1.なぜ60代からの仕事探しが増えているのか?
定年後の収入不安と現実
日本では年金制度に支えられた老後生活が基本とされてきましたが、近年は「年金だけでは生活が成り立たない」と感じる高齢者が増えています。総務省の家計調査によると、60代後半〜70代世帯の実収入平均は約21万円に対し、支出は約25万円と、月4万円程度の赤字になるケースも少なくありません(※出典:総務省統計局「家計調査報告」2023年)。
こうした背景から、定年後も働き続けたいというニーズは高まり、60代での“仕事探し”は今や珍しいものではなくなっています。特に男性の場合、長年勤めた職場を退職した後の生活において、家計を支える意味だけでなく「社会の中での自分の役割を持ちたい」という思いも強くなる傾向にあります。
健康維持や社会参加のために働く人が増加中
収入以外の理由として注目されているのが、「健康維持」と「社会参加」です。特に体を動かす仕事は、生活習慣病の予防やフレイル(虚弱)対策に有効であり、「働くことが健康を支えている」と実感する60代も多くいます。
また、職場での人間関係が孤独感の軽減にもつながり、精神的な健康にも良い影響を与えます。働くことは単なる経済活動にとどまらず、心と体の健康を支える「生活習慣の一部」になっているのです。
2.60代に人気の仕事とその特徴
60代での仕事探しは、「無理なく続けられること」が大前提。近年は企業側も高齢者の採用に積極的で、シニア向けの仕事の選択肢も広がっています。ここでは、60代に特に人気のある仕事とその特徴を紹介します。
体に無理のない仕事(軽作業・施設管理など)
体力に配慮した仕事として人気が高いのが、「軽作業」や「施設管理」といったポジションです。具体的には、マンションやビルの清掃・巡回、工場での検品作業、倉庫内のピッキングなどがあります。
これらの仕事は:
・長時間の立ち仕事や重労働が少ない
・ルーティン化された作業が中心
・勤務時間や日数を自分で調整しやすい
という特徴があり、無理のない働き方を望む60代にマッチします。
人との交流が多い仕事(接客・案内・傾聴ボランティアなど)
人とのつながりを重視したい方には、接客や案内業務が人気です。スーパーやコンビニでのレジ係、ショッピングモールのインフォメーション業務、地域の観光案内ボランティアなどは、「人と話すことが好き」「誰かの役に立ちたい」という方にぴったりです。
また、「傾聴ボランティア」といって、高齢者施設や病院などで話し相手になる活動も増えており、報酬よりも社会貢献や心の充実を求める人から支持を集めています。
スキルを活かせる仕事(講師・技術職・相談員など)
「これまでの経験を活かしたい」と考える人には、専門知識やスキルを活かした仕事が向いています。例としては:
・元教師による塾講師、家庭教師
・元職人や技術者による技術指導、後進育成
・企業経験を活かしたシニア向け就労相談員やNPO職員
などがあります。
シニアの“働きがい”を重視する人にとって、スキルを発揮できる仕事は「自己肯定感」や「社会とのつながり」を強く実感できる場でもあります。
3.仕事選びのポイントは“自分らしさ”にあり
60代からの仕事探しでは、「どんな仕事があるか」だけでなく、「どんな働き方が自分に合っているか」を見極めることが大切です。年齢や体力、生活環境が変わる中で、自分らしく働くためには、過去の経験・価値観・目的を明確にすることが鍵になります。
過去の経験をどう活かすか考える
長年の仕事で培ったスキルや人間関係は、大きな武器になります。たとえば、製造業で培った几帳面さや手先の器用さは、検品や軽作業で重宝されますし、管理職としてのマネジメント経験は、地域活動のリーダーや相談員などで活かすことができます。
「自分には特別なスキルはない」と感じる方も、誠実さ・責任感・協調性といった“人柄”も立派な強みです。それらを活かせる環境を探すことが「自分らしさ」に繋がります。
「働く目的」を明確にする
60代の仕事は「生活のため」と「生きがいのため」が両立している場合が多く、どちらに比重を置くかによって選ぶ仕事も変わります。
・生活費の補填が最優先:収入が安定しやすいパート勤務や契約社員など
・生きがいや社会貢献:ボランティア、地域活動、NPO関連など
働く目的を明確にすると、迷わず求人を選ぶことができ、自分にとってストレスの少ない働き方が見えてきます。
体力・家庭事情に合わせた働き方を選ぶ
60代になると、「フルタイム勤務は体力的に厳しい」「家族の介護や通院がある」など、制約が出てくることもあります。そのため、以下のような柔軟な働き方が人気です。
・週2~3日、午前中だけの勤務
・短時間のアルバイトやスポットワーク
・在宅でできる軽作業や電話対応業務
「頑張りすぎないこと」も長く働くコツのひとつ。自分のペースで働ける環境を探すことが、自分らしい働き方の第一歩になります。
4.60代の仕事探しに役立つ支援制度・サービス
60代からの仕事探しは、若い世代とは異なる課題もあるため、「シニアに特化した支援」や「年齢に配慮した求人サービス」をうまく活用することが成功のカギです。ここでは、60代が安心して仕事を探せる主な制度やサービスを紹介します。
ハローワークのシニア支援
全国のハローワークでは、「生涯現役支援窓口」や「高齢者就業支援コーナー」など、60歳以上を対象とした専用の相談窓口を設けているところが増えています。ここでは以下のような支援が受けられます。
・年齢に合った求人の紹介
・就職相談、面接対策、履歴書添削などのサポート
・職業訓練や再就職支援講習の案内
ハローワーク経由での就職には「高年齢者雇用開発特別奨励金」など企業への助成金が付く場合もあり、シニア層が採用されやすくなる利点もあります。
自治体・地域の就業支援センター
都道府県や市区町村が運営する「シルバー人材センター」や「地域若者サポートステーション(高齢者版)」など、地元に根ざした就業支援機関も非常に有効です。
特にシルバー人材センターは、60歳以上の登録者に向けて、短時間・短期の軽作業や公共事業に関連する業務(植栽管理、封入作業、児童の見守りなど)を紹介しています。
また、地域の高齢者向け講座やスキルアップ研修を通じて、仲間づくりと仕事探しを並行できる点も魅力です。
シニア向け専門求人サイトの活用法
最近では、60代以上を対象とした専門求人サイトも充実してきました。代表的なサービスには以下のようなものがあります。
・シニアジョブ:掲載費用無料・採用時にのみ成果報酬が発生する採用課金型。高齢者歓迎求人が豊富
・キャリア65:最初の1名までは完全無料で利用可能。2人目以降は採用課金制
・求人ボックス(シニアカテゴリ):全国の求人を横断的に検索可能。条件絞り込みがしやすい
これらのサイトでは、年齢不問や「60代以上歓迎」などのフィルターが用意されているため、自分に合った求人を効率よく探すことができます。
5.60代からの仕事探しで失敗しないための注意点
60代での仕事探しは、選択肢が広がる一方で「後悔しないための見極め」も重要です。ここでは、実際にありがちな失敗パターンを防ぐためのポイントを紹介します。
求人内容の見極め方(“シニア歓迎”の言葉に注意)
「シニア歓迎」「年齢不問」と書かれている求人でも、実際の職場では若年層中心で、年齢に対する無理解がある場合もあります。応募前には次の点を確認しましょう。
・具体的な仕事内容が明記されているか
・勤務日数や時間に柔軟性があるか
・シニア層の採用実績がある企業か
求人サイトの口コミ欄や企業HP、実際の面接時に職場の雰囲気を確認することで、「なんとなく応募してミスマッチ」という失敗を防げます。
働きすぎを防ぐためのスケジュール管理
体力や健康に合わせた働き方をすることは、60代にとって特に大切です。収入を重視するあまり、フルタイムや過密なシフトを選ぶと、疲れが蓄積して仕事の継続が難しくなるケースもあります。
たとえば、
・週2~3日程度のパート勤務
・午前中だけ、午後だけの短時間勤務
・在宅でできる仕事
など、「続けられるペース」を意識することで、無理なく働くことができます。
契約形態・給与条件をしっかり確認しよう
高齢者向けの仕事では、業務委託契約や日雇い契約など、雇用形態が多様化しています。「時給が高い」と思って飛びついても、交通費が出なかったり、社会保険の対象外だったりすることも。
事前にチェックすべきポイントは:
・給与の支払い方法と額面
・社会保険の有無
・交通費や福利厚生の有無
・試用期間の内容
また、労働条件通知書や契約書類は必ず確認し、納得できる内容かをチェックしましょう。不安な場合はハローワークや消費生活センターなどの相談窓口を活用するのも一つの手です。
6.まとめ:自分らしい働き方で“第二の人生”を豊かに
60代の仕事探しは、単なる“再就職”ではなく、「これからの人生をどう生きるか」を考える大切な転機でもあります。年齢を理由に選択肢が狭まる時代は過ぎつつあり、今は多様な働き方が受け入れられる時代です。
仕事を通じて得られるのは、収入だけではありません。社会とのつながり、役割意識、健康の維持、自信、そして生きがい。そのどれもが、60代という人生の成熟期にとって欠かせない要素です。
これまでの経験やスキルを活かしつつ、自分の体調や生活スタイルに合った働き方を選ぶことで、無理なく長く働くことが可能になります。そして、そうした働き方こそが、“自分らしい生き方”につながっていきます。
一歩踏み出すなら、まずは情報収集から!
情報を知らなければ、自分に合う仕事にも出会えません。ハローワークや自治体の支援制度、シニア向けの求人サイトをうまく活用し、まずは気軽に情報収集を始めてみましょう。
一歩踏み出すことで、第二の人生がもっと明るく、充実したものになるかもしれません。
自分に合った仕事が見つかる!60代歓迎の求人を探すなら、シニア向け専門サイト「キャリア65」を今すぐチェックしてみましょう。