今日からできる『舌トレ』入門|健康と仕事を支える舌の筋トレ

健康

はじめに|なぜ今「舌トレ」が注目されているのか

近年、「舌トレ(舌の筋肉を鍛えるトレーニング)」がシニア世代を中心に注目されています。その理由は、舌の筋肉が衰えることで、日常生活に大きな支障が出る可能性があるからです。例えば、食べ物をしっかり噛んで飲み込めない「嚥下障害」、言葉が不明瞭になる「構音障害」、さらには誤嚥による肺炎など、健康に直結する問題につながります。

厚生労働省の「健康寿命延伸プラン」(2019)によると、健康寿命の延伸は国の重点目標の一つとされており、2040年までに男女ともに3年以上の延伸を目指すとされています。つまり、口腔機能の維持や舌を鍛えることは、国が推進する健康寿命延伸にも直結しているのです。

さらに、舌トレは特別な道具を必要とせず、自宅で簡単にできる点も魅力です。毎日の習慣に取り入れることで、食事を楽しみ、会話をはっきり続けられるようになり、社会参加や仕事の場面でも自信につながります。

このように「舌トレ」は、加齢に伴うリスクを減らし、健康寿命をのばすための新しい健康習慣として注目されているのです。


1.舌トレで得られる効果|健康・仕事・生活の質を高める理由

舌トレは、一見すると小さな運動ですが、実際には全身の健康や社会生活に大きな影響を与えます。ここでは主な効果を3つに分けて解説します。

1. 食べる力を維持し、誤嚥を予防

舌は、食べ物を噛み砕いたり飲み込んだりする際に重要な役割を担っています。舌の筋力が弱ると、飲み込みがスムーズにいかず、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
公益財団法人長寿科学振興財団による報告では、オーラルフレイル(口腔機能のわずかな低下)が、低栄養や要介護リスクの上昇につながるとされています(長寿科学振興財団「オーラルフレイルの概念とフレイルとの関係」2023)【出典: tyojyu.or.jp】。


2. 会話をクリアにし、社会参加を後押し

舌は発音を支える器官でもあります。舌の動きが鈍くなると、言葉が聞き取りにくくなり、会話に不安を感じるようになります。しかし、舌トレを続けることで発音が明瞭になり、対話がしやすくなります。これは家族との会話だけでなく、仕事や地域活動など、社会とつながりを持ち続けるために重要な効果です。


3. 脳への刺激で認知症予防にも期待

舌を動かす運動は、脳の複数の領域を同時に刺激します。特に「話す」「食べる」といった行動は、記憶や判断力に関わる脳機能と密接に結びついています。東京都健康長寿医療センター研究所の報告でも、口腔機能を維持している高齢者は認知機能の低下が緩やかであることが示されています(東京都健康長寿医療センター研究所「オーラルフレイルの予とと改善」2023)【出典: tyojyu.or.jp


このように舌トレは、「食べる」「話す」といった日常の基盤を守るだけでなく、健康や仕事、社会的なつながりまで支える効果が期待できます。


2.今日からできる!シニアにおすすめの舌トレーニング方法

舌トレは特別な器具や大きなスペースを必要とせず、座ったままでも簡単にできるのが魅力です。ここでは、シニア世代に無理なく取り入れられる代表的な方法を紹介します。

1. 舌回し運動

口を閉じた状態で、舌先を歯と唇の間に沿わせるように動かし、ぐるりと一周させます。右回り10回、左回り10回を目安に行いましょう。顎や頬の筋肉も同時に刺激され、口腔全体の機能維持に効果的です。


2. 舌出しストレッチ

舌をできるだけ前に突き出し、5秒間キープします。その後、鼻の方向・顎の方向・左右の頬に向かって舌を伸ばします。各方向を3回ずつ繰り返すと、舌の可動域が広がり、飲み込みや発音がスムーズになります。


3. 舌押しトレーニング

割りばしやスプーンを舌先で押し返す運動です。前方に押すだけでなく、左右に押し分けることで舌の筋肉をバランスよく鍛えられます。筋トレ感覚で少しずつ回数を増やすのがおすすめです。


4. パタカラ体操

「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音を繰り返す練習法です。「パタカラ体操」は、通所介護などで提供される口腔機能向上サービスにおいて用いられる口腔体操の一つで、発音や嚥下(えんげ)機能の改善に寄与するとされています。こうした取り組みは、厚生労働省の「介護予防マニュアル 第4版(口腔機能向上マニュアル)」に記載されている口腔体操の一例として紹介されています。


5. 舌で上あごを押す

舌を上あごに押しつけて数秒キープする運動です。嚥下時に舌が食べ物を喉へ押し出す動作をサポートするため、誤嚥予防に効果的とされています。


これらの運動は、1回につき5〜10分程度で十分効果が期待できます。テレビを見ながら、入浴後のリラックスタイムなど、生活の一部に組み込むと無理なく継続できます。


3.実際に続けるコツ|毎日の習慣に取り入れる工夫

舌トレは一度やれば効果が出るものではなく、継続することで初めて健康維持につながります。ところが、「つい忘れてしまう」「面倒になってやめてしまう」という声も多く聞かれます。そこで、無理なく続けるための工夫を紹介します。

1. 生活の“すきま時間”に取り入れる

舌トレは、テレビを見ながら、入浴中、就寝前などの「ながら習慣」にしやすい運動です。食後に歯を磨いた後、セットで舌回しをするなど、生活の流れに組み込むと忘れにくくなります。


2. 見える化してモチベーションを高める

カレンダーやメモアプリに「舌トレをした日」を記録するのも効果的です。続けた日数が目に見えることで達成感が得られ、モチベーション維持につながります。


3. 家族や仲間と一緒に行う

一人で続けるのが難しい場合は、家族や友人と一緒に「パタカラ体操」などを実践してみましょう。介護予防教室や地域のサロンで一緒に取り組むのもおすすめです。仲間と行えば自然に続けられ、会話のきっかけにもなります。


4. 専門家のサポートを受ける

歯科医院や言語聴覚士による指導を受けると、自分に合った舌トレ方法を教えてもらえます。特に、嚥下機能に不安を感じている場合は、医師や歯科医に相談した上で取り組むことが安心につながります。


5. 小さな目標を立てて続ける

「毎日5分」「1週間続ける」など、無理のない目標を設定しましょう。達成したら次の目標を少しだけ大きくすることで、習慣化しやすくなります。


このように、舌トレは「続けやすさ」が最大のポイントです。生活の一部に取り入れ、気軽に楽しみながら習慣化することで、健康寿命の延伸に大きな効果をもたらします。


まとめ|舌トレで健康も社会参加も前向きに

舌の筋力は、食べる・飲み込む・話すといった日常生活の基本動作を支える大切な役割を担っています。年齢とともに衰えやすい部分ですが、日常的に「舌トレ」を取り入れることで、その機能を維持・改善することが可能です。

誤嚥性肺炎の予防や栄養状態の改善だけでなく、会話を楽しむことによる社会的つながりの維持、さらには脳への刺激による認知症予防など、舌トレには多方面でのメリットがあります。特にシニア世代にとっては、「もう一度働きたい」「地域活動に参加したい」といった希望を実現するための大切な基盤づくりにもなります。

大切なのは、無理なく続けることです。生活の中に習慣として組み込むことで、舌トレは難しい運動ではなく、毎日の健康ルーティンになります。そしてその積み重ねが、健康寿命の延伸と生きがいある生活につながります。

「食べる喜び」「話す楽しさ」を守り、社会とのつながりを保つために――今日から舌トレを始めてみませんか?

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