1. パステルアートとは?|シニア世代に人気の理由
パステルアートとは、やわらかい色合いのパステル(画材)を使って、指やコットンなどで紙の上に色を広げ、自由に描くアートのことです。絵の上手さや経験を必要とせず、誰でも気軽に楽しめる点が大きな特徴です。鉛筆や絵の具のように細かい技術を学ばなくても、色を重ねたりぼかしたりするだけで美しい作品が仕上がるため、「絵心がない」と思っている方でも始めやすいのが魅力です。
特にシニア世代に人気が高い理由は、以下のような点にあります。
・直感的に描ける:絵筆を持たず、指で色を伸ばす感覚は童心に帰るような楽しさがあり、自由に表現できます。
・準備や片付けが簡単:必要な道具が少なく、場所を選ばずにできるので、自宅でも気軽に取り組めます。
・心が落ち着く:柔らかい色合いと手を動かす作業が、自然とリラックス効果を生みます。
また、パステルアートは「失敗がないアート」とも呼ばれています。ぼかしや重ね塗りによって偶然できた模様も味わいになるため、完成した作品を見て「こんなに素敵に描けた!」という達成感を得やすいのも、継続につながるポイントです。
このように、パステルアートはシニア世代にとって「気軽さ」と「心地よさ」を同時に味わえる新しい趣味として広がっています。
2. パステルアートで得られる効果|心の癒しと健康づくり
パステルアートは単なる趣味にとどまらず、心と体の健康づくりにも役立つと注目されています。絵を描く行為には「自己表現」と「リラクゼーション」の両方の側面があり、特にシニア世代にとっては生活の質を高める効果が期待できます。
心の癒し効果
パステルの柔らかな色を指で広げる作業は、気持ちを落ち着け、ストレスをやわらげる効果があります。実際に、アート活動がストレス低減や気分の安定に寄与することは、心理学の研究でも報告されています。特に「失敗がないアート」であるパステルアートは、完成度にとらわれず楽しめるため、自己肯定感の向上にもつながります。
認知症予防や脳の活性化
手や指を使って色を広げる作業は、細かい動作による脳への刺激を与えます。また、色を選び、構図を考えるプロセスは「前頭葉の働き」を活性化するとされ、認知機能の維持にも有効と考えられています。高齢者向けのレクリエーションとしてパステルアートが導入される施設もあるのは、この効果を期待してのことです。
社会的なつながり
パステルアートは一人でも楽しめますが、仲間と一緒に描いたり作品を見せ合ったりすることで交流が生まれます。「同じ題材でも人によって表現が違う」という気づきが会話のきっかけになり、孤立感の軽減や新しい人間関係の構築にも役立ちます。
このように、パステルアートは「心のリフレッシュ」「脳のトレーニング」「人とのつながり」という3つの側面から、シニア世代の健康寿命を支える活動になり得るのです。
3. 初めてでも安心!必要な道具と基本の描き方
パステルアートは「特別な画材や高度な技術がいらない」ことが魅力です。初めての方でも、最低限の道具さえそろえればすぐに始められます。ここでは、初心者に必要なアイテムと基本的な描き方をご紹介します。
必要な道具
1.パステル(ソフトパステル)
一般的には色の伸びが良い「ソフトパステル」が使われます。24色程度のセットがあれば、十分に楽しめます。
2.画用紙
表面に少し凹凸のある画用紙や専用のパステル紙を用意すると、色がのりやすくなります。
3.型紙やマスキングシート
丸や星、花などの型紙を使うと、簡単にきれいな模様を描くことができます。
4.綿棒・コットン・ティッシュ
指だけでなく、コットンや綿棒を使うと細かい部分のぼかしが可能になります。
5.フィキサチーフ(定着スプレー)
描いた作品は触れると色が落ちやすいため、最後にスプレーをかけて定着させると長持ちします。
基本の描き方
1.パステルを削る
パステルをカッターなどで少し削り、粉状にして紙にのせます。
2.指やコットンで伸ばす
粉を指やコットンでやさしく広げ、グラデーションや背景を作ります。
3.型紙で形を作る
型紙を紙にあて、上からパステルをこすっていくと、星や花、ハートなどの模様が浮かび上がります。
4.重ね塗りで表現力をアップ
複数の色を重ねることで、奥行きや鮮やかさが生まれます。
5.仕上げにスプレーで固定
最後にフィキサチーフを軽く吹きかけ、完成です。
初心者におすすめの題材
・夕焼けや青空などの自然風景
・桜や花火といった季節のモチーフ
・丸や三角などの抽象的な模様
「難しい絵を描かなくても形になる」のがパステルアートの醍醐味です。最初は簡単な形から始め、少しずつアレンジを加えていくと、オリジナル作品を楽しめるようになります。
4. どこで学べる?パステルアート教室とオンライン講座
パステルアートは独学でも楽しめますが、教室やオンライン講座を活用すると、仲間づくりやスキルアップにつながります。ここでは、シニア世代が安心して学べる主な方法を紹介します。
地域のカルチャーセンターや公民館
全国のカルチャーセンターや公民館では、趣味講座の一つとしてパステルアート教室が開かれることが増えています。受講料が比較的安く、定期的に通えるため、生活のリズムづくりにも役立ちます。地域に住む同世代の仲間と一緒に学べるのも魅力です。
絵画教室やパステルアート専門の講座
美術系の教室やパステルアートに特化した講座では、講師から直接アドバイスを受けられます。独学では気づきにくい色の使い方や構図の工夫など、細やかな指導があるため、作品の完成度を高めたい方におすすめです。
オンライン講座・動画サイト
外出が難しい方や自宅で気軽に学びたい方には、オンライン講座が便利です。ZoomやYouTubeなどを活用したレッスンでは、講師が描く様子を見ながら一緒に練習できるため、初心者でも安心です。録画動画であれば、自分のペースで繰り返し学習できる点も人気です。
認定制度を持つ団体の講座
「日本パステルホープアート協会(JPHAA)」など、認定資格を発行している団体もあります。将来的にインストラクターとして活動したい方や、介護施設でのレクリエーションに活かしたい方には、こうした認定講座を受けるメリットがあります。
選び方のポイント
・通いやすい距離にあるか
・料金体系や回数制が自分に合っているか
・仲間づくりを重視するか、技術向上を重視するか
パステルアートは「どこで学ぶか」によって体験の幅が広がります。自分の目的に合わせて学び方を選ぶことで、より長く楽しめる趣味になります。
5. 介護施設や地域活動でも広がるパステルアートの魅力
パステルアートは個人の趣味にとどまらず、介護施設や地域活動の場でも広がりを見せています。絵を描くというシンプルな行為が、心のケアや交流のきっかけになり、シニア世代の生活を豊かにしているのです。
介護施設での活用
介護施設では、レクリエーションの一環としてパステルアートを取り入れるケースが増えています。絵筆ではなく指やコットンを使うため、握力が弱くなってきた方でも取り組みやすく、達成感を得やすいのが大きな魅力です。また、完成した作品を飾ることで施設内の雰囲気も明るくなり、入居者の自尊心や自己表現の場として機能しています。
実際に厚生労働省の「高齢者の生活支援サービスに関する調査」(2019年)でも、芸術活動やレクリエーションが「生活意欲の向上」や「認知症予防」に有効とされており、その一環としてパステルアートが注目されているのです。
地域活動やボランティアの場
地域のサークルや自治体のイベントでも、パステルアートは人気です。特に世代を超えて楽しめる点が強みで、孫世代と一緒に描いたり、地域住民同士の交流ツールとして使われたりしています。作品を展示会や発表会に出すことで、「人に見てもらう喜び」も生まれ、参加者のモチベーション向上につながります。
心理的・社会的な効果
・孤独感の軽減:みんなで同じ題材に取り組むことで自然に会話が生まれる
・自己肯定感の向上:作品が完成すると「自分にもできた」という自信が得られる
・コミュニティづくり:地域活動を通じて新しい友人や仲間ができる
このように、パステルアートは「一人で楽しむ趣味」から「みんなで共有する活動」へと広がり、シニア世代の心身の健康だけでなく、社会的なつながりの再構築にも役立っています。
6. まとめ|人生を彩る新しい趣味としてのパステルアート
パステルアートは「特別な技術がなくても楽しめる」「心と体の健康に役立つ」「人とのつながりを生む」という三拍子がそろった、シニア世代にぴったりの趣味です。指先で色を広げるだけで美しい作品が完成するため、初めて挑戦する人でも挫折しにくく、達成感を味わいやすい点が大きな魅力といえます。
さらに、パステルアートは「一人で黙々と描く楽しみ」と「仲間と一緒に共有する楽しみ」の両方を持っています。自宅でリラックスしながら描く時間は、ストレス解消や脳の活性化につながり、地域サークルや介護施設での活動は、人との交流や新しい出会いをもたらしてくれます。
シニア世代にとって大切なのは「心が満たされ、社会とつながり続けること」です。その意味で、パステルアートは人生の後半を豊かに彩る大きな力を持っています。趣味として始めるのはもちろん、認定講座を通じてインストラクターをめざす道や、ボランティア活動に活かす道もあります。
「もう年だから…」と新しいことを諦める必要はありません。むしろ今だからこそ、自分のペースで楽しめるパステルアートが、毎日に彩りと活力を与えてくれるはずです。
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