1.深刻化する人手不足。今、企業に求められる「DEI」の視点とは?
そもそも「DEI」とは?(多様性・公平性・包摂性)
近年、ビジネスの現場で頻繁に耳にするようになった「DEI」。これは「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包摂性)」の頭文字をとった言葉です。単に性別や年齢、国籍の異なる人々を同じ職場に集める(多様性)だけでなく、それぞれが持つ背景や事情に配慮して公平な機会を提供し(公平性)、全員が組織の一員として尊重され、個々の能力を最大限に発揮できる状態(包摂性)を目指す取り組みを指します。これからの企業経営において、DEIは単なる社会貢献やコンプライアンスの枠を超え、企業の持続的な成長と競争力強化に不可欠な経営戦略として位置づけられています。特に人材獲得競争が激化する現代において、DEIの推進は組織の魅力度を底上げする重要な鍵となります。
従来のターゲットだけでは限界を迎えている背景
日本の生産年齢人口は減少の一途を辿っており、これまで通りの採用活動では必要な人員を確保することが極めて困難になっています。帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)」によると、正社員が不足していると回答した企業は全体の52.6%に達しており、多くの企業が深刻な労働力不足に直面していることがわかります。特に「20代〜30代の若手層」や「特定の業界経験者」といった従来の狭いターゲットに絞った採用活動は、競争率が異常に高騰する「レッドオーシャン」となっています。限られたパイを多くの企業で奪い合う状態では、莫大な採用コストをかけても求める人材に出会えず、結果として現場の疲弊を招くという悪循環に陥ってしまいます。
なぜ今、人手不足の解決策としてDEIが注目されているのか
このような状況下で、人手不足の根本的な解決策としてDEIが注目を集めています。DEIの視点を持つということは、これまで「フルタイムで働ける若手」といった画一的な基準で無意識に排除してしまっていた人材層に光を当てることを意味します。育児中の人材、外国人労働者、そしてシニア人材など、多様な背景を持つ人々が働きやすい環境を整備することで、企業は新たな労働力プール(人材の供給源)にアクセスできるようになります。つまり、DEIの推進は「採用ターゲットの大幅な拡大」と直結しており、特定の層に依存しない強靭な組織基盤を作るための最も有効なアプローチなのです。多様な人材を受け入れる土壌を作ることは、結果的に人手不足解消の最短ルートとなります。
2.人手不足対策×DEIの第一歩に「シニア人材」が最適な理由
年齢の壁を取り払うことが、根本的な人手不足解消への近道
DEI推進の第一歩として、企業に強くおすすめしたいのが「年齢の壁」を取り払うことです。総務省統計局の「労働力調査(2023年平均)」によると、65歳以上の就業者数は914万人と過去最多を更新しており、働く意欲と能力を持ったシニア層は年々増加しています。「年齢」というフィルターだけで書類選考を不採用にしてしまうのは、自ら優秀な人材を獲得するチャンスを放棄しているようなものです。体力的な不安やデジタルの適応力に対する懸念を持つ企業も少なくありませんが、それは業務の切り出し方やツールの工夫で十分にカバー可能です。年齢にとらわれず、「自社で活かせるスキルや経験があるか」「働く意欲があるか」という本質的な基準で人材を見ることで、採用の選択肢は劇的に広がります。
採用市場の激戦区を避け、コストを抑えながら優秀な層に出会える
若手人材の採用は競争が激しく、求人広告費や人材紹介料などの採用単価(CPA)が高騰し続けています。一方で、シニア層をターゲットとした採用市場は、若手市場と比較するとまだ競合が少なく、ブルーオーシャンに近い状態です。そのため、限られた採用予算の中でも、コストパフォーマンス良く優秀な人材に出会える確率が高まります。定年退職を迎えたものの「まだまだ社会との繋がりを持ちたい」「これまでの経験を活かして企業の役に立ちたい」と考えているモチベーションの高い人材は多数存在します。競合他社が「年齢」で躊躇している間に、シニア層を積極的に受け入れる姿勢を打ち出すことで、採用における圧倒的な優位性を築くことができます。
3.シニア人材の活躍が企業にもたらす3つの具体的な効果
効果1. 豊富な経験による即戦力化と、若手へのスキル継承
シニア人材を採用する最大のメリットの一つは、長年のビジネスライフで培われた「豊富な経験」と「高い専門性」です。業界知識や折衝能力、トラブル対応のノウハウなど、若手社員がこれから時間をかけて学ぶべきスキルを既に高いレベルで保有しているため、入社直後から即戦力としての活躍が期待できます。さらに、シニア人材をメンターや教育担当として配置することで、自社の若手社員へ生きたノウハウが継承されるという副次的な効果も生まれます。現場の最前線でプレーヤーとして活躍してもらうだけでなく、若手の成長をサポートするサポーター役を担ってもらうことで、組織全体のスキル底上げにも大きく貢献します。
効果2. 異なる視点がもたらす組織の活性化と定着率の向上
同質性の高い組織(年齢層やバックグラウンドが似通った組織)は意思決定がスムーズな反面、新しいアイデアが生まれにくく、環境の変化に弱いというリスクを抱えています。そこにシニア人材という「異なる視点」を持つメンバーが加わることで、会議の場に新たな気づきが生まれ、組織全体が活性化します。また、シニア層は「キャリアアップのための転職」よりも「安定して長く働き、社会に貢献すること」を重視する傾向があります。そのため、一度自社にマッチすれば早期離職のリスクが低く、高い定着率を見込むことができます。定着率が上がることで採用活動の頻度を下げることもでき、人事担当者の負担軽減にも繋がります。
効果3. シニア層の受け入れを機に、さらに多様な人材の採用が可能になる
シニア人材が職場で活躍し始めると、社内の制度や既存社員の意識に変化が起こります。「フルタイムでなければ働けない」といった固定観念が崩れ、業務の標準化やマニュアル化が進むことで、結果的に「誰にとっても働きやすい柔軟な環境」が整っていきます。この変化こそが、企業にとって最大の財産です。シニア層の受け入れによって培われた「多様性をマネジメントするノウハウ」は、育児中のスタッフや外国人材など、他の多様な人材を受け入れる際にもそのまま応用できます。つまり、シニア人材の活用は一時的な人手不足対策にとどまらず、将来に向けた「採用力の強化」と「真のDEI組織への進化」をもたらす強力なブースターとなるのです。
4.シニア層の活躍を後押しする「社内・社外」へのアプローチ
社内向けの訴求:受け入れ態勢の整備と既存社員への理解浸透
シニア人材の活躍を実現するためには、採用活動を始める前に「社内の受け入れ態勢」を整えることが不可欠です。既存の社員に対し、なぜ今シニア人材を迎え入れるのか、どのようなメリットがあるのかを丁寧に説明し、理解を得るプロセスが重要です。また、体力面やライフスタイルに配慮した柔軟な働き方を用意することも求められます。以下の表は、従来の労働環境と、多様な人材が活躍できる環境の違いをまとめたものです。業務の切り出しやマニュアル化を進め、「誰もが迷わず業務に取り組める仕組み」を作ることで、受け入れ後のトラブルを防ぐことができます。
| 項目 | 従来の労働環境 | シニア・多様な人材が活躍できる環境 |
|---|---|---|
| 勤務時間・日数 | 週5日・フルタイム固定が前提 | 短時間勤務・週3日・フレックスなど柔軟なシフト |
| 業務の進め方 | 属人的で、個人の暗黙知に依存 | 業務の切り出しとマニュアル化による明確な分担 |
| 評価とコミュニケーション | 年功序列や労働時間の長さ | スキル・成果・意欲に基づいた公平な評価と対話 |
社外向けの訴求:DEI推進企業としての魅力発信と、最適な手法の選定
社内の受け入れ態勢が整ったら、次に行うべきは「社外への効果的なアピール」です。自社が年齢に関係なく活躍できる企業であること、柔軟な働き方を導入していることを、求人票や採用サイトで積極的に発信しましょう。ここで重要になるのが「求人媒体の選び方」です。一般的な総合求人サイトでは若手向けの情報に埋もれてしまい、ターゲットとなるシニア層に自社の魅力が届かない可能性があります。そのため、シニア採用を成功させるためには、シニア層の集客に特化しており、自社の求める人材像にダイレクトにアプローチできる専門の求人プラットフォームを活用することが、最もコストパフォーマンスが高く確実な手法と言えます。
5.まとめ:シニア人材の活用から企業のDEIを前進させよう
深刻な人手不足が続く中、企業が生き残るためには、これまで無意識に設けていた「年齢の壁」を取り払い、新たな人材層へアプローチすることが不可欠です。DEIの第一歩としてシニア人材を活用することは、即戦力の確保や組織の活性化をもたらすだけでなく、企業全体の採用力を底上げする強力な施策となります。社内の受け入れ態勢を柔軟に整え、自社の魅力を適切な場所で発信することで、採用市場における競争を避けながら優秀な人材と出会うことができるはずです。まずは「人手不足の解決策」として、シニア層が活躍できる組織づくりに向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
コストを抑えて優秀な人材を採用しませんか?働く意欲に溢れたシニア層と企業を繋ぐ専門求人サイト「キャリア65」なら、貴社にマッチした人材に最短で出会えます。まずは詳細をご確認ください。


