1. 日本スポーツマスターズとは?|シニア世代のための本格スポーツ大会
日本スポーツマスターズとは、35歳以上(多くの競技で40歳または60歳以上)の中高年・シニア世代を対象とした全国規模のスポーツ大会です。2001年から公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)が主催しており、「生涯スポーツの実践者が成果を発揮できる場」として位置づけられています。
●大会の目的は“健康・仲間・挑戦”の場づくり
この大会の開催趣旨は単なる記録や勝敗だけではありません。
むしろ、以下のような生涯にわたる健やかな生活の支援がその根底にあります。
・スポーツを通じて健康寿命を延ばすこと
・継続的な運動習慣を促すこと
・地域や世代を超えた交流を深めること
・大人世代に「再び挑戦する場」を提供すること
年齢を重ねても“本気”で競技に打ち込める舞台は、日本スポーツマスターズならではの魅力です。
●全国規模での開催と出場のステップ
この大会は毎年開催され、各都道府県での予選会を経て本大会に出場する仕組みとなっています。
開催地は持ち回りで、2024年は佐賀県、2023年は北海道など、その年ごとに全国各地で開かれています。
出場までの流れは以下の通りです。
1.地域のスポーツクラブや団体で活動開始
2.市区町村または都道府県の予選会に参加
3.勝ち抜いた上位者が全国大会に出場
競技は個人種目と団体種目があり、競技によっては年齢区分や男女別カテゴリも細かく設定されています。
●どんな人が参加している?
参加者は60代〜70代が中心ですが、80代の出場者も珍しくありません。過去には「80歳で全国大会に初出場」といったニュースもあり、年齢に関係なく挑戦できる舞台として注目されています。
一方で、かつて社会人チームや実業団で活躍した経験者も多く、「昔の仲間ともう一度戦いたい」という想いで再結成されたチームもあります。
●“生涯現役”を体現するイベントとして
人生100年時代と言われる今、「高齢になっても本気でスポーツを楽しめる場所」はとても貴重です。
日本スポーツマスターズは、そうした生きがい・健康・交流の三拍子がそろう場であり、シニア世代にとってまさに“生涯現役”を体現するイベントなのです。
2. なぜ今、シニアにスポーツが注目されているのか?健康・生きがい・仲間づくりの観点から
近年、シニア世代におけるスポーツへの関心が高まっています。背景には「健康の維持」だけでなく、「社会とのつながり」や「自己実現」といった多様なニーズがあります。
日本スポーツマスターズのような大会が注目されるのも、こうした複合的なメリットが得られるからです。
●健康寿命を延ばすために「運動」がカギ
厚生労働省の資料(「健康寿命の延伸に向けた取組」)によれば、日本人の平均寿命は世界でもトップクラスですが、日常生活に制限のない「健康寿命」には男女で約10年のギャップがあるとされています。
その健康寿命を延ばす方法として、最も効果的とされているのが「定期的な運動習慣」です。
・骨や筋肉を維持し、転倒リスクを減らす
・血行促進により生活習慣病の予防
・運動による認知症予防やうつの改善効果
特に中高年以降は、“筋肉は貯金できない”と言われるほど、継続的な運動の重要性が高まります。
その意味で、スポーツという明確な目的がある運動は、続けやすく、生活リズムの形成にも役立ちます。
●生きがいを感じる場としてのスポーツ
運動が心と体に良い影響をもたらすことは知られていますが、それだけではありません。
特に定年後や子育て後の世代にとって、「何のために生きるか」「自分はまだ誰かの役に立てるか」という“生きがいの空白”が生まれやすいタイミングでもあります。
スポーツを通じて:
・目標(試合、記録更新、大会出場など)ができる
・成果を感じることで自己肯定感が高まる
・続けることが“自分らしさ”の証明になる
というように、心理的充実感が得られるのは非常に大きな効果です。
ある研究(国立長寿医療研究センター, 2020年)でも、スポーツを続けている高齢者の方が、「毎日が楽しい」「役割を感じている」と答える割合が有意に高いと報告されています。
●仲間づくりが孤立を防ぐ
高齢になるにつれ、退職や子の独立、配偶者との死別などで社会的なつながりが減少する傾向にあります。
これにより孤独感や孤立が深まると、心身の健康にも悪影響を及ぼしかねません。
スポーツの現場では:
・定期的に人と会う機会ができる
・同じ目標を共有することで強い絆が生まれる
・異なる世代や地域の人とつながるチャンスもある
というように、孤立を防ぎ、人間関係の再構築を後押しする効果が期待できます。
●運動と仕事の相乗効果
スポーツで体力・気力が養われることで、シニアが仕事に取り組む際にも好影響が出ています。
「仕事をしながら運動する」ではなく、運動しているから仕事も元気にできるという人も多く、まさに“好循環”が生まれているのです。
このように、今シニア世代がスポーツに注目するのは、「体を動かす」以上に、生活・社会・人生を豊かにする要素がそろっているからなのです。
3. 幅広いシニア世代が活躍!種目や参加条件・開催スケジュールをチェック
日本スポーツマスターズは、原則35歳以上(多くの種目は60歳以上)を対象とした大会で、シニア世代が主役です。年齢制限は競技ごとに異なり、例えば水泳は「40歳以上」、陸上は「35歳以上」などの条件があります。
2024年大会(参考:2024年日本スポーツマスターズ公式サイト)では、以下のような種目が実施されました。
個人競技 | 団体競技 |
---|---|
陸上競技 | ソフトボール |
水泳 | バレーボール |
卓球 | サッカー |
柔道・剣道 | 軟式野球 |
ゴルフ | ソフトテニス |
競技によっては、出場年齢に差がある(例:剣道=60歳以上、水泳=40歳以上など)ため、詳細は大会公式HPや各都道府県体育協会の案内を確認する必要があります。
多くの競技では、県や市町村ごとの予選を勝ち抜いて全国大会に進出する形式です。つまり、地元での活動から全国レベルへの挑戦という段階的なステップが用意されている点も、参加者にとってのモチベーションになっています。
4. 仕事と両立する参加者も!スポーツが生活に与える好循環とは?
「パートタイムで働きながらスポーツも楽しむ」——そんなライフスタイルを実現しているシニアは少なくありません。
日本スポーツマスターズの出場者には、早朝にトレーニングを行い、昼は働き、夕方はチームで練習というリズムを築いている人もいます。
仕事とスポーツを両立することで、生活にリズムが生まれ、以下のようなメリットがあります。
・健康維持:適度な運動は免疫力向上や生活習慣病の予防にも。
・社会参加:仕事+スポーツを通じて、多層的な人間関係を構築できる。
・心の充足:成果や達成感を得ることで自己肯定感が高まる。
さらに、「大会で得た経験を、仕事に活かせる」ケースも増えており、特に体力やチームワークが求められる現場(清掃、受付、介護など)では好影響が報告されています。
5. 未経験でも大丈夫!地域クラブや仲間と始める第一歩
「大会に出るなんて、自分には無理」「若いころ運動してなかったし…」
そう感じるシニア世代の方は少なくありません。しかし、日本スポーツマスターズの魅力は“本気”だけではなく、“これから始めたい人”にも門戸が開かれている点にあります。
●地域クラブから始める人が多数
多くの参加者は、地元のスポーツクラブや自治体が主催するシニア向け教室からスタートしています。たとえば:
・市区町村の体育館や運動施設で行われる初心者向けの教室
・地域のスポーツクラブが開催する週1回のソフトボール練習
・健康づくりを目的としたウォーキングやストレッチのサークル
これらの場は、技術を磨くというよりも「まずは体を動かすこと」や「仲間と楽しむこと」に重きが置かれています。
●仲間の存在が大きな支えに
はじめて参加する際、年齢も体力も不安な方にとって、同世代の仲間の存在はとても心強いものです。共通の目的を持って練習に取り組むことで、自然と打ち解け、孤立感も減っていきます。
「体力に自信がない方も、応援し合える関係が築けるのが魅力です。技術ではなく、“楽しむ姿勢”が大事なんです」と語るのは、地元で活動するソフトテニスクラブの指導者。実際にクラブ参加者の7割以上が60歳以上で、競技経験のない人が多くを占めているそうです。
●サポート制度も充実
自治体によっては、以下のような支援制度も整備されています。
・スポーツ用具の貸し出し
・初心者指導者の配置
・大会参加費の補助
・ボランティアによる送迎支援
これらは「高齢だから」「未経験だから」というハードルを下げ、誰でも一歩踏み出せる環境づくりにつながっています。
●まずは“見学”からでもOK!
いきなり参加するのが不安な方は、見学や体験参加から始めるのもおすすめです。多くのクラブや市民団体では、気軽に参加できる日を設けており、動きやすい服装でふらっと訪れるだけでも歓迎されます。
このように、「やってみたい」という気持ちさえあれば、経験や年齢に関係なく挑戦できるのが日本スポーツマスターズの魅力です。
大切なのは、“完璧”を目指すことではなく、“一歩踏み出す勇気”です。
6. 「好き」を仕事にも活かす!スポーツ経験を活かした働き方のヒント
スポーツの経験や情熱を、働く現場で活かすことも可能です。
たとえば以下のような仕事があります。
・スポーツ施設の受付、清掃、サポートスタッフ
・地域の子ども向けスポーツ教室の補助指導者
・シニアフィットネスジムのインストラクター補助
これらの仕事は、体力や人との関わりが求められるため、スポーツ経験をもつシニアにとっては非常に相性がよく、やりがいと収入の両立が可能です。
また、近年では「健康づくり」や「地域貢献」に関心をもつ企業が、シニアのスポーツ活動経験を高く評価する傾向にあり、履歴書のアピール材料にもなります。
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