1.ユニバーサルツーリズムとは?シニアに支持される理由
「ユニバーサルツーリズム」とは、年齢、障がい、体力の有無に関わらず、誰もが安心して旅行を楽しめるように配慮された旅のスタイルを指します。段差の少ない宿泊施設、移動しやすい交通手段、バリアフリーの観光スポット、専門ガイドのサポートなど、多様なニーズに応える仕組みが整えられているのが特徴です。
シニア世代にユニバーサルツーリズムが支持されている一番の理由は、「不安が減ることで、旅の楽しみが大きくなる」点にあります。たとえば、「階段が多いと疲れてしまう」「トイレが近くにないと困る」「長時間歩けるか心配」と感じることは誰にでも起こりうる自然なことです。しかしユニバーサル対応の旅行では、こうした不安に事前に配慮されているため、出発前から安心感を持つことができます。
さらに、ユニバーサルツーリズムは「同行者の負担を減らす」点でも評価されています。家族や友人と一緒に旅行をする際、「迷惑をかけてしまうかも」と気にして旅を遠慮するシニアは少なくありません。ところが、ユニバーサル対応の旅行では、サポートスタッフや福祉車両、バリアフリー設備が整っているため、気兼ねなく旅を共有できるのです。
観光庁の調査でも、身体的な負担や移動への不安が旅行をためらう理由として多く挙げられており、バリアフリー環境の充実が旅行参加の決め手になることが示されています。こうした背景から、ユニバーサルツーリズムはシニアにとって「再び旅を楽しむきっかけ」をつくる、新しい旅行スタイルとして注目されています。
2.「また旅したい!」を叶えるために必要な旅行の安心ポイント
シニア世代が旅行を「また行きたい」と思えるかどうかは、旅の内容だけでなく “安心して過ごせる環境かどうか” に大きく左右されます。ユニバーサルツーリズムでは、とくに次の3つのポイントが重視されています。
①移動のしやすさとストレスの少ない交通手段
旅の最初のハードルは「移動」です。階段が多い駅、遠いバス停、複雑な乗り換えなどは、シニアにとって負担になりがちです。
ユニバーサルツーリズム対応の旅行では、
・エレベーターの多い駅
・車いす対応の鉄道/バス
・送迎サービスつきの宿泊施設
など、移動の負担が少ない手段が選ばれています。
また、荷物の配送サービスを利用すれば、重いスーツケースを持たずに移動でき、旅行のストレスが大きく減ります。
②休憩しやすい環境と無理のないスケジュール
「歩き続ける」「立ち続ける」ことで疲れが出てしまい、その結果、旅の満足度が下がるケースは多いものです。
ユニバーサルツーリズムでは、
・観光スポットに十分な休憩スペースがある
・無理のない歩行距離でコースが設定される
・途中でスケジュールを変更しやすい柔軟な仕組み
といった配慮がされています。
特に「自由行動の時間が多い」「ペースに合わせて進めるガイドがいる」旅行は、安心して楽しめると評判です。
③医療・サポート体制が整っているか
「旅先で体調が悪くなったらどうしよう」という不安は、シニア世代にとって大きな壁です。
そのため、
・近くに医療機関があるか
・ホテルのスタッフが緊急時に対応できるか
・必要に応じて看護師同行の旅行を選べるか
といった事前確認が、安心して旅を楽しむカギになります。
最近は、医療知識を持った添乗員や「旅先の見守りサービス」を提供する旅行会社も増えており、旅行の安全性は年々高まっています。観光庁の取り組みでも、医療・福祉との連携はユニバーサルツーリズム推進の重要な要素とされています。
これらの安心ポイントがそろうことで、「また旅に出たい!」という前向きな気持ちにつながります。ユニバーサルツーリズムは、単なる“バリアフリー”にとどまらず、“旅行中の安心をトータルで支える仕組み” として進化しているのです。
3.シニアに人気の旅行先と、ユニバーサルツーリズム対応の“探し方”ガイド
ユニバーサルツーリズムが広がる中で、シニア世代に人気の旅行先には共通点があります。それは、「移動しやすく」「休憩しやすく」「サポートが充実している」という点です。まずは人気の旅行先の特徴から、次に“失敗しない探し方”をまとめて解説します。
◆シニアに人気のユニバーサルツーリズム対応スポット
① 温泉地(箱根・別府・道後など)
温泉地は、身体の疲れを癒やすだけでなく、近年はバリアフリー化が進んでおり、
・段差の少ない大浴場
・手すりの設置
・介助スタッフのいる宿
などを選べば安心して利用できます。
特に道後温泉や別府温泉はユニバーサル対応が進み、「誰もが入れる温泉」を目指した取り組みが評価されています。
② 美術館・博物館エリア(金沢・上野・直島など)
文化施設はもともとバリアフリー化が進んでおり、エレベーターやスロープ、貸出用車いすの整備が充実しています。
館内の移動距離が短く、座れる場所が多い点もシニアに人気です。
③ 公園・庭園(新宿御苑・兼六園・太宰府天満宮周辺など)
自然散策ができるスポットは気分転換に最適。最近は舗装が整備され、休憩ベンチも多く設置されている場所が増えています。
◆ユニバーサルツーリズム対応の“旅行先の探し方”ガイド
「どんな情報を見れば安心して選べるの?」という声に応えて、失敗しない探し方のポイントをまとめました。
① 観光庁・自治体のバリアフリー観光ページを見る
観光庁や自治体では、ユニバーサルツーリズムの取り組みをまとめたページを公開しています。
・施設のバリアフリー情報
・対応しているサービス内容
・ユニバーサル観光モデルルート
などが確認できるため、旅行先を選ぶ際の信頼できる判断材料になります。
※例:観光庁「ユニバーサルツーリズム促進事業」
② 旅行会社の“ユニバーサルツアー”を検索する
近年は大手旅行会社でも、次のようなキーワードで検索できるようになりました。
「バリアフリー旅行」
「シニアツアー」
「付き添いサポート付き旅行」
専門スタッフが同行するプランもあり、初めての方でも安心です。
③ 口コミで「高齢者に優しいか」をチェックする
宿泊予約サイトでは、実際の利用者の声がとても参考になります。
「エレベーターが近い」「段差が少ない」「スタッフの対応が丁寧」などの口コミは、旅の満足度を大きく左右します。
写真だけではわからない情報が得られるため、必ずチェックしたいポイントです。
④ “自分のペースに合う旅”を基準に選ぶ
ユニバーサルツーリズムで大切なのは、
・歩く距離
・移動時間
・食事のスタイル
など、自分の体調やペースに合うかどうかです。
同じ場所でも、旅行会社によってコース内容はまったく違うため、「ゆっくり観光」「休憩が多い」などの表記を確認すると安心です。
ユニバーサルツーリズムは「行ける場所を減らす旅」ではなく、“安心して選べる選択肢を増やす旅”です。探し方のコツを知っておけば、旅の幅はぐっと広がり、これまで以上に自分らしい旅が楽しめます。
4.旅行をもっと安全に楽しむための準備:体調・持ち物・サポート体制
ユニバーサルツーリズムを安心して楽しむためには、「行き先選び」だけでなく、出発前の準備がとても重要です。とくにシニア世代の場合、事前に少し工夫しておくだけで、旅の疲れを大幅に減らし、安全に過ごすことができます。ここでは、旅行前に整えておきたいポイントを「体調」「持ち物」「サポート体制」の3つに分けて紹介します。
① 体調管理:無理のない旅のために、出発前から整える
旅行中のトラブルで多いのが「疲れ」「脱水」「持病の悪化」です。楽しむためには、体調を整えて出発することが欠かせません。
・数日前から睡眠を十分にとる
・持病のある方は主治医に相談し、旅行中の注意点を確認する
・歩行に不安がある場合は、杖や軽量歩行器などを事前に準備する
また、旅先の標高・気温差・湿度によって体への負担が変わるため、気象情報をチェックして服装を調整することも大切です。
② 持ち物:安心と快適さを支える“見落としがちなアイテム”
旅行の持ち物は「できるだけ軽く」が基本ですが、シニアの場合は次のような“安心アイテム”を追加しておくと不安が減ります。
・薬(いつもより少し多め)とお薬手帳のコピー
・水分補給用の小さなボトル
・折りたたみクッション(長時間の移動で重宝)
・モバイルバッテリー(スマホは緊急時の命綱)
・保険証/緊急連絡先カード
特に、お薬手帳や緊急連絡先カードは、万一の際に医療機関が状況を正しく把握するのに役立つため、ユニバーサルツーリズムの旅行者の多くが携帯しています。
③ サポート体制:自分に合った“安心の仕組み”を選ぶ
ユニバーサルツーリズムでは、単に「設備が整っている旅行先」を選ぶだけでなく、「人によるサポート」をどこまで利用するかも重要です。
・看護師同行ツアー
・添乗員がペースに合わせて進行するシニア向けツアー
・宿泊施設の見守りサービス
・空港/駅でのアシストサービス(JR・航空会社)
たとえば、JR各社や航空会社では、手助けが必要な人に向けて「駅係員のサポート」「車いすの貸出」「搭乗口までのエスコート」などのサービスを提供しています。これらは無料で利用できることが多く、旅行者から「使ってよかった」という声が多いサポートです。
また、初めての旅行や体力に不安のある場合には「旅介護サービス」を利用するという選択肢もあります。旅行中の移動・食事・観光をサポートしてくれるため、家族に負担をかけたくない人にも向いています。
◆準備が整うと、旅の安心感がまったく変わる
シニアが旅行に不安を感じる理由の多くは、事前準備で解消できます。体調を整え、必要な持ち物を揃え、自分に合ったサポート体制を選ぶことで、「迷惑をかけたらどうしよう」「途中で疲れたらどうしよう」といった不安が軽くなり、旅そのものを純粋に楽しめるようになります。
ユニバーサルツーリズムの本質は、「行ける場所を増やす」だけではなく、安心して自由に旅を楽しむための“仕組みづくり” にあります。
5.無理なく旅を楽しむためのコツ|移動・食事・観光で気をつけたい点
ユニバーサルツーリズムの大きな魅力は、「自分のペースで、無理なく旅を楽しめる」ことです。シニア世代が旅先で疲れすぎたり、体調を崩したりしないためには、いくつかのコツがあります。ここでは、旅の満足度を高めるために「移動」「食事」「観光」の3つの場面で意識したいポイントを紹介します。
① 移動のコツ:とにかく“急がない旅”を心がける
シニアの旅で最も疲れが出やすいのは移動時間です。
無理のない旅にするためのポイントは次の通りです。
・荷物は宅配サービスで先に送る
これだけで移動の疲れが大幅に減ります。
・乗り換えの少ない交通手段を選ぶ
新幹線/特急/直通バスは移動ストレスを減らす最強の味方です。
・エレベーターの位置を事前にチェックする
大きな駅は構内が広く、階段しかない出口もあるため、前もって調べておくと安心です。
さらに、到着時間を早めに設定し、暗くなる前に宿へ入ることも安全につながります。
② 食事のコツ:身体に優しく、楽しみも残す“ほどほど”が大切
旅の楽しみのひとつが食事ですが、食べ過ぎや慣れない料理は体調不良の原因になります。
・塩分控えめ/油控えめのメニューを選ぶ
・夕食後の散歩で胃の負担を軽減する
・水分補給を忘れない(特に高齢者は喉の渇きに気づきにくい)
また、バイキング形式の場合は「座席から近い料理台」「食べやすい量」など、自分のペースを守ることが大切。最近はシニア向けに食事のサポートが手厚い宿も増えており、要望を伝えると柔軟に対応してくれることもあります。
③ 観光のコツ:欲張らず、“一つのスポットをじっくり楽しむ”旅へ
若い頃の旅行のように「1日にたくさん回る」旅は、シニア世代には負担が大きくなります。ユニバーサルツーリズムは、“量より質”の考え方が基本です。
・観光スポットは1〜2か所に絞る
・滞在時間を長めにとり、ベンチのある場所を選ぶ
・写真を撮るために無理な体勢にならない
また、季節や天候によって歩きやすさが変わるため、混雑の少ない時間帯やルートを選ぶことも快適さに直結します。
◆「自分のペース」を最優先にするのが、旅を長く続けるコツ
シニアの旅で最も大切なのは、「周りに合わせる」より「自分のペースを優先する」ことです。
急がず、食べ過ぎず、無理をしない。それだけで、旅はぐっと快適になり、「来年もまた行きたい」という前向きな気持ちが自然と生まれます。
ユニバーサルツーリズムは、こうした“自分らしい旅”を叶えるための仕組み。年齢に関わらず、誰もが安心して旅を楽しめる未来へ、日々進化しています。
6.ユニバーサルツーリズムで広がる“生きがい”とシニアの未来
ユニバーサルツーリズムは、単なる旅行の形ではなく、シニアの生き方そのものを豊かにする新しいライフスタイルです。年齢や体力に関係なく「行きたい場所へ行ける」「見たいものが見られる」という自由は、生きがいや心のハリを大きく育ててくれます。
① 旅は「第二の人生の再スタート」を後押しする力がある
シニア世代では退職後に生活リズムが大きく変わり、「目的がなくなった気がする」と感じる人は少なくありません。
しかし、ユニバーサルツーリズムのように安心して参加できる旅があることで、
・新しい趣味に出会える
・人とのつながりが生まれる
・行動範囲が広がる
といった前向きな変化が起こります。
特に旅先での「人との出会い」は、シニアのメンタルを強くし、生活に活気を与えると複数の心理学研究でも指摘されています。
② 旅が健康をつくる|歩く・食べる・笑うが自然にできる環境
旅行は、「軽い運動」「適度な刺激」「社会的交流」が自然に得られる貴重な機会です。これらはすべて、シニアの健康維持に重要な要素とされています。
・散策をすることで血流がよくなる
・おいしい物を適量食べることで食欲が刺激される
・人と会話することで脳が活性化する
ユニバーサルツーリズムは、体力に合わせた移動ルートや休憩スペースが整備されているため、無理なく「旅=健康習慣」に変えることができます。
③ 社会参加のきっかけになり、“孤立”を遠ざける
退職後はどうしても社会との接点が減り、孤独を感じやすくなります。
しかし、ユニバーサルツーリズムを通じて旅に出ることで、
・新しい仲間
・同世代とのゆるやかなつながり
・旅行中の共同体験
が生まれ、孤立感を大きく減らします。
旅で知り合った人とその後も連絡を取り合い、新しい趣味のコミュニティに参加するなど、人生のステージが広がるケースも少なくありません。
④ 「もう無理かも…」を「まだ行ける!」に変える力
ユニバーサルツーリズムの本質は、年齢や身体状況からくる“制限”を取り除き、
「まだできる」「まだ行ける」
という自信を取り戻すことにあります。
この小さな自信の積み重ねが、「もっと元気でいたい」「仕事も続けたい」「誰かと関わりたい」という前向きな気持ちにつながり、シニアの人生を長い目で支える力になります。
ユニバーサルツーリズムは、シニア世代にとって“旅の選択肢を広げる”だけでなく、“生きがいを取り戻すきっかけ”でもあります。
安心して旅を楽しめる環境が整えば、人生の後半はもっと自由で、もっと豊かに過ごせます。
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