1. 保護司とは?役割と活動内容をわかりやすく解説
「保護司(ほごし)」とは、犯罪や非行をした人の立ち直りを支援するために、地域社会で活動する民間のボランティアです。法務大臣から委嘱を受ける非常勤の国家公務員という位置づけではありますが、給与はなく、基本的に社会貢献活動として取り組まれています。
保護司の主な役割
・更生保護対象者の生活指導
少年院や刑務所から出てきた人、保護観察中の人に対して、生活習慣の改善や社会復帰のためのアドバイスを行います。
・相談や心の支えになる存在
対象者が孤立しないように定期的に面談し、悩みや課題を一緒に考えるパートナーになります。
・地域社会との橋渡し
再就職や住居探し、地域での人間関係づくりをサポートするなど、本人が再び社会で生活できるように環境を整える役割を担います。
活動の特徴
保護司の活動は、対象者の自宅訪問や事務所での面談が中心です。ケースによっては家族との関わりを持つこともあります。また、地域での啓発活動(講演や学校での授業協力など)を行うこともあります。
一見難しい役割に思えるかもしれませんが、「特別な資格や専門知識が必要」ではなく、人生経験や人への思いやりが大きな力になります。特に人とのつながりを大切にしてきたシニア世代にとっては、その経験が直接活かせる活動だといえるでしょう。
2. なぜ今、シニア世代に「保護司」が注目されているのか
近年、保護司の担い手としてシニア世代が注目されています。その背景には、日本社会が直面している 高齢化・地域のつながりの希薄化・再犯防止の課題 があります。
社会背景とシニアの役割
まず、保護司の平均年齢は60歳代後半といわれ、高齢の方々が多く活躍しているのが実態です。若い世代に比べ、時間の融通がききやすく、また地域社会での経験や人脈を持っていることから、対象者の支援に大きな力を発揮できるのです。
さらに、シニア自身も「社会に必要とされたい」「役に立ちたい」という思いを持っており、その気持ちと保護司の役割が合致しています。定年後に時間ができても、ただ自由に過ごすだけでは充実感を得にくい場合があります。保護司という活動は、社会貢献と自己実現の両立を可能にするのです。
注目される理由のポイント
1.再犯防止に貢献できる存在
孤立しがちな対象者に寄り添うことで、再び犯罪に手を染めることを防ぎ、地域の安全に直結します。
2.人生経験を活かせる場
家庭・仕事・地域活動で培った知恵や人間力を活かしやすい活動内容です。
3.社会参加の新しい形
ボランティア活動の一種でありながら、公的な役割もあるため、やりがいと責任感を得られる点がシニアに支持されています。
つまり、保護司は「第二の人生をどう過ごすか」を考えるシニア世代にとって、社会貢献と自己の成長を同時にかなえる活動として、ますます注目されているのです。
3. 保護司になるための条件と選考の流れ
「保護司になりたい」と思ったときに大切なのは、どうやって始めればよいのかを知ることです。ここでは、条件と具体的な手順を、初めての人にも理解しやすいようにまとめます。
保護司になるための条件
保護司は、特別な資格や学歴がなくても応募できます。ただし、以下の条件を満たすことが必要です。
・人柄:誠実で人に寄り添えること
・健康:無理なく活動できる体力や気力があること
・生活の安定:活動は無報酬のため、生活基盤がしっかりしていること
・地域での信頼:周囲の人から「この人なら安心できる」と思われていること
実際の流れ
1.保護観察所に相談する
まずは住んでいる地域を担当する「保護観察所」に問い合わせます。ここが入口です。電話や訪問で「保護司に関心がある」と伝えると、担当者が説明してくれます。
2.候補者リストに載る
保護観察所は、その地域で活動できそうな人を候補者としてリストにまとめています。ここに名前が載るのが次のステップです。
3.地域からの推薦を受ける
「推薦」というと難しく聞こえますが、要するに「この人なら保護司にふさわしい」と周囲から太鼓判を押してもらうことです。具体的には、市区町村の役所や地域団体などが「適任です」と意見を出します。これは地域での信頼が重視されるための仕組みです。
4.面接や調査を受ける
保護観察所の職員が面談を行い、「人柄・健康・生活の安定」などを確認します。必要に応じて周囲の評判や経歴を調べることもあります。
5.法務大臣から委嘱される
最後に法務大臣から正式な「委嘱状」が交付されて、晴れて保護司として活動をスタートできます。
地域の保護観察所を探す方法
・法務省の公式サイト(保護観察所一覧)
・「〇〇市 保護観察所」で検索
・近くの法務局に問い合わせる
このように、一歩ずつ段階を踏んでいけば難しいことはありません。「推薦」というのも特別な審査ではなく、地域で信頼されていることを確認するためのプロセスなのです。
4. 活動を通じて得られるやりがいとメリット
保護司の活動はボランティアであり、金銭的な報酬はありません。しかし、多くの保護司が長年続けているのは、それを超える大きな「やりがい」と「メリット」があるからです。
やりがいを感じる瞬間
・対象者の成長を見守れる
初めは心を閉ざしていた人が、少しずつ前向きになり、社会に溶け込んでいく姿を間近で見られることは大きな喜びです。自分の言葉や態度がその人の人生を良い方向へ導いたと感じられる瞬間は、何ものにも代えがたい達成感があります。
・地域の安全に貢献できる
再犯を防ぐことは、地域の安心・安全を守ることにも直結します。「地域を支えている」という誇りを持てるのも保護司の魅力です。
・人生経験を活かせる
長年培ってきた社会経験や家庭での知恵を、そのまま活動に活かせるため「まだまだ自分は役に立てる」と自己肯定感を得られます。
シニア世代にとってのメリット
1.社会参加の継続
定年後も地域社会と強いつながりを持ち続けられるため、孤立感の解消につながります。
2.心身の健康維持
人と関わることは心の張り合いとなり、活動を通じて外出の機会も増えるため、体力づくりや健康維持に効果的です。
3.新しい人間関係の構築
対象者だけでなく、同じ保護司仲間や地域関係者との交流も広がり、人生の後半に新しい仲間を得られます。
データの補足
法務省の統計によると、2023年時点で全国に約4.3万人の保護司が活動しています(法務省「保護統計 統計表」より)。その多くは60歳以上であり、シニア世代が重要な担い手となっているのが現状です。
つまり保護司の活動は、社会に貢献するだけでなく、自分自身の生きがいと健康にもつながる「相互にメリットのある活動」だといえます。
5. 知っておきたい保護司の大変さと注意点
保護司の活動にはやりがいや魅力がたくさんありますが、一方で「大変さ」や「気をつけるべき点」も存在します。実際に活動を始める前に理解しておくことが、長く続けるためのポイントとなります。
主な大変さ
・活動は無報酬
保護司は非常勤の国家公務員とされますが、給与は支払われません。交通費や通信費も基本的に自己負担となるため、経済的な負担を理解したうえで活動に臨む必要があります。
・対象者との関わり方の難しさ
すべての対象者がすぐに心を開いてくれるわけではありません。中には反抗的な態度をとる人もいます。その際に焦らず、粘り強く向き合う忍耐力が求められます。
・活動時間の負担
面談や家庭訪問、書類作成、地域行事への参加など、想像以上に時間を割く場面もあります。特に家庭や趣味との両立を意識しながら活動することが大切です。
注意点
1.心の距離感を保つこと
対象者に寄り添う一方で、過度に踏み込みすぎると自分自身が疲弊してしまいます。適度な距離感を保ち、無理なく支援を続けることが重要です。
2.地域での理解を得ること
保護司の役割は地域と密接に関わるため、周囲の協力や理解が必要です。家族や近隣への説明をしっかり行い、活動に協力してもらえる環境を整えておくと安心です。
3.継続できる体力・気力の確保
シニア世代の場合、健康面が不安要素になることもあります。日頃から体調管理を心がけ、無理のないペースで取り組むことが長続きの秘訣です。
まとめると…
保護司は「やりがいが大きい一方、決して楽ではない役割」です。ただし、活動に取り組む心構えを持ち、負担を理解したうえでスタートすれば、長く充実した活動を続けることができます。
6. まとめ|地域とつながり、シニア世代の人生をより豊かに
保護司は、地域社会の安全を支えながら、人と人とのつながりを大切にする役割です。とくにシニア世代にとっては、これまで培ってきた経験や人間力を活かせる場であり、社会参加を継続できる大きなチャンスとなります。
本記事の振り返り
・保護司の役割 は、更生保護対象者の支援や地域での橋渡し。資格は不要で、人柄や経験が重視される。
・シニアに注目される理由 は、時間の余裕や人生経験を活かせること、社会貢献を通じて自己実現できること。
・なるための条件と流れ では、地域での信頼と法務大臣からの委嘱が必要。応募は保護観察所への相談から始まる。
・やりがいとメリット として、対象者の成長を見守れる喜び、地域貢献、健康維持や新しい仲間との出会いがある。
・大変さと注意点 は、無報酬であること、対象者対応の難しさ、活動時間の負担など。無理なく継続する工夫が大切。
シニア世代へのメッセージ
「退職後、何をして過ごそうか」と考えるとき、保護司という選択肢は自分の人生を豊かにし、地域をも支える素晴らしい活動です。お金だけでなく「心の満足感」や「人とのつながり」を得たい方にこそおすすめできます。
社会に必要とされる存在として活動することで、日々の暮らしに張り合いが生まれ、自分の価値を再確認することができるでしょう。まさに、人生100年時代にふさわしい「生涯現役」の形の一つといえます。
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