、特別な資格や長い経験は不要で、定年後の新しいチャレンジとして始めやすいのが特徴です。自治体の研修で基礎知識を学んだうえで活動に入るため、未経験者でも安心して取り組めます。
※参考:介護予防推進サポーター制度は市区町村ごとに内容や呼び方が異なる場合があります。詳細は各自治体の介護予防担当部署や地域包括支援センターに確認しましょう。
2.介護予防推進リーダーとの違い|それぞれの役割と関わり方
介護予防推進サポーターとよく混同される存在に「介護予防推進リーダー」があります。両者は同じく地域の介護予防活動に関わりますが、その立場や役割には明確な違いがあります。
1. 役割の範囲
・介護予防推進リーダー:地域の介護予防活動を「企画・運営」する中心的な役割を担います。体操教室や健康講座のプログラム作成、イベントの進行管理、他団体との調整など、活動全体をまとめる立場です。
・介護予防推進サポーター:リーダーや自治体職員のもとで「実行・支援」する立場です。イベント当日の準備や参加者対応、健康測定の補助など、現場でのサポート業務が中心です。
2. 研修や求められるスキル
・リーダーは、サポーターよりも長時間かつ専門的な研修を受ける必要があります。中には、健康づくりや運動指導に関する基礎的な知識が求められるケースもあります。
・サポーターは、より短期間の研修で活動を始められ、経験や専門資格がなくても参加可能です。
3. 関係性
・リーダーが「チームをまとめる司令塔」だとすれば、サポーターは「現場で動く心強いサポートメンバー」です。両者が協力することで、地域の介護予防活動が円滑に進みます。
この違いを理解しておくことで、自分がどちらの役割に向いているかを判断しやすくなります。初めて介護予防活動に関わる場合は、まずサポーターから始めて経験を積み、その後リーダーへステップアップする道もあります。
※参考:厚生労働省の「地域支え合い体制づくり事業」では、リーダー・サポーターの双方が地域包括ケアの一翼を担う存在として位置付けられています。自治体によっては名称や活動範囲が異なる場合があるため、事前の確認が大切です。
3.なぜ今、介護予防が重要なのか|高齢化社会の現状と課題
日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでおり、総務省統計局「人口推計」(2024年10月1日現在)によると、65歳以上の人口は3,657万人で全人口の29.1%を占めています。この割合は今後も上昇が見込まれ、2040年には約3人に1人が高齢者になると予測されています。
高齢化の進行は、介護を必要とする人の増加を意味します。厚生労働省「介護給付費等実態調査」(2023年度)によれば、要介護・要支援認定者は全国で約690万人に達しています。介護が必要になれば、本人や家族の負担はもちろん、社会保障費の増大という大きな課題にもつながります。
こうした背景から、「介護予防」は国や自治体の重要政策として位置づけられています。介護予防とは、高齢者ができるだけ長く元気に生活できるよう、身体機能や認知機能の低下を防ぐ取り組みです。具体的には、次のような効果が期待されます。
・健康寿命の延伸:自立して生活できる期間を長く保てる
・医療、介護費用の削減:社会全体の負担軽減につながる
・生活の質(QOL)の向上:外出や交流の機会が増え、心の健康も守られる
介護予防は行政だけでなく、地域住民やボランティアの協力が不可欠です。その中核を担う存在が、介護予防推進サポーターやリーダーといった人材です。こうした地域の力が、今後の日本の高齢社会を支えるカギになると言えるでしょう。
※参考:総務省統計局「人口推計」(2024年10月1日時点)、厚生労働省「介護給付費等実態統計の概要」(2023年度)
4.定年後にぴったりな理由|健康・収入・社会貢献の3つの魅力
介護予防推進サポーターは、定年後の新しい働き方として非常に相性の良い活動です。その理由は大きく3つあります。
1. 健康を維持できる
活動内容には、体操やストレッチの指導補助、会場準備、参加者との交流など、適度な運動や立ち歩きが含まれます。これにより、日常生活に自然な形で運動習慣が加わり、筋力やバランス感覚の維持に役立ちます。また、地域の健康講座や栄養教室に関わることで、自分自身の健康知識も高まります。
2. 収入の足しになる可能性
多くの自治体ではボランティア色が強い活動ですが、中には日当や謝礼が支給される場合もあります。例えば、1回の活動につき1,000〜3,000円程度の謝礼を出す自治体もあり、週に数回の活動で月1万円以上の副収入になるケースもあります。年金に加えてちょっとしたお小遣いを得られる点は、家計にとって嬉しいポイントです。
3. 社会貢献とやりがい
活動を通じて、地域の高齢者の健康づくりや孤立防止に貢献できます。自分の関わりが、参加者の笑顔や元気な姿につながる瞬間は大きなやりがいです。また、地域の仲間や異世代との交流が生まれ、「社会の一員として役立っている」という自己肯定感も高まります。
この3つの魅力は、経済的な側面だけでなく、心身の健康や生きがいにも直結します。定年後の生活に新しい張り合いをもたらしてくれる点で、介護予防推進サポーターは非常に価値のある選択肢と言えるでしょう。
5.資格や応募条件は?|未経験から始められるポイント
介護予防推進サポーターは、特別な資格や専門的な経験がなくても始められるのが大きな特徴です。多くの自治体では、以下のような条件で募集されています。
主な応募条件
・年齢制限:おおむね18歳以上(上限なし)
・居住地:活動する自治体内に在住していること
・健康状態:日常生活や軽い運動に支障がないこと
・活動への意欲:介護予防活動に関心があり、継続的に参加できること
一部の自治体では「高齢者との交流が得意な方」「地域活動の経験がある方」などの希望条件を掲げることもありますが、必須条件ではありません。
未経験からでも安心な理由
・事前研修制度:介護予防の基礎知識、健康チェック方法、簡単な運動指導のサポート方法などを学ぶ研修が用意されています。期間は半日〜数日程度が一般的です。
・活動中のサポート体制:リーダーや先輩サポーターが一緒に活動しながら教えてくれるため、現場での不安が少ない
・活動頻度の自由度:月1回から参加できるケースもあり、自分の生活リズムに合わせやすい
ポイント
介護や健康に関する専門資格を持っていなくても応募可能ですが、健康運動指導士や介護職員初任者研修などを持っていると活動の幅が広がる場合もあります。
募集条件や研修内容は自治体によって異なります。詳細は市区町村の介護予防担当課や地域包括支援センターの公式サイトで確認しましょう。
6.活動の流れと一日のスケジュール例
介護予防推進サポーターの活動は、自治体や地域の事情によって異なりますが、基本的な流れは次の通りです。
活動開始までの流れ
1.募集情報の確認
自治体の広報誌、公式ホームページ、地域包括支援センターの掲示板などで募集案内をチェックします。
2.説明会・研修への参加
介護予防の基礎知識や活動内容を学ぶ研修に参加します。
3.活動登録
研修終了後、サポーターとして登録され、活動がスタートします。
一日のスケジュール例(体操教室サポートの場合)
・9:00 集合、準備(会場設営、資料配布)
・9:30 参加者受付(出席確認、検温、健康チェック補助)
・10:00 体操教室スタート(インストラクターのサポート、参加者のフォロー)
・11:00 交流タイム(お茶や軽い会話で参加者同士の交流促進)
・11:30 片付け、終了
活動時間は半日程度が多く、週に1〜2回など無理のないペースで関わることができます。
このように、身体を適度に動かしつつ人と交流できるため、健康維持にもつながります。
また、活動内容やスケジュールは自治体ごとに異なります。応募前に説明会で詳細を確認しましょう。
7.介護予防推進サポーターになるには?|応募方法と研修内容
介護予防推進サポーターになるための道のりは、比較的シンプルです。特別な資格や経験は不要で、自治体や地域包括支援センターが行う研修を受けることで誰でも始められます。
応募先の探し方
1.公式情報を拾う
Googleで検索してみる。
【検索キーワード】[市区町村名] 介護予防 推進 サポーター 募集
[市区町村名] 介護予防 ボランティア 募集
※「健康づくりサポーター」「元気アップサポーター」「いきいき体操サポーター」「介護予防リーダー養成」「フレイル予防リーダー」 など、自治体ごとに名称が異なるため、複数ワードで検索する方法も試してみてください。
2.問い合わせの“本丸”
・地域包括支援センター:各中学校区などに設置。電話で「介護予防推進サポーターの募集・研修予定を知りたい」と伝えれば、担当課や最新日程に直行できます。
・社会福祉協議会(社協)/ボランティアセンター:募集の取りまとめや活動保険の案内が受けられることが多い窓口。
3.広報・掲示を定点観測
・広報紙(広報○○):毎月号の「募集・講座」欄に掲載されやすい。
・公民館、生涯学習センター、保健センター:館内掲示やチラシラックをチェック。
電話でのひと言テンプレ
「介護予防推進サポーターの募集と研修予定を知りたいのですが。次回の説明会日程/申込方法/必要書類/活動頻度と時間帯/謝礼や交通費の有無を教えてください。」
申込み〜研修〜登録の流れ
1.募集情報の確認 → 申込(Webフォーム/窓口/郵送)
2.説明会参加:活動目的・役割・スケジュールの共有
3.基礎研修:介護予防の基礎/安全配慮/簡単な運動支援/健康チェック補助 等
4.現場OJT:先輩リーダー・サポーターと同行
5.登録・活動開始:希望曜日や地域ブロックを調整
事前に確認したいチェック項目
項目 | 確認ポイント |
---|---|
活動頻度/時間帯 | 週1/隔週/月1、午前のみ等 |
謝礼・交通費 | 有無・金額・支払い方法 |
保険 | 活動中のボランティア保険の扱い(加入方法・負担) |
研修 | 日程・所要時間・開催場所・欠席時の振替 |
役割 | 受付/測定補助/体操サポート/記録 等の具体像 |
服装・持ち物 | 動きやすい服・室内履き・名札 など |
個人情報 | 参加者名簿の取り扱い・写真撮影の可否 |
まとめ|地域で輝く新しい働き方を始めよう
介護予防推進サポーターは、特別な資格や経験がなくても始められ、定年後の健康維持・収入の補填・社会貢献のすべてを実現できる貴重な活動です。地域の高齢者が元気で暮らし続けるためのサポートを通じて、自分自身も充実した日々を送ることができます。
さらに、介護予防推進リーダーと協力しながら活動することで、地域全体の介護予防の輪が広がります。初めての方はまずサポーターとして経験を積み、希望があればリーダーにステップアップする道もあります。
応募先は自治体や地域包括支援センターなど、身近な場所から探せます。活動頻度や内容は自分の生活に合わせて選べるため、無理なく続けられるのも大きな魅力です。
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