「ひざ痛」の原因と対策|シニア世代におすすめの簡単セルフケア法

健康

1.ひざ痛はなぜ起こるのか?主な原因をチェック

ひざ痛はシニア世代に多い不調のひとつで、特に60代以降の女性に多く見られます。厚生労働省の国民生活基礎調査でも、65歳以上が抱える自覚症状の上位に「関節の痛み」が挙げられており、日常生活に大きな影響を与えることがわかっています。では、なぜひざに痛みが出やすいのでしょうか?ここでは代表的な原因を整理します。

加齢による軟骨のすり減り

ひざ関節は、大腿骨と脛骨の間にある「軟骨」がクッションの役割を果たし、スムーズな動きを可能にしています。しかし、加齢とともに軟骨は徐々にすり減り、骨同士が直接こすれるようになり痛みを引き起こします。これが、変形性膝関節症と呼ばれる代表的な疾患につながります。


筋力低下と運動不足

太ももの前側にある大腿四頭筋は、ひざを支える重要な筋肉です。運動不足や加齢によって筋力が低下すると、関節への負担が増え、ひざ痛が起こりやすくなります。特に女性は閉経後、骨量が減少しやすいため、筋肉と骨の両面から支えが弱まりやすい傾向があります。


体重増加や生活習慣の影響

体重が1kg増えると、歩行時には約3倍の負荷がひざにかかるといわれています。そのため、体重増加はひざ痛の大きな要因のひとつです。また、長時間の正座や階段の昇降など、ひざに負担をかける生活習慣も痛みを悪化させる原因となります。


2.放置するとどうなる?ひざ痛がもたらすリスク

「少し痛いけど我慢できるから…」と、ひざ痛をそのままにしてしまう方は少なくありません。しかし、放置してしまうと症状が悪化し、生活の質を大きく下げてしまう可能性があります。ここでは、ひざ痛を放置することで起こり得るリスクを見ていきましょう。

日常生活の制限と活動量低下

ひざに痛みがあると、歩くことや階段の上り下り、買い物などのちょっとした外出も負担になります。その結果、外出の機会が減り、運動不足や社会との関わりが少なくなることにつながります。特にシニア世代では、活動量の低下が「フレイル(心身の虚弱)」の進行を早めるとされており、東京都健康長寿医療センター研究所の研究でも、フレイル予防には身体活動・栄養・社会参加の3要素が重要と指摘されています【出典:東京都健康長寿医療センター研究所「ヘルシーエイジングと地域保健研究」】。


介護リスクや健康寿命への影響

ひざ痛をきっかけに転倒リスクが高まり、骨折や寝たきりにつながるケースも少なくありません。実際、厚生労働省の統計では、要介護状態となった原因の上位に「関節疾患」や「骨折・転倒」が挙げられています。つまり、ひざ痛を軽く見て放置することは、介護を必要とするリスクを高め、健康寿命を縮める結果につながりかねないのです。


3.今日からできる!ひざ痛を和らげるセルフケア法

ひざ痛があっても、日常生活で少し工夫をしたり、軽い運動を取り入れることで、痛みを和らげることが可能です。ここでは、自宅で簡単にできるセルフケア法をご紹介します。無理のない範囲で少しずつ取り入れてみましょう。

簡単にできるストレッチと筋トレ

ひざを守るには、関節そのものだけでなく周囲の筋肉を強化することが大切です。特に太ももの前側(大腿四頭筋)や内ももを意識して鍛えることで、ひざ関節への負担を軽減できます。

椅子に座ったままの足上げ運動:背筋を伸ばして椅子に座り、片足をゆっくり伸ばして10秒キープ。左右交互に5回程度。
タオルストレッチ:仰向けになり、片足の裏にタオルをかけて膝を伸ばし、無理のない範囲で足を引き寄せる。

これらの運動は寝る前やテレビを見ながらでもできる手軽さがポイントです。


日常生活での姿勢や動作の工夫

階段を降りるときや立ち上がるとき、ひざに大きな負担がかかります。

・立ち上がる際は手を支えにして「両足均等」に体重をかける
・階段は手すりを使い、できれば一段ずつ慎重に
・正座やあぐらを長時間続けない

といった動作の工夫だけでも、ひざへのダメージを減らすことができます。


食事で取り入れたい栄養素

ひざの健康には、軟骨や骨をサポートする栄養素を意識して摂ることも大切です。

コラーゲン、ヒアルロン酸(鶏の手羽先、豚足、魚の皮など)
カルシウム(牛乳、小魚、チーズなど)
ビタミンD(鮭、サンマ、きのこ類)

これらは軟骨や骨の強化に役立ち、炎症や痛みの緩和にも効果が期待できます。


ただし、セルフケアを続けても痛みが強まる、腫れが長引く、歩行が難しくなるといった場合は、自己判断せずに整形外科などの医療機関を受診することが大切です。ひざ痛の背景には、変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチなど、専門的な診断や治療が必要な病気が隠れていることもあります。早めに受診すれば、薬物治療やリハビリ、装具の活用など適切な対応につながり、進行を抑えることが可能です。また、「病院に行くほどではないかも」と感じても、まずは整形外科の受診がおすすめで、症状によってはリハビリテーション科や内科でのサポートを受けられる場合もあります。


4.シニア世代におすすめの運動と生活習慣改善

ひざ痛を軽減するためには、毎日の生活の中に「無理のない運動」と「バランスの取れた生活習慣」を取り入れることが大切です。ここでは、シニア世代でも取り入れやすい運動と生活改善のポイントをご紹介します。

ウォーキング・水中運動の効果

ウォーキングは手軽に始められる有酸素運動で、筋力維持や体重管理に効果的です。ただし、長時間の歩行や坂道はひざに負担をかけやすいため、まずは20〜30分程度を目安に、平坦な道を選んで歩くのがおすすめです。
一方で、水中運動は浮力が体重を支えてくれるため、ひざへの負担を大幅に軽減できます。プールでのウォーキングや軽い水中体操は、関節を守りながら筋肉を鍛えるのに最適です。


体重管理と正しい歩き方

前述の通り、体重はひざへの負担に直結します。体重を1kg減らすだけで、歩行時のひざへの負荷は約3kg減るともいわれています。そのため、食事と運動を組み合わせて適正体重を維持することが重要です。
また、歩く際の姿勢にも注意が必要です。背筋を伸ばし、足の裏全体で着地する「フラット歩行」を心がけることで、ひざの負担を軽減できます。


6.まとめ|無理せず続けられるケアでひざを守ろう

ひざ痛は、シニア世代にとって日常生活に直結する大きな悩みですが、原因を理解し、早めに対策を始めることで進行を防ぐことが可能です。加齢による軟骨のすり減りや筋力低下は避けられませんが、ストレッチや筋トレといったセルフケアを続けることで、ひざへの負担を大きく減らせます。

また、ウォーキングや水中運動といった無理のない運動習慣、栄養バランスを意識した食生活、体重管理など、毎日の生活に取り入れられる工夫が痛みの予防につながります。さらに、動作の工夫や姿勢改善を意識するだけでも、ひざへのダメージは和らぎます。

ただし、セルフケアを行っても痛みや腫れが続く場合、歩行に支障が出る場合には、整形外科を中心とした医療機関を早めに受診しましょう。専門医の診断を受けることで、薬やリハビリ、装具の利用など適切な治療法を選べ、重症化を防ぐことができます。

「痛いから動かない」ではなく、「動ける範囲で体を守る」ことが大切です。ひざの健康を維持することは、シニア世代の健康寿命を延ばし、より充実した生活を送るための第一歩といえるでしょう。

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