なぜ今「パーパスジャーニー」なのか?人手不足時代の新・人材マネジメントと採用戦略

【企業向け】シニア採用

1.人手不足時代に人事が直面している本当の課題とは?

近年、多くの企業で「人手不足」が深刻な経営課題として認識されています。少子高齢化による労働人口の減少はすでに構造的な問題となっており、単に求人広告を増やしたり、採用条件を緩和したりするだけでは、必要な人材を安定的に確保することが難しい時代に入りました。実際、総務省の労働力調査でも、生産年齢人口(15〜64歳)は長期的に減少傾向にあり、今後もこの流れが大きく変わることはないとされています。

しかし、人事が直面している課題の本質は、単なる「人数不足」だけではありません。より深刻なのは、「採用しても定着しない」「ミスマッチが多い」「育成にコストがかかりすぎる」といった“質の問題”です。たとえば、ようやく採用できた人材が半年〜1年で離職してしまったり、現場と期待値が合わずに戦力化までに時間がかかったりするケースは、多くの企業で日常的に起きています。

こうした状況の背景には、働く側の価値観の変化があります。かつてのように「給与」「安定」「企業ブランド」だけで人が集まる時代は終わり、いまは「自分は何のためにこの会社で働くのか」「この仕事は社会にどう貢献しているのか」といった“意味”や“納得感”を重視する人が増えています。特にミドル層・シニア層になるほど、条件面よりも「やりがい」「役割」「貢献実感」を重視する傾向は強くなります。

つまり、人手不足時代の人事に求められているのは、「人を集めること」そのものではなく、「自社に合う人材と、長く活躍できる関係をどう築くか」という視点への転換です。採用数を追う発想から、「なぜこの会社で働くのかを言語化し、共感した人とつながる」という考え方へと、人事戦略そのものがアップデートされる必要があるのです。

この文脈の中で注目されているのが、次に解説する「パーパスジャーニー」という考え方です。人手不足という構造問題に対して、理念や存在意義を“実務レベル”でどう活かすか。そのヒントが、このフレームに詰まっています。


2.パーパスジャーニーとは何か?今あらためて注目される理由

パーパスジャーニーとは、企業が自社の「パーパス(Purpose=存在意義)」を定め、それを組織全体に浸透させ、社員一人ひとりの行動や意思決定にまで落とし込んでいくプロセス全体を指す考え方です。単に経営理念やスローガンを掲げるだけではなく、「なぜこの会社は存在するのか」「社会に対してどんな価値を提供しているのか」という問いに、組織として継続的に向き合い続ける“旅(Journey)”である点が特徴です。

従来、多くの企業では、パーパスや理念は経営層が策定し、それを社員に共有するという一方向型のアプローチが一般的でした。しかしこの方法では、理念が「掲示物」や「社内資料」にとどまり、現場レベルでは実感を持たれないまま形骸化してしまうケースが少なくありません。結果として、理念と日常業務の間にギャップが生まれ、「言っていることと、やっていることが違う」という状態が生じやすくなります。

パーパスジャーニーが注目されている理由は、この課題に対して、パーパスを“自分事”として再定義するプロセスそのものを重視している点にあります。つまり、「答えを配る」のではなく、「問いを共有する」アプローチです。社員同士の対話やワークショップ、部門横断のディスカッションなどを通じて、「自分の仕事は、この会社のパーパスとどうつながっているのか」を考える機会をつくることで、パーパスが個人レベルの意味づけに変換されていきます。

この考え方は、特に人手不足や価値観の多様化が進む現代において、非常に重要な意味を持ちます。なぜなら、人が組織に定着し、主体的に働くためには、「条件」だけでなく「納得感」が不可欠だからです。給与や役職といった外発的な動機づけだけでは、長期的なエンゲージメントは維持できません。パーパスジャーニーは、働く意味や役割を言語化し、内発的動機を引き出すための“組織の装置”とも言えます。

つまり、パーパスジャーニーとは「理念の話」で終わるものではなく、「人材マネジメントの中核」に位置づけられるべきフレームです。人を惹きつけ、育て、活かし、定着させる。その一連のプロセスを支える基盤として、いま改めて注目されているのです。


3.パーパスと経営理念・MVVとの違いを整理する

パーパスジャーニーを正しく理解するためには、まず「パーパス」と、従来から使われてきた「経営理念」や「MVV(Mission・Vision・Value)」との違いを整理しておく必要があります。これらは似た言葉として扱われがちですが、実際には役割や意味合いが異なり、混同したままではパーパスジャーニーの設計が曖昧になってしまいます。

まず「経営理念」は、企業が大切にする価値観や行動指針を示すもので、「この会社はどういう考え方で経営を行うのか」を表現したものです。多くの場合、創業者の想いや企業文化を背景に定められ、長期的に変わりにくい性質を持ちます。一方で、やや抽象度が高く、社員の日常業務との接点が見えにくいケースも少なくありません。

次に「MVV」は、Mission(使命)、Vision(目指す姿)、Value(価値観)の頭文字を取ったフレームです。Missionは「何を実現する組織なのか」、Visionは「どんな未来を目指すのか」、Valueは「どのような行動を大切にするのか」を示します。MVVは戦略や組織設計と結びつけやすく、経営管理の文脈でよく用いられます。

これに対して「パーパス」は、「この会社は、なぜ社会に存在しているのか」という、より根源的な問いに答える概念です。MissionやVisionが「何をするか」「どこを目指すか」に近いのに対し、パーパスは「なぜやるのか」「なぜ存在するのか」に焦点を当てます。言い換えれば、パーパスは企業活動の“意味”や“理由”を定義するものです。

ここで重要なのは、パーパスは単なるスローガンではなく、社員一人ひとりの仕事の意味づけと直結する点です。たとえば、「自分の業務が社会にどんな価値を生んでいるのか」「なぜこの会社で働くのか」という問いに対して、パーパスは共通の軸を提供します。そのため、パーパスは経営層のための言葉というよりも、現場で働く社員にとっての“拠り所”として機能することが期待されています。

パーパスジャーニーとは、このパーパスを単に定義するだけで終わらせず、経営理念やMVVと整合させながら、組織の制度・評価・採用・育成といった人事の仕組みに落とし込んでいくプロセスです。つまり、パーパスは「点」であり、ジャーニーは「線」です。理念を掲げるだけの状態から、実際の行動や意思決定に反映される状態へ。その“移行の道筋”こそが、パーパスジャーニーの本質と言えるでしょう。


4.パーパスジャーニーの全体像|策定から現場実装までの5ステップ

パーパスジャーニーは、「パーパスを決めて終わり」の取り組みではありません。むしろ重要なのは、その後にいかに組織の中で共有され、社員一人ひとりの行動や意思決定にまで落とし込まれていくかというプロセス全体です。ここでは、人事の実務に落とし込みやすい形で、パーパスジャーニーを5つのステップに整理してみます。

ステップ1:パーパスの策定(Purpose Definition)

最初のステップは、「自社はなぜ存在するのか」という問いに向き合い、パーパスを言語化することです。ここで重要なのは、経営層だけで完結させないことです。経営層の想いは当然重要ですが、それだけでは現場に浸透しにくくなります。ワークショップや対話の場を通じて、現場の社員の声や実感を取り入れながら、「自分たちの会社らしい言葉」に落とし込んでいくことが、後のステップの成否を大きく左右します。


ステップ2:パーパスの共有(Purpose Sharing)

策定したパーパスを、社内に広く共有するフェーズです。ここでありがちな失敗は、社内報やイントラネットに掲載して「共有したつもり」になることです。本質的な共有とは、社員がパーパスの意味を理解し、自分の言葉で説明できる状態を指します。そのためには、説明会や対話型のミーティング、部門ごとのディスカッションなど、双方向のコミュニケーションが欠かせません。


ステップ3:自分事化(Personalization)

次に必要なのが、「自分の仕事とパーパスをどう結びつけるか」を考えるプロセスです。ここがパーパスジャーニーの中でも最も重要なステップと言えます。たとえば、「自分の業務は、このパーパスにどう貢献しているのか」「もしこの仕事がなくなったら、社会はどうなるのか」といった問いを通じて、社員が意味づけを行います。この段階を経ることで、パーパスは抽象的な理念から、日常業務の判断基準へと変わっていきます。


ステップ4:制度への反映(System Integration)

自分事化されたパーパスを、評価制度・人事制度・育成施策などに反映させるフェーズです。たとえば、人事評価の項目に「パーパスに基づく行動」を組み込んだり、研修プログラムの中でパーパスを軸にしたケーススタディを扱ったりします。ここまで来て初めて、パーパスは「思想」ではなく「組織の仕組み」として機能し始めます。


ステップ5:行動の定着(Behavior Embedding)

最後のステップは、パーパスが日常の意思決定や行動に自然と反映される状態をつくることです。たとえば、「この施策はパーパスに沿っているか?」という問いが会議で当たり前のように出てくる状態です。この段階に入ると、パーパスはトップダウンのメッセージではなく、組織の共通言語として根づいていきます。


この5ステップを見るとわかる通り、パーパスジャーニーとは「理念策定プロジェクト」ではなく、「組織変革プロジェクト」です。特に人事の視点で重要なのは、ステップ3以降、つまり“自分事化から制度反映”の部分です。ここを設計できるかどうかが、パーパスがスローガンで終わるか、実際に人材マネジメントを変える力になるかの分かれ道になります。


5.なぜパーパスジャーニーは採用戦略と相性がいいのか?

パーパスジャーニーが採用戦略と高い親和性を持つ理由は、「人が会社を選ぶ基準そのものが変化している」ことにあります。従来の採用では、給与水準や福利厚生、企業規模、ブランド力といった条件面が重視される傾向が強く、企業側もそれらを前面に打ち出すことで母集団形成を行ってきました。しかし近年では、こうした外的条件だけでは、応募数も定着率も思うように伸びなくなっています。

背景にあるのは、働き手の価値観の変化です。特にミドル層以降や経験豊富な人材ほど、「どんな会社で働くか」よりも、「なぜその会社で働くのか」「その仕事にどんな意味があるのか」といった内面的な納得感を重視する傾向が強まっています。単なる条件比較ではなく、「自分の人生や価値観と、その会社の方向性が合っているか」という視点で職場を選ぶ人が増えているのです。

このとき、企業側がパーパスを明確に言語化し、それを一貫して発信できているかどうかは、採用の質を大きく左右します。パーパスが明確な企業は、「自社がどんな価値を社会に提供しているのか」「どんな人と一緒にその価値をつくりたいのか」を言葉で説明できます。その結果、応募者側も「この会社なら、自分の経験やスキルを活かせそうだ」「ここで働く意味がイメージできる」と感じやすくなります。

逆に、パーパスが曖昧な企業では、求人情報はどうしても「業務内容」「条件」「待遇」の羅列になりがちです。その場合、応募者は条件だけで判断するため、入社後に「思っていた仕事と違った」「会社の方向性に共感できない」といったギャップが生まれやすくなります。これは、ミスマッチによる早期離職の典型的なパターンです。

パーパスジャーニーは、この問題を根本から解消するフレームです。なぜなら、パーパスを起点に採用を設計すると、「何をするか」ではなく「なぜそれをするのか」を軸に人材との接点をつくれるからです。これは採用広報や求人票だけでなく、面接の質問設計や評価基準にも影響します。「スキルがあるか」だけでなく、「パーパスに共感しているか」「価値観が合っているか」という視点が加わることで、採用は“選別”ではなく“相互選択”に近づいていきます。

つまり、パーパスジャーニーが採用戦略と相性が良い理由は、単に理念をアピールできるからではありません。人と組織の関係を、「条件のマッチング」から「意味と価値の共有」へと再定義できる点にあります。この転換こそが、人手不足時代における採用の質を高める最大の鍵なのです。


6.パーパスを採用プロセスに組み込む実践方法

パーパスジャーニーを採用戦略として機能させるためには、「理念を語る」だけでは不十分です。重要なのは、パーパスを採用プロセスの各接点に具体的に組み込むことです。ここでは、人事の実務に落とし込みやすい形で、「求人票」「面接」「オンボーディング」の3つのフェーズに分けて考えてみます。

1. 求人票:業務内容より「意味」を伝える

多くの求人票は、仕事内容や必要スキル、勤務条件といった情報が中心になっています。しかし、パーパスジャーニーの視点で見ると、「その仕事が社会や顧客にどんな価値を生んでいるのか」「なぜこのポジションが必要なのか」といった“意味”の説明が欠かせません。たとえば、「営業職募集」と書く代わりに、「顧客の課題解決を通じて〇〇という社会課題に向き合う役割」と表現することで、仕事の文脈が大きく変わります。これにより、条件だけでなく価値観に共感した応募者が集まりやすくなります。


2. 面接:スキル確認から価値観対話へ

面接の場も、パーパスを活かせる重要な接点です。従来の面接では、職務経歴やスキル、実績の確認が中心になりがちですが、パーパスジャーニーの考え方では、「どんなときにやりがいを感じるか」「これまでの仕事で、社会に貢献していると感じた瞬間は何か」といった問いが重要になります。これらの質問を通じて、応募者の価値観や動機と、自社のパーパスがどの程度重なっているかを確認できます。


3. オンボーディング:入社後こそが本番

パーパスを採用に活かす上で見落とされがちなのが、入社後のオンボーディングです。せっかくパーパスに共感して入社しても、現場でその意味づけがされなければ、期待と現実のギャップが生まれやすくなります。オンボーディングの段階で、「自分の役割はパーパスのどの部分に貢献しているのか」「この部署の存在意義は何か」といった対話の場を設けることで、パーパスは抽象的な理念から、実務の指針へと変わっていきます。


このように、求人票・面接・オンボーディングという採用プロセス全体にパーパスを組み込むことで、採用は単なる人員補充ではなく、「価値観の共有プロセス」へと進化します。結果として、応募段階でのミスマッチが減り、入社後の定着率やエンゲージメントの向上につながっていくのです。


7.パーパスジャーニーが「定着率」と「戦力化」を高める理由

パーパスジャーニーの本質的な価値は、「採用数を増やすこと」ではなく、「入社後に人が活き続ける状態をつくること」にあります。どれだけ優秀な人材を採用できても、短期間で離職してしまえば、組織にとってはコストが増えるだけで、戦力にはなりません。人手不足時代において重要なのは、定着率を高めながら、いかに早く戦力化できるかという視点です。

この点で、パーパスジャーニーは非常に有効に機能します。なぜなら、パーパスは「なぜこの会社で働くのか」という問いに対する共通の答えを提供するからです。人は、自分の仕事の意味や価値が見えなくなると、モチベーションを失いやすくなります。逆に、「自分の役割が組織や社会にどう貢献しているのか」が明確になると、多少の困難があっても仕事を続けようとする内発的動機が生まれます。

定着率の観点で見ると、パーパスジャーニーは「早期離職の防止」に大きく寄与します。入社前からパーパスを共有し、価値観レベルで納得した上で入社している人材は、「こんな会社だとは思わなかった」というギャップを感じにくくなります。これは、スキルミスマッチよりも厄介な「価値観ミスマッチ」を防ぐ効果があると言えます。

また、戦力化という点でも、パーパスは重要な役割を果たします。新しく入社した人材が、単に業務手順を覚えるだけでなく、「この仕事は何のために存在しているのか」を理解している状態では、判断の質が変わってきます。マニュアルに書かれていない場面でも、パーパスを基準に意思決定ができるため、主体性が高まり、成長スピードも早くなります。

さらに、パーパスが組織に浸透していると、上司や同僚とのコミュニケーションも円滑になります。「この判断はパーパスに沿っているか?」という共通言語があることで、個人の主観ではなく、組織としての価値基準で議論できるようになります。これは、評価やフィードバックの質を高めることにもつながり、結果として人材育成の効率も向上します。

つまり、パーパスジャーニーは、定着率を高める“心理的インフラ”であり、戦力化を加速させる“判断の軸”でもあります。人手不足の時代において、人を「集める」こと以上に、「活かし続ける」ことが重要になる中で、このフレームは人材マネジメントの中核的な役割を担うと言えるでしょう。


8.よくある失敗パターン|パーパスが形骸化する組織の共通点

パーパスジャーニーは、人材マネジメントや採用戦略に大きな効果をもたらす一方で、進め方を誤ると「聞こえの良いスローガン」で終わってしまうリスクもあります。実際、多くの企業で見られるのが、「パーパスを策定したものの、現場ではほとんど意識されていない」という形骸化のパターンです。ここでは、よくある失敗例を3つの視点から整理します。

1. 経営メッセージで止まっている

最も典型的なのが、パーパスが経営層のメッセージとして発信されただけで終わってしまうケースです。社長メッセージや全社集会でパーパスが語られ、「共有したつもり」になっている状態ですが、現場レベルでは「結局、自分の仕事とどう関係があるのかわからない」という声が出がちです。この状態では、パーパスは“トップの想い”にはなっても、“社員の判断基準”にはなりません。


2. 現場業務と結びついていない

次によくあるのが、パーパスと日常業務の接点が設計されていないケースです。たとえば、パーパスは立派でも、評価制度や目標設定、業務プロセスに一切反映されていない場合、社員は「結局、何を優先すればいいのか」を実務の中で見失います。結果として、パーパスは“きれいな言葉”として存在するだけで、現場の意思決定には使われなくなります。


3. 制度・評価と乖離している

三つ目は、パーパスと人事制度が矛盾しているパターンです。たとえば、「挑戦を大切にする」というパーパスを掲げながら、評価制度では短期成果や失敗回避が強く求められている場合、社員は自然と「失敗しない行動」を選ぶようになります。このように、制度とパーパスがズレていると、社員は言葉ではなく制度に従って行動するため、パーパスは急速に形骸化していきます。


これらの失敗に共通しているのは、「パーパスを“伝えるもの”として扱っている」という点です。本来、パーパスジャーニーとは、「パーパスを“使うもの”に変えていくプロセス」です。伝えるだけでなく、議論し、問い直し、制度に落とし込み、日々の意思決定に活用する。ここまで設計して初めて、パーパスは組織の中で生きた言葉になります。

つまり、パーパスが形骸化する最大の原因は、「パーパスを掲げること自体がゴールになってしまうこと」です。ジャーニーという言葉が示す通り、本来は“ここからがスタート”であり、運用と改善を続ける前提で設計されるべきものなのです。


9.まとめ|パーパスジャーニーは「理念」ではなく「経営と採用のインフラ」である

ここまで見てきた通り、パーパスジャーニーは単なる理念策定の手法ではありません。企業が自らの存在意義を言語化し、それを社員一人ひとりの行動や意思決定、さらには制度や評価、採用プロセスにまで落とし込んでいく「組織運営のインフラ」と言えるフレームです。人手不足や価値観の多様化が進む時代において、人材マネジメントのあり方そのものを再設計するための基盤とも言えます。

従来の人事施策は、「どうやって人を集めるか」「どうやって育てるか」といった“手段”の議論に偏りがちでした。しかし、パーパスジャーニーの視点に立つと、その前提となる「なぜこの会社で働くのか」「この組織は社会にどんな価値を提供しているのか」という“意味”の設計こそが、最も重要であることが見えてきます。意味が共有されていない状態でどれだけ制度や施策を整えても、人は本質的には動きません。

特に採用の文脈では、パーパスジャーニーは「母集団形成」から「関係性構築」への転換を促します。条件だけで人を集める採用から、価値観や目的を共有できる人とつながる採用へ。この転換が実現できれば、ミスマッチによる早期離職は減り、定着率やエンゲージメントは自然と高まっていきます。

また、パーパスが浸透した組織では、社員一人ひとりが自分の役割を「作業」ではなく「貢献」として捉えるようになります。これは、指示待ち型の働き方から、自律的・主体的な働き方へのシフトを意味します。結果として、現場の判断スピードや問題解決力が高まり、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

パーパスジャーニーとは、「きれいな理念を掲げること」ではなく、「理念を使って組織を動かすこと」です。人手不足時代における人事の役割は、もはや採用人数を管理することではなく、「意味と価値を設計し、人と組織の関係性を再構築すること」にあります。その中心に位置するのが、パーパスジャーニーというフレームなのです。

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