シニアが幸せになる働き方とは?持続的幸福度を維持する方法を徹底解説

仕事

1.持続的幸福度とは?シニア世代にとっての意味

幸せは一時的ではない?「持続的幸福度」の考え方

「幸福度」と聞くと、一時的な嬉しさや満足感を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、近年注目されているのは「持続的幸福度(Sustainable Happiness)」という概念です。これは、短期的な快楽よりも、長期的に感じられる充実感や自己肯定感を重視するものです。たとえば、仕事や趣味、人間関係など、日々の生活を通して継続的に感じる「生きていてよかった」という感覚が、持続的幸福度の核となります。

2011年にOECD(経済協力開発機構)が提唱した「より良い暮らし指標(Better Life Index)」でも、「仕事」「健康」「社会的つながり」などが幸福度を左右する重要な要素として挙げられています。これらの要素は、退職後のシニア世代にとっても変わらず、むしろ意識すべき指標といえるでしょう。


シニアにとっての幸福とは何か?

高齢期における幸福のあり方は、若年期とは異なります。物質的な成功や競争ではなく、「安心感」「役割の実感」「つながり」が重視されます。厚生労働省の調査(※1)によると、70歳以上の高齢者が「今が幸せ」と答えた人の多くは、家族や地域とのつながりを感じていたことがわかっています。

また、別の研究では「何らかの役割を持ち、他者と関わる」ことが、高齢者のうつ予防や生活満足度の向上につながると報告されています。つまり、働くことやボランティアなど、社会の中で“誰かのために役立っている”という感覚が、持続的な幸福に直結するのです。


※1:厚生労働省「令和元年 高齢者の経済生活に関する調査結果」
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r01/gaiyo/index.html


2.なぜ働くことが幸福度を高めるのか

収入だけではない「働くことの効果」

働くことの第一の目的として「収入の確保」が挙げられますが、シニア世代においてはそれだけではありません。退職後の生活では、自由な時間が増える一方で、「日々に張り合いがない」「社会から切り離されたように感じる」といった声が多く聞かれます。

そんな中で仕事をすることには、精神的・身体的なメリットが存在します。たとえば、朝起きて仕事に行くという生活リズムが、体調管理や生活習慣の維持に貢献します。また、誰かと関わることによる刺激や、役割を持つことによる自己肯定感の向上も、大きな効果です。

2021年に日本財団が実施した「高齢社会に関する意識調査」では、70代以上で働いている人の約7割が「仕事が生きがいになっている」と回答しました。これは、収入以外の側面での「働く価値」が、シニア世代の幸福度を下支えしていることを示しています。


社会とのつながりが生きがいを生む理由

人は誰しも、誰かとの関係性の中で自己を実感し、満足感を得る生き物です。特に高齢期は、子育てや仕事といったライフステージの役割が薄れ、孤立感を覚えやすいタイミングでもあります。

そんなとき、職場や地域社会との接点があることで、他者から必要とされる感覚が生まれます。「今日も誰かの役に立てた」「感謝された」といった日々の体験は、心の充足感を育みます。

また、継続的な人間関係は認知機能の維持にも有効とされており、アメリカのハーバード大学が実施した75年にわたる縦断研究(Grant Study)でも、「人との良好な関係」が幸福と健康を長く保つ最大の要因であると結論づけられています。


3.幸福度を維持するシニアの働き方とは?

体力・経験に合わせた仕事の選び方

シニアが幸福感を持って働き続けるためには、「無理のない働き方」が基本となります。70代ともなれば、体力の衰えや持病への配慮が必要な方も多くなります。しかし、これまで培ってきた知識や経験は大きな財産です。

たとえば、販売業や接客業での経験がある方は、短時間勤務のパートとして再び活躍することができます。また、清掃や施設管理など、比較的静かに働ける業種も人気があります。最近では在宅でできる仕事や、地域活動に近い仕事(園芸ボランティア、見守り支援など)も増え、体に負担をかけずに社会貢献できる機会が広がっています。

求人情報を探す際は、「週2〜3日勤務」「1日4時間以内」など、自分に合った働き方を見極めることが重要です。無理をせず続けられる働き方こそが、幸福度を長く保つカギとなります。


人との関わりを重視した仕事が好相性

もう一つの重要な視点は、「人と接する機会がある仕事」を選ぶことです。定年後、家庭以外での会話が極端に減ると、孤立感や認知機能の低下につながる可能性があります。その点、仕事を通じて同僚やお客様と関わることで、社会的なつながりが維持できます。

たとえば、受付・案内業務や地域ボランティア、配達スタッフなど、人と会話する機会のある仕事は、孤独を感じにくくする効果があります。また、地域密着型の仕事は、近所の人と知り合うきっかけにもなり、防災や健康管理の観点でも安心です。

自分の好きなことや得意なことを活かしつつ、適度な人間関係がある環境を選ぶことが、幸福度を持続させる働き方のポイントです。


4.シニアが「働くこと」で得られる5つのメリット

1. 経済的な安心感が得られる

年金だけでは心もとないという声は、シニア世代に多く見られます。パートタイムや短時間勤務でも、月に数万円の収入があることで、食費や医療費、趣味の費用などに充てることができ、日々の暮らしに余裕が生まれます。経済的な心配が減ることは、精神的な安定にもつながり、幸福度の土台になります。


2. 規則正しい生活で健康が保てる

仕事を持つことで、朝起きる時間や外出の習慣が自然と定着しやすくなります。これが生活リズムを整え、睡眠の質や食事のタイミングにも良い影響を与えます。週に数日の勤務でも、規則正しい生活を維持する一つの軸になるのです。特に、外に出て太陽を浴びることは、ビタミンDの生成や気分の安定にも寄与します。


3. 孤独を防ぎ、社会とのつながりが続く

高齢者の大きな課題の一つが「孤独」です。家族と離れて暮らしていたり、友人と会う機会が減ったりすると、社会との接点が失われてしまいがちです。しかし仕事には、上司や同僚、お客様など多くの人との交流があります。「誰かと会って話す」ことが、孤独の予防とメンタルヘルスの維持に直結します。


4. 自分の存在価値を感じられる

「ありがとう」と言われること、「頼りにされている」と感じることは、自己肯定感を育みます。シニア世代にとって、役割を持って社会に関わることは、「まだ自分にはできることがある」という自信を生み出します。これは、幸福感を長く持続させるうえで非常に重要な要素です。


5. 新しい挑戦で脳も心も活性化する

新しい環境や仕事に取り組むことは、脳への刺激になります。覚えることがある、成長できる場があるということは、年齢に関係なく「人生が前に進んでいる」と感じられる要因です。実際、厚生労働省の資料でも、働くシニアのほうが認知症発症リスクが低くなる傾向があると指摘されています(※2)。


※2:厚生労働省「健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料」より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26269.html


5.幸福なシニアライフを実現するためのポイント

無理をしない働き方のバランス感覚

シニアにとって「働くこと」は幸福度を高める有効な手段ですが、体や心に無理がかかっては本末転倒です。重要なのは、“働きすぎないこと”と“続けられること”のバランスをとることです。

週に2〜3日、1日4〜5時間の勤務であれば、疲れすぎず、プライベートの時間も大切にできます。また、仕事内容についても、「得意なこと」「経験のあること」「負担の少ないこと」といった自分軸で選ぶのが賢明です。

さらに、職場環境も大切です。自分のペースを尊重してくれる職場や、シニア世代を歓迎する風土がある企業を選ぶことで、長く無理なく続けることができます。


心と体の健康を保つ習慣も忘れずに

働きながら幸福度を高めていくには、心身の健康管理も欠かせません。適度な運動、バランスのとれた食事、十分な睡眠、そしてストレスの少ない日常生活。これらの基本的な健康習慣が、働くことの楽しさを支えてくれます。

また、趣味や家族との時間を持つことも、生活の彩りになります。「働くことがすべて」にならないよう、自分らしく生きる時間を確保することが、持続的幸福度を高める秘訣です。

近年では、行政やNPOによる高齢者向けの健康教室やサロンも増えており、そうした場に参加することで、健康維持と社会的つながりの両方が得られます。自分に合った「居場所」をいくつか持っておくと、心にも余裕が生まれます。

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